短歌味体Ⅲ-2

  500首
(2016年09月17日~2017年04月29日) 

目次


短歌味体 Ⅲ      日付
短歌味体Ⅲ 1202-1203 固有値シリーズ・続 2016年09月17日
短歌味体Ⅲ 1204-1205 あっシリーズ 2016年09月18日
短歌味体Ⅲ 1206-1207 おおシリーズ 2016年09月19日
短歌味体Ⅲ 1208-1209 うっシリーズ 2016年09月20日
短歌味体Ⅲ 1210-1211 あっシリーズ・続 2016年09月21日
短歌味体Ⅲ 1212-1214 うっシリーズ・続  2016年09月22日
短歌味体Ⅲ 1215-1216 おおリーズ・続 2016年09月23日
短歌味体Ⅲ 1217-1218 だからあシリーズ  2016年09月24日
短歌味体Ⅲ 1219-1220 人と人シリーズ・続 2016年09月24日
短歌味体Ⅲ 1221-1222 えっシリーズ  2016年09月25日 
短歌味体Ⅲ 1223-1225 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ 2016年09月26日
短歌味体Ⅲ 1226-1228 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続  2016年09月27日
短歌味体Ⅲ 1229-1230 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続   2016年09月28日
短歌味体Ⅲ 1231-1233 そうだねシリーズ 2016年09月29日
短歌味体Ⅲ 1234-1235 沈黙シリーズ 2016年09月30日
短歌味体Ⅲ 1236-1238 沈黙シリーズ・続 2016年10月01日
短歌味体Ⅲ 1239-1240 沈黙シリーズ・続 2016年10月02日
短歌味体Ⅲ 1241-1242 沈黙シリーズ・続 2016年10月03日
短歌味体Ⅲ 1243-1245 沈黙シリーズ・続 2016年10月04日
短歌味体Ⅲ 1246-1247 世界との出会いシリーズ 2016年10月05日
短歌味体Ⅲ 1248-1249 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月06日
短歌味体Ⅲ 1250-1251 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月07日
短歌味体Ⅲ 1252-1254 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月08日
短歌味体Ⅲ 1255-1257 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月09日
短歌味体Ⅲ 1258-1259 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月10日
短歌味体Ⅲ 1260-1261 書くときはシリーズ 2016年10月11日
短歌味体Ⅲ 1262-1263 書くときはシリーズ・続  2016年10月12日
短歌味体Ⅲ 1264-1266 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月13日
短歌味体Ⅲ 1267-1268 世界との出会いシリーズ・続  2016年10月14日
短歌味体Ⅲ 1269-1270 書くときはシリーズ・続   2016年10月15日 
短歌味体Ⅲ 1271-1272 世界との出会いシリーズ・続   2016年10月16日
短歌味体Ⅲ 1273-1275 農事シリーズ・続    2016年10月17日
短歌味体Ⅲ 1276-1277 ああいいねシリーズ 2016年10月18日 
短歌味体Ⅲ 1278-1279 ああいいねシリーズ・続 2016年10月19日
短歌味体Ⅲ 1280-1281 内と外シリーズ・続 2016年10月20日
短歌味体Ⅲ 1282-1283 ああいいねシリーズ・続 2016年10月21日
短歌味体Ⅲ 1284-1285 内と外シリーズ・続 2016年10月22日
短歌味体Ⅲ 1286-1287 内と外シリーズ・続 2016年10月23日
短歌味体Ⅲ 1288-1289 接続論シリーズ・続   2016年10月24日
短歌味体Ⅲ 1290-1292 つづけるシリーズ 2016年10月25日
短歌味体Ⅲ 1293-1295 つづけるシリーズ・続  2016年10月26日
短歌味体Ⅲ 1296-1297 つづけるシリーズ・続  2016年10月27日
短歌味体Ⅲ 1298-1300 つづけるシリーズ・続 2016年10月28日
   
 短歌味体 Ⅲ   日付
短歌味体Ⅲ 1301-1302 つづけるシリーズ・続  2016年10月29日
短歌味体Ⅲ 1303-1304 つづけるシリーズ・続  2016年10月30日
短歌味体Ⅲ 1305-1307 起動シリーズ  2016年10月31日 
短歌味体Ⅲ 1308-1309 起動シリーズ・続 2016年11月01日
短歌味体Ⅲ 1310-1312 起動シリーズ・続 2016年11月02日
短歌味体Ⅲ 1313-1314 起動シリーズ・続 2016年11月03日
短歌味体Ⅲ 1315-1316 秋シリーズ・続  2016年11月04日
短歌味体Ⅲ 1317-1318 秋シリーズ・続   2016年11月05日
短歌味体Ⅲ 1319-1320 秋シリーズ・続   2016年11月06日
短歌味体Ⅲ 1321-1323 おしまいシリーズ 2016年11月07日
短歌味体Ⅲ 1324-1325 おしまいシリーズ・続 2016年11月08日
短歌味体Ⅲ 1326-1327 秋シリーズ・続  2016年11月09日
短歌味体Ⅲ 1328-1329 秋シリーズ・続   2016年11月10日
短歌味体Ⅲ 1330-1331 返答シリーズ  2016年11月11日
短歌味体Ⅲ 1332-1333 返答シリーズ・続 2016年11月12日
短歌味体Ⅲ 1334-1336 返答シリーズ・続 2016年11月13日
短歌味体Ⅲ 1337-1338 返答シリーズ・続 2016年11月14日
短歌味体Ⅲ 1339-1341 つっぱりシリーズ  2016年11月15日
短歌味体Ⅲ 1342-1343 つっぱりシリーズ・続   2016年11月16日
短歌味体Ⅲ 1344-1345 つっぱりシリーズ・続   2016年11月17日
短歌味体Ⅲ 1346-1348 返答シリーズ・続 2016年11月18日
短歌味体Ⅲ 1349-1351 みどり差すシリーズ  2016年11月19日
短歌味体Ⅲ 1352-1353 みどり差すシリーズ・続 2016年11月20日
短歌味体Ⅲ 1354-1356 イメージシリーズ・続 2016年11月21日
短歌味体Ⅲ 1357-1358 イメージシリーズ・続 2016年11月22日
短歌味体Ⅲ 1359-1360 みどり差すシリーズ・続 2016年11月23日
短歌味体Ⅲ 1361-1362 みどり差すシリーズ・続 2016年11月24日
短歌味体Ⅲ 1363-1364 みどり差すシリーズ・続 2016年11月25日
短歌味体Ⅲ 1365-1367 あっ しまったシリーズ 2016年11月26日
短歌味体Ⅲ 1368-1369 あっ しまったシリーズ・続  2016年11月27日 
短歌味体Ⅲ 1370-1371 あっ しまったシリーズ・続 2016年11月28日 
短歌味体Ⅲ 1372-1373 あっ しまったシリーズ・続 2016年11月29日 
短歌味体Ⅲ 1374-1375 何でもないよシリーズ 2016年11月30日  
短歌味体Ⅲ 1376-1378 お別れだねシリーズ 2016年12月01日
短歌味体Ⅲ 1379-1380 生きるシリーズ  2016年12月02日
短歌味体Ⅲ 1381-1382 生きるシリーズ・続   2016年12月03日
短歌味体Ⅲ 1383-1384 何でもないよシリーズ・続 2016年12月04日
短歌味体Ⅲ 1385-1386 何でもないよシリーズ・続 2016年12月05日
短歌味体Ⅲ 1387-1388 生きるシリーズ・続 2016年12月06日
短歌味体Ⅲ 1389-1390 生きるシリーズ・続  2016年12月07日
短歌味体Ⅲ 1391-1392 あっ風シリーズ 2016年12月08日
短歌味体Ⅲ 1393-1394 即興シリーズ・続 2016年12月08日
短歌味体Ⅲ 1395-1397 半径シリーズ 2016年12月09日
短歌味体Ⅲ 1398-1399 半径シリーズ・続 2016年12月10日
短歌味体Ⅲ 1400-1401 生きるシリーズ・続 2016年12月11日
  短歌味体 Ⅲ   日付
短歌味体Ⅲ 1402-1403 生きるシリーズ・続 2016年12月12日
短歌味体Ⅲ 1404-1405 半径シリーズ・続 2016年12月13日
短歌味体Ⅲ 1406-1407 生きるシリーズ・続 2016年12月14日
短歌味体Ⅲ 1408-1410 親父ギャグみたいシリーズ 2016年12月15日
短歌味体Ⅲ 1411-1412 日々シリーズ 2016年12月16日
短歌味体Ⅲ 1413-1414 日々シリーズ・続 2016年12月17日
短歌味体Ⅲ 1415-1416 日々シリーズ・続 2016年12月18日
短歌味体Ⅲ 1417-1418 日々シリーズ・続 2016年12月19日
短歌味体Ⅲ 1419-1420 日々シリーズ・続 2016年12月20日
短歌味体Ⅲ 1421-1422 日々シリーズ・続 2016年12月21日
短歌味体Ⅲ 1423-1424 日々シリーズ・続 2016年12月22日
短歌味体Ⅲ 1425-1426 日々シリーズ・続 2016年12月23日
短歌味体Ⅲ 1427-1428 日々シリーズ・続 2016年12月24日
短歌味体Ⅲ 1429-1430 日々シリーズ・続 2016年12月25日
短歌味体Ⅲ 1431-1432 日々シリーズ・続 2016年12月26日
短歌味体Ⅲ 1433-1434 日々シリーズ・続 2016年12月27日
短歌味体Ⅲ 1435-1436 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続  2016年12月28日
短歌味体Ⅲ 1437-1438 日々シリーズ・続  2016年12月29日
短歌味体Ⅲ 1439-1440 語音シリーズ  2016年12月30日
短歌味体Ⅲ 1441-1442 語音シリーズ・続 2016年12月31日
短歌味体Ⅲ 1443-1445 新年シリーズ  2017年01月01日 
短歌味体Ⅲ 1446-1447  2017年01月02日
短歌味体Ⅲ 1448-1449 日々シリーズ・続 2017年01月03日
短歌味体Ⅲ 1450-1452 好き!シリーズ 2017年01月04日
短歌味体Ⅲ 1453-1454 好き!シリーズ・続  2017年01月05日
短歌味体Ⅲ 1455-1456 キライ!シリーズ 2017年01月06日
短歌味体Ⅲ 1457-1459 キライ!シリーズ・続 2017年01月07日
短歌味体Ⅲ 1460-1461 日々シリーズ・続 2017年01月08日
短歌味体Ⅲ 1462-1463 探索シリーズ 2017年01月09日
短歌味体Ⅲ 1464-1465 あっ!シリーズ・続 2017年01月10日
短歌味体Ⅲ 1466-1467 あっ!シリーズ・続 2017年01月11日
短歌味体Ⅲ 1468-1469 わけわかめシリーズ 2017年01月12日
短歌味体Ⅲ 1470-1471 わけわかめシリーズ・続  2017年01月13日
短歌味体Ⅲ 1472-1473 あっ!シリーズ・続 2017年01月14日
短歌味体Ⅲ 1474-1475 わけわかめシリーズ・続 2017年01月15日
短歌味体Ⅲ 1476-1478 わけわかめシリーズ・続 2017年01月16日
短歌味体Ⅲ 1479-1480 わけわかめシリーズ・続 2017年01月17日
短歌味体Ⅲ 1481-1482 境界シリーズ  2017年01月18日
短歌味体Ⅲ 1483-1484 境界シリーズ・続 2017年01月19日
短歌味体Ⅲ 1485-1486 境界シリーズ・続 2017年01月20日
短歌味体Ⅲ 1487-1489 境界シリーズ・続 2017年01月21日
短歌味体Ⅲ 1490-1491 境界シリーズ・続 2017年01月22日
短歌味体Ⅲ 1492-1493 境界シリーズ・続 2017年01月23日
短歌味体Ⅲ 1494-1495 境界シリーズ・続 2017年01月24日
短歌味体Ⅲ 1496-1497 どんなかんかくシリーズ 2017年01月25日
短歌味体Ⅲ 1498-1499 どんなかんかくシリーズ・続  2017年01月26日
短歌味体Ⅲ 1500-1501 どんなかんかくシリーズ・続 2017年01月27日
  短歌味体 Ⅲ   日付
短歌味体Ⅲ 1502-1504 どんなかんかくシリーズ・続 2017年01月28日
短歌味体Ⅲ 1505-1506 どんなかんかくシリーズ・続 2017年01月29日
短歌味体Ⅲ 1507-1508 どんなかんかくシリーズ・続 2017年01月30日
短歌味体Ⅲ 1509-1510 どんなかんかくシリーズ・続 2017年01月31日
短歌味体Ⅲ 1511-1512 どんなかんかくシリーズ・続  2017年02月01日
短歌味体Ⅲ 1513-1514 どんなかんかくシリーズ・続  2017年02月02日
短歌味体Ⅲ 1515-1517 どんなかんかくシリーズ・続 2017年02月03日
短歌味体Ⅲ 1518-1520 どんなかんかくシリーズ・続 2017年02月04日
短歌味体Ⅲ 1521-1522 どんなかんかくシリーズ・続 2017年02月05日
短歌味体Ⅲ 1523-1524 どんなかんかくシリーズ・続  2017年02月06日
短歌味体Ⅲ 1525-1527 どんなかんかくシリーズ・続 2017年02月07日
短歌味体Ⅲ 1528-1530 どんなかんかくシリーズ・続  2017年02月08日
短歌味体Ⅲ 1531-1532 どんなかんかくシリーズ・続  2017年02月09日
短歌味体Ⅲ 1533-1534 どんなかんかくシリーズ・続 2017年02月10日
短歌味体Ⅲ 1535-1536 どんなかんかくシリーズ・続  2017年02月11日
短歌味体Ⅲ 1537-1538 どんなかんかくシリーズ・続   2017年02月12日
短歌味体Ⅲ 1539-1541 どんなかんかくシリーズ・続    2017年02月13日
短歌味体Ⅲ 1542-1544 どんなかんかくシリーズ・続  2017年02月14日
短歌味体Ⅲ 1545-1547 どんなかんかくシリーズ・続   2017年02月15日
短歌味体Ⅲ 1548-1549 どんなかんかくシリーズ・続 2017年02月16日
短歌味体Ⅲ 1550-1551 どんなかんかくシリーズ・続 2017年02月17日
短歌味体Ⅲ 1552-1554 どんなかんかくシリーズ・続  2017年02月18日
短歌味体Ⅲ 1555-1556 少年期シリーズ  2017年02月19日
短歌味体Ⅲ 1557-1558 幼年期シリーズ   2017年02月20日
短歌味体Ⅲ 1559-1561 我が遙か太古シリーズ 2017年02月21日
短歌味体Ⅲ 1562-1564 触れるシリーズ 2017年02月22日
短歌味体Ⅲ 1565-1566 触れるシリーズ・続 2017年02月23日
短歌味体Ⅲ 1567-1568 触れるシリーズ・続 2017年02月24日
短歌味体Ⅲ 1569-1571 言葉の渡世シリーズ・続  2017年02月25日
短歌味体Ⅲ 1572-1573 内と外シリーズ・続 2017年02月26日
短歌味体Ⅲ 1574-1575 内と外シリーズ・続  2017年02月27日 
短歌味体Ⅲ 1576-1577 内と外シリーズ・続   2017年02月28日
短歌味体Ⅲ 1578-1579 ひとりの場所シリーズ  2017年03月01日
短歌味体Ⅲ 1580-1581 ひとりの場所シリーズ・続  2017年03月02日
短歌味体Ⅲ 1582-1583 ひとりの場所シリーズ・続  2017年03月03日
短歌味体Ⅲ 1584-1585 ひとりの場所シリーズ・続   2017年03月04日 
短歌味体Ⅲ 1586-1587 二人の場所シリーズ  2017年03月05日
短歌味体Ⅲ 1588-1589 二人の場所シリーズ・続  2017年03月06日
短歌味体Ⅲ 1590-1592 演歌シリーズ   2017年03月07日
短歌味体Ⅲ 1593-1594 力動シリーズ  2017年03月08日 
短歌味体Ⅲ 1595-1596 力動シリーズ・続 2017年03月09日
短歌味体Ⅲ 1597-1598 知らないシリーズ 2017年03月10日
短歌味体Ⅲ 1599-1600 知らないシリーズ・続  2017年03月11日
   
   短歌味体 Ⅲ    日付
短歌味体Ⅲ 1601-1602 知らないシリーズ・続 2017年03月12日
短歌味体Ⅲ 1603-1604 知らないシリーズ・続 2017年03月13日
短歌味体Ⅲ 1605-1607 言葉の駅シリーズ 2017年03月14日
短歌味体Ⅲ 1608-1610 言葉の駅シリーズ・続 2017年03月15日
短歌味体Ⅲ 1611-1612 言葉の駅シリーズ・続 2017年03月16日
短歌味体Ⅲ 1613-1614 言葉の駅シリーズ・続 2017年03月17日
短歌味体Ⅲ 1615-1616 言葉の駅シリーズ・続  2017年03月18日
短歌味体Ⅲ 1617-1618 言葉の駅シリーズ・続  2017年03月19日 
短歌味体Ⅲ 1619-1620 春だねえシリーズ 2017年03月20日
短歌味体Ⅲ 1621-1622 春だねえシリーズ・続 2017年03月21日
短歌味体Ⅲ 1623-1624 春だねえシリーズ・続  2017年03月22日
短歌味体Ⅲ 1625-1626 春だねえシリーズ・続  2017年03月23日
短歌味体Ⅲ 1627-1628 春だねえシリーズ・続  2017年03月24日
短歌味体Ⅲ 1629-1630 春だねえシリーズ・続   2017年03月25日 
短歌味体Ⅲ 1631-1632 言葉が・・・シリーズ 2017年03月26日
短歌味体Ⅲ 1633-1634 言葉が・・・シリーズ・続  2017年03月27日
短歌味体Ⅲ 1635-1636 言葉が・・・シリーズ・続   2017年03月28日
短歌味体Ⅲ 1637-1638 春だねえシリーズ・続 2017年03月29日 
短歌味体Ⅲ 1639-1640 春だねえシリーズ・続   2017年03月30日 
短歌味体Ⅲ 1641-1642 言葉が・・・シリーズ・続  2017年03月31日
短歌味体Ⅲ 1643-1644 言葉が・・・シリーズ・続 2017年04月01日
短歌味体Ⅲ 1645-1646 春さくらシリーズ 2017年04月02日
短歌味体Ⅲ 1647-1648 春さくらシリーズ・続 2017年04月03日
短歌味体Ⅲ 1649-1650 春さくらシリーズ・続 2017年04月04日
短歌味体Ⅲ 1651-1652 春さくらシリーズ・続 2017年04月05日
短歌味体Ⅲ 1653-1655 春さくらシリーズ・続 2017年04月06日
短歌味体Ⅲ 1656-1657 春さくらシリーズ・続   2017年04月07日
短歌味体Ⅲ 1658-1659 主流シリーズ 2017年04月08日
短歌味体Ⅲ 1660-1661 主流シリーズ・続 2017年04月09日
短歌味体Ⅲ 1662-1663 吉本隆明シリーズ 2017年04月10日
短歌味体Ⅲ 1664-1665 吉本隆明シリーズ・続 2017年04月11日
短歌味体Ⅲ 1666-1667 吉本隆明シリーズ・続 2017年04月12日
短歌味体Ⅲ 1668-1669 主流シリーズ・続 2017年04月13日
短歌味体Ⅲ 1670-1671 主流シリーズ・続  2017年04月14日
短歌味体Ⅲ 1672-1673 春さくらシリーズ・続   2017年04月15日
短歌味体Ⅲ 1674-1675 死シリーズ 2017年04月16日
短歌味体Ⅲ 1676-1677 死シリーズ・続  2017年04月17日
短歌味体Ⅲ 1678-1679 吉本隆明シリーズ・続 2017年04月18日 
短歌味体Ⅲ 1680-1681 吉本隆明シリーズ・続 2017年04月19日 
短歌味体Ⅲ 1682-1683 吉本隆明シリーズ・続 2017年04月20日
短歌味体Ⅲ 1684-1685 主流シリーズ・続 2017年04月21日
短歌味体Ⅲ 1686-1687 吉本隆明シリーズ・続  2017年04月22日
短歌味体Ⅲ 1688-1689 詩はすぐにできるシリーズ 2017年04月23日
短歌味体Ⅲ 1690-1691 詩はすぐにできるシリーズ・続 2017年04月24日
短歌味体Ⅲ 1692-1693 吉本隆明シリーズ・続 2017年04月25日
短歌味体Ⅲ 1694-1695 あたりまえシリーズ 2017年04月26日
短歌味体Ⅲ 1696-1697 吉本隆明シリーズ・続 2017年04月27日
短歌味体Ⅲ 1698-1699 幻視シリーズ 2017年04月28日
短歌味体Ⅲ 1700-1701 幻視シリーズ・続  2017年04月29日 












   [短歌味体Ⅲ] 固有値シリーズ・続


1202
ふと気づく いつもの風が
匂い立つ
丘陵地に立っている


1203
はじまりはわからない でも
ごはんは
左に置いて食事をしてる




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ


1204
あっ なぜか急止して
言葉の橋が
がらがらと落下しゆく見える


1205
あっ 飛び石踏んだら
ぐらりと
水の匂うすろうもうしょん




   [短歌味体Ⅲ] おおシリーズ


1206
おお できるように
なったんだね
川の水ゆったり流れている


1207
おお こんなにおいしい
ものがある
なんてbeyond description!




   [短歌味体Ⅲ] うっシリーズ


1208
口に入り うっ うううう と
ズンズズン
見る間に肌合いをよじる


1209
うっ ううう うーむ
重たく
沈み閉じていく うっううう




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1210
あっ から あーああ の時間
の谷間に
無縁なように主流が流れている


1211
あっ 戻れない時間
悔恨の
深い色合いに染まり流れる




   [短歌味体Ⅲ] うっシリーズ・続


1212
うっ 空洞の圧
高まり
丘陵のみどりどんより


1213
つまずく前の 寄せて来る大気
に触れる うっ
一瞬にみどり変色する


1214
うっ どこかのルートを
うーうーうー
サイレン鳴らし走る気配




   [短歌味体Ⅲ] おおリーズ・続


1215
おお 感じた時
奥深い
丘陵地緑風にふくらむ


1216
おお おお おお と前に突き進み
押しのけて
殺殺殺殺と過ぎゆく者がいる




   [短歌味体Ⅲ] だからあシリーズ


1217
川を下るいつもの流れ
ふいと混じる
濁り具合に自然と声の出る


1218
だからあ と放つ流線
過去の
くり返された場面に畳み込まれる




   [短歌味体Ⅲ] 人と人シリーズ・続


1219
場に合っておもい黙す
から一歩
出ようとすれば有り合わせで狼煙を上げる


1220
ひととひと余所行き着てても
「いい天気ですね」
と自然に流れ出せればいいな




   [短歌味体Ⅲ] えっシリーズ


1221
通りの角曲がろうと
瞬間
引き戻される引力に えっ


1222
ええ ええ ええ ええ えっ
平坦な
道をゆったり歩く突然の雨




   [短歌味体Ⅲ] 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ


1223
柳田の明らかにしたように
同じ雨
でもそれぞれの地差異を奏でる


1224
目に写る一つ列島でも
季節は
スペクトル帯を震わせ移る


1225
狂い咲きの暑い夏も
終わり 秋
つかの間の穏やかさに浸かる




   [短歌味体Ⅲ] 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続


1226
若い頃はたくさん誤解してた
たまねぎを
ただ刻むばかりに見えていた


1227
内にいても年とらないと
見えてこない
内の内なる風景の流るる


1228
大口や饒舌の峠下り
触れて来る
小さなことが言い様もなく




   [短歌味体Ⅲ] 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続


1229
顔は知らなくても
言葉の
生み出す流れや屈折があり


1230
盲目の人のように
流れに浸かり
像の手前の〈像〉の匂う




   [短歌味体Ⅲ] そうだねシリーズ


1231
絡み合いこんがらがった
糸糸糸
閉ざされた夢に薄明かりの差す


1232
ずんずんと絡まるばかり
の森の中
「そうだね」をなぎ倒し突き進む


1233
ふいとつぶやく「そうだね」
冷氷に
日が差して水ぬるみゆく朝




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ


1234
言葉の駅の手前で
引き返した
夜風は寒く孤星たちはまたたく


1235
何にも言うこともなく
星たちは
昼夜またたく〈・・・・・・・〉




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ・続


1236
沈黙の内にあっても
飛び立たない
言葉たちがにぎやかだ


1237
沈黙は否定肯定越えて
峠下り
そのままそこに溶けいることがある


1238
沈黙が人間界を
超えゆけば
木の葉が深々と落ちている




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ・続


1239
黙々と何かしてる時
からだは
静かの海に到達している


1240
沈黙の純度が上がる
ということは
死の漸近線(ぜんきんせん)に引き寄せらるる




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ・続


1241
人の話を聞いている
二方向に
引かれ二重化している沈黙


1242 
身を退いてひとり静かに
凪いでいる
水面に映る色付く木の葉




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ・続


1243
ぽつぽつ滴とともに
沈黙の
時間遙かに下っていく


1244
言葉は溶けて消失し
にぎやかな
魚語のこだまする海中にいる


1245
言葉がありありと見える
金縛り
ただ魚のように肌震わす




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ


1246
気づいたら渦中にいて
この世界
上流下流あり流れている


1247
おそらくは気づくこともなく
ふうっと
この世界から消えていくのだろう




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1248
ひと滴落ちてしまった
波紋 それだけで
広がり滲みて世界の色深まる


1249
不在でもぽっかり空いた
空席に
その人の匂いつなぎ止められている




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1250
何気なくころがしたボール
追いすがるも
離破離破鈍曇(リハリハドンドン)ころがりゆく


1251
すれちがうつもりなくても
すれちがい
平行線の撓(たわ)み反れゆく




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1252
しっかりと用意周到に
綱張り
巡らせても世界は複雑系か


1253
リュックしょい準備万端に
歩み出す
特異点に落ち込んだ朝の


1254
いちにいさんと数えていく
数は合っても
不在の人がいる匂いする




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1255
今が全てに見えるけど
誕生日
もありつながる葬式にも出る


1256
「おはよう」に「おはよう」と返す
何気ない
朝に静かに世界は下りている


1257
〈おはよう〉と無言の内に
つぶやくは
誰ともなく世界へのあいさつ




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1258
行動や言葉だけが
波風を
立てるわけじゃ ない


1259
静かに黙っていても
空間は
ゆがみ伝わる重力場




   [短歌味体Ⅲ] 書くときはシリーズ


1260
書く時は無心になって
砂場する
子どもの手の 探査もしている


1261
書く時はひとりのたましいの
在所を
思い浮かべて信号している 時がある




   [短歌味体Ⅲ] 書くときはシリーズ・続


1262
これがね、今発掘した
ばかりの小石
積み上げてみなよと自分に言う


1263
さてと言葉に向かう時
馴染みない
いろんな人も立ち現れる




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1264
見た一瞬の〈あっ〉や〈(あ)〉には
ひとりひとり
の年輪が放つ光の川流る


1265
人ならば見られても
見られてなくても
どこかで余所行きになっている


1266
岬近く無心のからだは
闇を背に
光る小川に浸(つ)かっている




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1267
赤ちゃんの〈あうあう あう〉
もうみんな
忘れてしまったけど 流れる深層水


1268
明示する言葉がなくても
居るだけで
言葉のような 場所がある




   [短歌味体Ⅲ] 書くときはシリーズ・続


1269
イメージの破片、破片の
懸垂し
言葉の流れに浮上する


1270
イメージ群ぽっと点(とも)る時
あったかい
流線描いて言葉の舟へ




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1271
言葉かけられ「かまいませんよ」
と返す時
水濁り出し泡立つことがある


1272
「かまいません」と返す時
海は凪ぎ
玄関から部屋に静かに戻る




   [短歌味体Ⅲ] 農事シリーズ・続


1273
農に出て土に鍬(くわ)打ち
打ち打ちて
帰り着き心地よい疲労の


1274
疲労の曲線は
定常値
以下に心もからだも沈む


1275
生活のドーム内に浸かり
心からだ
溶けて別世界へ羽ばたかない




   [短歌味体Ⅲ] ああいいねシリーズ


1276
アリさんがぶつかっちゃったね
(ああいいね)
やさしい風も吹いてるね


1277
そうやってそこの峠を
越えて来た
んだね 冷たい風に煽られながら




   [短歌味体Ⅲ] ああいいねシリーズ・続


1278
ああいいね そんな風に
できるんだ
折り紙の鳥の今飛び立つ


1279
七曲がりキリキリねじれ
澱むばかり
の空気にふいと風穴の開く




   [短歌味体Ⅲ] 内と外シリーズ・続


1280
(しょうがない)と思っていても
懸垂し
大きな声で「悪だ」と叫ぶことがある


1281
内から外へ同じ線路
でも幅も
景色も違い軋(きし)みを上げる




   [短歌味体Ⅲ] ああいいねシリーズ・続


1282
このシャツ着心地がいい
なんか
うまくいくような 肌合いの予感


1283
あっ 葉っぱに 水玉が
ころころん
水しぶき上がる イメージ走行




   [短歌味体Ⅲ] 内と外シリーズ・続


1284
√(るーと)の内外同じ
演算でも
内外間の直通はない


1285
個のルートと多のルート
メビウスの輪
ねじりよじり夢うつつに抜ける




   [短歌味体Ⅲ] 内と外シリーズ・続


1286
さくら散る 鎧(よろい)の内を
はらはらと
落ちてゆき身は湿りゆく


1287
静かに佇んでいても
ずんずんと
重り重なりつま先立つ




   [短歌味体Ⅲ] 接続論シリーズ・続


1288
くねくねくね山道上り
心待ちに
ぱっと開けた湾に日の差す


1289
(うっうっう)言ってやろうー
言ってやるー
お父さんに言ってやろうー




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ


1290
よーいドンみたいに始まり
曲がりくねる
道々を日々周回する


1291
同じ景色に見えても
少しだけ
日々新たな匂い立ち上る


1292
走行する内側では
ふだん着の
季節に合わせ衣更えもする




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ・続


1293
つづけるは意志力が要る
日々を経て
くり返す中に溶けていく


1294
つづけるは意志力だけ
ではなく
人の奥処(おくが)から立ちのぼるもの


1295
つづけるは年経(ふ)る二人
ドキドキは
形を変えて自然走行す




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ・続


1296
ドラマでもつづけるうちに
次第に
作る観る共になじんでゆき


1297
つづけるは人との出会い
のように
いくつもの起伏の物語があり




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ・続


1298
走り出すERの
次第に
造型してしまう幻の物質感

註.ER: Emergency Room ,救急救命室 ,十数年続いたアメリカのテレビドラマ。


1299
目まぐるしいERの日々
人々に
時折舞い降りてくる静けさの物語


1300
いずれの地も人と人の
関わり合い
流れ出し合うものは普遍に見える




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ・続


1301
歩くのはつづけることか
立ち止まり
憩っていても心歩きつづく


1302
いちにいーさんと画数
たどりゆき
言葉の尾根へ登りつづける




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ・続


1303
〈あ〉と響く心の中から
〈愛〉なのか
〈哀〉なのか心積もり曲がることもある


1304
知ってるさと歩き出しても
思わぬ方から
〈あい〉 揺さ振りかけられる




   [短歌味体Ⅲ] 起動シリーズ


1305
昨日まで動いていたのに
起動しない
機動戦士ガンダムを揺する


1306
子どもらの宝箱にも
曇り差し
起動せんしガンダムがいる


1307
遊びには加わることなく
しいーんと
きどうせんしガンダム静か




   [短歌味体Ⅲ] 起動シリーズ・続


1308
(ドン)鈍く響き渡り
どんどん
近づいて来るなぜかドン・ガバチョ


1309
(ガタッ)つーつーつーつ
と抜けていく
夜目に浮かぶ鼠小僧




   [短歌味体Ⅲ] 起動シリーズ・続


1310
〈き〉が浮かぶ瞬間には
〈木〉か〈気〉か〈喜〉か
とある港からすでに出ている


1311
言葉が記されなびく
舟は揺れ
航路修正しつつ進む


1312
あっあれがサザンクロス!
月明かりと
星の光が航路を照らす




   [短歌味体Ⅲ] 起動シリーズ・続


1313
水面に 赤 ひと滴
落ち   て  ゆ く
青の凪 に 溶け   広がる


1314
偶然の風に吹かれて
協奏の
色の物語 鮮やかな断面




   [短歌味体Ⅲ] 秋シリーズ・続


1315
あき秋アキ 紅葉の秋
暖色の
ひかり弱くも日差しに高揚す


1316
もうお別れと惜しむ流れ
からふいと
寒色へ落ちていく予感




   [短歌味体Ⅲ] 秋シリーズ・続


1317
いちまい にまい さんまい
(内に)積み重なり
色とりどりに秋が映える


1318
心の内古びた道を
歩き歩く
遙かな〈あき〉の始まりとの出会いへ




   [短歌味体Ⅲ] 秋シリーズ・続


1319
紅葉し葉が散っていく
木々ばかり
ではなく 万物の秋


1320
葉の落ちゆくに立ち合って
しずかに(し ず か に)
舞い落ちてゆくものたちがある




   [短歌味体Ⅲ] おしまいシリーズ


1321
おしまいと閉じられていく
扉へ
名残惜しげに眼差し駆ける


1322
病気ではないから
扉を
蹴破ることは ない ないけど


1323
おしまいにはつらいうれしい
ともにあり
日々〈おしまい〉をくり返している




   [短歌味体Ⅲ] おしまいシリーズ・続


1324
ゆったりゆるゆるんから
すとん落ち
おしまいからまたこの世を歩く


1325
ほんとにほんとのおしまい
はわからない
自らはおしまいに眠るのだろう




   [短歌味体Ⅲ] 秋シリーズ・続


1326
(ああいいな清々するするな)
つぶやいてる
紅葉の秋の散りゆく


1327
あきという音の響きに
無量の
空(そら)の思いを対置している




   [短歌味体Ⅲ] 秋シリーズ・続


1328
静かに雨が降っている
霜月の
からだを下る秋の……予感


1329
すききらい言っても仕方
ないけれど
季節は春秋 肌に心地良い服




   [短歌味体Ⅲ] 返答シリーズ


1330
同じ「はい」の返事でも
心模様
の棚引いて色流れ出す


1331
テレビ観て背広姿の
キャスターに
〈なんだこの野郎〉とつぶやいている




   [短歌味体Ⅲ] 返答シリーズ・続


1332
「これどう思いますか」と言う
質問に
無言の重みで相対している


1333
返答は我知らずに
自らの
言葉の在所を照らし出す




   [短歌味体Ⅲ]返答シリーズ・続 


1334
返答は 関係の切り
結ぶ場よ
ざわざわわと川が流れている


1335
もちろんオッケーだよと
気楽に
返答することはよくあるとしても


1336
母からも「はっきりしない子ねえ」
と言われた
子は百年の返答の旅に出る




   [短歌味体Ⅲ] 返答シリーズ・続


1337
風に押され「知りません」と
答えて
しまった ほんとは知っていたのに


1338
好きなのにキライと言って
しまった
取り返しのつかない夕暮れ




   [短歌味体Ⅲ] つっぱりシリーズ


1339
自分でも涙もろくは
あるけれど
「癒ヤサレルウ」には一歩退く


1340
別にいいけど「元気モラッタア」
は着心地
悪い服を着ている感じ


1341
で、モラッタ人はファウストの
契約から
どんなお返しこっそりしてる?

註.「ファウスト」、自らの欲望のため悪魔と契約して自分の魂を売り渡したと言われる。




   [短歌味体Ⅲ] つっぱりシリーズ・続


1342
「アナタハナメテイルノ?」
ええ少し
塩もなめさせられていますし


1343
一人の分岐点に
他人に
すがることなくしっかり立てよ




   [短歌味体Ⅲ] つっぱりシリーズ・続


1344
もやもやの影に潜(ひそ)んで
押したりは
しない 言いたいことは言うさ


1345
非力(ひりき)でも人頼みは
しない
シナイの地からただ岩肌を見る




   [短歌味体Ⅲ] 返答シリーズ・続


1346
中空より見渡す評論家(ひと)は
(弁解しても)
特等席に座って見える


1347
得意げに世界政治を
語る評論家(ひと)
この地に立つ我は無言で対す


1348
大切なものは「ほらここ」
犬と共に
日々穏やかに過ごすばかりだ




   [短歌味体Ⅲ] みどり差すシリーズ


1349
はぶ茶が葉を開く朝
葉はみどり
照り映えてその匂い漂う


1350
静かな葉脈の午後
内では
にぎやかに行き交う言葉たち


1351
葉が揺れる 観葉植物
の放つ
やわらかなみどりの影の差している




   [短歌味体Ⅲ] みどり差すシリーズ・続


1352
葦伸びる パスカルの背に
みどりの
影差してゆらゆらしている

1353
水に映る座標のみどり
ゆらゆれゆ
座標変換、不安のデカルト




   [短歌味体Ⅲ] イメージシリーズ・続


1354
無限の自由度持つ
わけでなく
固有値に引かれゆくイメージ束


1355
イメージはベクトル場の
渦流
むむむむむと(無意識からも)立ち上がり来る


1356
イメージの打ち上がる花火
色々に
自由と強いられ背中合わせの

 註.『現実宿り』(坂口恭平)を読みながら




   [短歌味体Ⅲ] イメージシリーズ・続


1357
夕空を鳥が飛んでいる
イメージの
流れに 乗り 羽ばたいて ゆく


1358
ぼんやりと眺めていても
背景に
銀河の星々明滅している




   [短歌味体Ⅲ] みどり差すシリーズ・続


1359
(み ど り) 言葉の丘越え
てゆくよ
好きな女(ひと)のみどり道を


1360
みどり差す 無重力に
見えるとき
概念以前の道を通っている




   [短歌味体Ⅲ] みどり差すシリーズ・続



1361
日に映えるみどり深まり
青緑
変幻する葉の衣装たち


1362
(み ど り)と言葉の道へ
入りかける
と 魚のように跳ねてゆく葉の




   [短歌味体Ⅲ] みどり差すシリーズ・続



1363
みどり葉を すべり おちる
ひと滴
きらきらきらとみどりの匂う


1364
偶然にひと葉の後を
追うひと葉
ふた葉のみどり溶けて落ちゆく




   [短歌味体Ⅲ] あっ しまったシリーズ


1365
(あっ しまった)とうすい切り傷
ならばよい
また明日も普通に朝が降りてくる


1366
やめられないとまらない
通りが
確かにあって免れる者はいない


1367
始まりはひと滴の
落下から
広く深く染まっていく




   [短歌味体Ⅲ] あっ しまったシリーズ・続


1368
(あっ しまった)とつまづいても
線や色を
塗り重ね補修して新た


1369
まだ峠の途中なら
脇道も
引き返しもできるさ きみは




   [短歌味体Ⅲ] あっ しまったシリーズ・続


1370
鼻歌の流れ切断
(あっ しまった)
重い運命の舞い降りることがある


1371
関係のそこの峠
越えれば
あっ しまった 戻れない道




   [短歌味体Ⅲ] あっ しまったシリーズ・続


1372
映画なら練習で
何度でも
降り来るシャッターにトライできるさ


1373
潜り抜けできないとすれば
また別の
ドアーをこじ開けゆくほかにない




   [短歌味体Ⅲ] 何でもないよシリーズ


1374
どうしたのと聞かれても
朝の空気
微かにひび割れて見える


1375
「何でもないよ」と答えてる
不快な音
聞こえ続ける モスキート音



   [短歌味体Ⅲ] お別れだねシリーズ


1376
通夜の日の受付にひとり
立ち居て
遙か時間の小川に立ち入る

 註.十数人の家族葬に近い、見知った親戚の通夜に出て。


1377
年老いても小川に入る
少年の
心たかぶり仕舞い込まれてある


1378
あの頃は二度とくり返し
たくない
くり返せない 真夏のシャツ




   [短歌味体Ⅲ] 生きるシリーズ


1379
こんなもん死んでしまえば
お終いよ
とデカダンスのコースターには乗らない


1380
それでもと今を歩きゆく
この場所の
一歩を大事に地を踏み締めゆく
 

 註.世界の不毛な戦争や内戦の渦中の人の様子を外から見たり、わが国の不毛な政治を見たり、吉本さんの語った老いの孤独やつらさを思いつつ。





   [短歌味体Ⅲ] 生きるシリーズ・続


1381
大上段になぜ生きているか
なんて考えず
今日もまた朝の寒さに立つ


1382
生きるのは 自転車を
時には
きれいさっぱりにして乗りゆく




   [短歌味体Ⅲ] 何でもないよシリーズ・続


1383
「あのう それ・・・」 どうしたの?
「ううん 何でもない」
光の帯、車列流れる


1384
明るさを一段階
落とした
テレビのようになんとなく違う




   [短歌味体Ⅲ] 何でもないよシリーズ・続


1385
わかることわからないこと
種々(くさぐさ)に
なんでもない朝に突き出ている


1386
重大な重圧かかる
重心の
「なんでもないよ」と言うことがある




   [短歌味体Ⅲ] 生きるシリーズ・続


1387
いちにいさん さんにいさん
ダンスに限らず
行きつ戻りつ日が暮れる


1388
いちまい にまい さんまい・・・
時には
花びらに身をまかせることもあるさ




   [短歌味体Ⅲ] 生きるシリーズ・続


1389
眠りは ひっそり閑の
建物の
主不在で音信不通か


1390
眠っていても黙っていても
静かに
駆動し続ける 生・き・て・い・る




   [短歌味体Ⅲ] あっ風シリーズ


1391
街角をいつものように
曲がったら
あっ風 どこか馴染みでどこか新しい


1392
歩いてると気づかない
あっ風
肌を刺し押す冬のバイク




   [短歌味体Ⅲ] 即興シリーズ・続


1393
相変わらず元気がよい
押しのける
言葉たちはうさんくさい


1394
風景のいろんな隅に
小さな一歩
大事にしてる ひと ひと ひとがいる




   [短歌味体Ⅲ] 半径シリーズ


1395
半径はボスに雇われ
運動する
のではなく 冬の日差しを浴びる


1396
発見され半径と呼ばれても
我はただ
ダンスのように自在に動く


1397
裏手には半径描く
各々の
こぢんまりした佇まいがある




   [短歌味体Ⅲ] 半径シリーズ・続


1398
自然まみれ発見され
概念に収まっても
半径は円に仕えるだけでなく


1399
半径と呼んでも良いけど
一部だけ
後は静かに分離独立している




   [短歌味体Ⅲ] 生きるシリーズ・続


1400
池の水冷たい紗(しゃ)に
揺ら揺らと
魚影の静かに動きゆく


1401
超純水路を
幻の
魚が一匹ゆったりとゆく




   [短歌味体Ⅲ] 生きるシリーズ・続


1402
のどかな童話の舞台
裏手には
オオカミ少年静かに眠る


1403
濃い霧の不明の森の
細道を
童話の薄灯りで歩む時がある




   [短歌味体Ⅲ] 半径シリーズ・続


1404
半径半径呼ぶんじゃない
今は気ままな
放浪するベクトルさ


1405
ぐるっとからだほぐす
こともあるさ
半径と呼ぶ者は呼べ




   [短歌味体Ⅲ] 生きるシリーズ・続


1406
これは砂、生きてる限り
砂も生き
人も砂も変貌しゆく


1407
「あっ砂」と気づく〈わたし〉と
この世界
この世の外なら〈わたし・砂〉も無い




   [短歌味体Ⅲ] 親父ギャグみたいシリーズ


1408
そんなことすなすなと言う
ジャリジャリ
と砂の味する 旧言語感


1409
スナフキン砂かぶりで
現れて
いつもとちがう シン言語感


1410
金来ん寒 いや違うなあ
どっかで
耳触れたことあるシンゲンゴカン




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ


1411
日々生きて何とはなしに
落とした箸(はし)
のような涙ふいと滲む


1412
小さな石ころまたぎ
越す日々に
急なシャットダウンの大岩




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1413
この冬もまたひびわれても
修復し
振り返ることなく日々渡る


1414
目を凝らし小石投げても
静かな、
波紋も立たず日が暮れてゆく




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1415
何気なくもらった小石
ずしん深
説話のように心に沈む


1416
もらったら部屋のひかりに
溶け出して
ちろちろと点(とも)り続ける小石




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1417
泥道も遙か彼方へ
幻の
泥道行けば長靴の肌合い流る


1418
あれ?いつもと違うね
と言われる
真新しい朝誰にもあるさ




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1419
雷鳴と稲光に
襲われて
「かみなりさんだ!」の童話からあわてふためく


1420
子どもらは外の威力
知るからに
黙々として耐えスルーする




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1421
大人になり忘れてしまう
けど子どもは
幻の大きな堤防に拳(こぶし)突き続ける

 註.堤防と言えば、堤防の裂け目に指をつっこんで決壊を防いだというオランダの少年の話、遠い昔に聞いたことがある。幻の話だとか。



1422
日溜まりにねこのように
まるくなり
からだくつろぐこともある子等は




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1423
木の葉が落ちている
時には
立ち止まり立ち合うことがある


1424
十二月とっても寒いけど
この晴天
大空を見渡すあったかさ




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1425
日々平らでも時には
にわかに
両翼のぐらりと傾(かし)ぐ


1426
らんらんらん軽い足取り
またぐ時
家の中より暗雲流れ来る




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1427
ブレス置く重い思いは
荷解(ほど)かれ
モカの香りの滲み渡りゆく


1428
オンチでもリズム踏んでる
時がある
薄い暗雲吹き飛んだ後




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1429
「はい」のひと言も巡り
巡って
血潮から放たれ上り来る


1430
風景を改行して
「あっは」
のひと言深く夢魔は登場す

 註.「あっは」と「夢魔」は、埴谷雄高『死霊』の中の言葉。




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1431
駅を出て見上げた心に
ぼんやりと
電光掲示板のコマーシャル流れゆく


1432
あんまり気にも留めずに
日々歩き
ふと立ち止まる足裏の思い




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1433
例えばバンジージャンプ
場慣れしても
日々の流れの小石につまずく


1434
何度でも出会う風景
寡黙な
そのたび毎の湯気立つごはん




   [短歌味体Ⅲ] 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続


1435
年かさね一年も日々
加速感
に追い立てられふんばるばるの


1436
前世来世消失し
この日々の
小さな一歩一歩味読するのみ




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1437
跳躍に日々の一滴
轟(とどろ)いて
幻の大河滔々(とうとう)と流る


1438
観終わった映画館から
キャストらの
紹介背に日々の通りに出る




   [短歌味体Ⅲ] 語音シリーズ


1439
ああそうなんだそうなんだ
なんだなんだ
そうなん濁流のおもい


1440
どっこいしょええいえいえい
どっこい
どっこいどこどこどっこいしょ




   [短歌味体Ⅲ] 語音シリーズ・続


1441
朝水道に手肌触れ
ずきずきず
きんこおるこおらあこおれすと



1442
冬の朝大気に触れる
からだは
響き身縮むバキバキバキン




   [短歌味体Ⅲ] 新年シリーズ


1443
新年の日の出も違う
少しだけ
こころの窓に匂い新たに差す


1444
今度こそと焦り焦って
転がり落ちる
こともなく普通におみくじを引いてみる


1445
くり返す新年の
時間の手すり古びても
またこころさざ波立ち通っていくよ




   [短歌味体Ⅲ] 


1446
人は象形に留められて
時間の海を
宇宙塵と漂いその形象の内に生きる


1447
留められてももぞもぞと動き
回り出す
のは赤ん坊だけではなく




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1448
落ちゆくは花びらだけでなく
はらはらと
枯れ葉のように人も落ちゆく


1449
ふいに来る弔いに出る
誰しもが
指もてあそびと深々(シンシン)のあわいにあり




   [短歌味体Ⅲ] 好き!シリーズ


1450
ええっとね スイカにメロン
みかんりんご
それにデコポン 好き!


1451
ええっとね 麺はすこおし固めで
さっぱり味
ネギも入ってる いいなあ


1452
りんごりんごりんご色々
あるけど
とっても好き!は蜜あるフジ




   [短歌味体Ⅲ] 好き!シリーズ・続


1453
風物のこの佇まい
この流れ方
住んでみたいなと思う


1454
あれこれそれと数え上げ
巡り行く
手すりの感覚 好き!




   [短歌味体Ⅲ] キライ!シリーズ


1455
キライなもの避けようもなく
やって来て
ギッサイボッサイ肌逆立てる


1456
キライなものからだ固くして
やりすごす
退屈な時間アメのように伸びてる




   [短歌味体Ⅲ] キライ!シリーズ・続


1457
キライの匂い立つ
海域を
機雷よけつつ小舟は進む


1458
よけによけても粘り着く
アブラカダブラ
取り囲まるる キライの海!


1459
無理やりに食べさせなくても
数十年後
なんとなく食べれるようになるさ




   [短歌味体Ⅲ] 日々シリーズ・続


1460
あっ 瞬(まばた)きの内によぎる
ものがあり
見えない内によぎるものがある


1461
発動する「怒り心頭」の
ずずずっと
この世の縁(ふち)に滑り落ちる




   [短歌味体Ⅲ] 探索シリーズ


1462
叛には違いないけど
班 煩 汎
未知の航路に揺ら揺れる


1463
つっぱりに耐え返す退(の)く
はかりかね
測る量る図る謀る計る




   [短歌味体Ⅲ] あっ!シリーズ・続


1464
あっ! おちるしみるはしる
心理線
止めようもなく佇むばかり


1465
うっ にじみにじむ
にじみ走り
カタ カタ カタ とドミノは走る




   [短歌味体Ⅲ] あっ!シリーズ・続


1466
力強い風の足に
しがみつく
草花の夜は深い 深井


1467
目が慣れない新たな場面
そうなんだ
と気づく一瞬の暗転




   [短歌味体Ⅲ] わけわかめシリーズ


1468
どこからか知らず知らずに
湧いてくる
フリーラン フローラン


1469
思いつきあとしばらくで書き留める
と動き回っている
ときれいさっぱり消失している




   [短歌味体Ⅲ] わけわかめシリーズ・続


1470
キライ!じゃないのに
「キライ!」
と言ってしまっている自分の


1471
リニアーに走っている
つもりでも
観察者によると違っている




   [短歌味体Ⅲ] あっ!シリーズ・続



1472
 つんのめりゆらっと傾き
滑って
ころんですってんころりん っ!


1473
木の枝の葉揺れ動静(ドォウセイ)
動静動(ドォウセイドォウ)
晴天に雲流れ来て去る




   [短歌味体Ⅲ] わけわかめシリーズ・続



1474
時は 静かに深く
流れている
のに逆流している ここは


1475
ぼうっとするみちにぶらり入り込む
確かに
まぼろしの汽車が走りゆく

 註.こういうことがある。
「その美しい珠をそうつと覗いたとき、フーッと興奮してしまつて、何ともいへない妙な気持になつて、どうしてさうしたのか今でもわからないが、私はしやがんだまゝよく晴れた青い空を見上げたのだつた。するとお星樣が見えるのだ。今も鮮やかに覚えてゐるが、じつに澄み切つた青い空で、そこにたしかに数十の星を見たのである。昼間見えないはずだがと思つて、子供心にいろいろ考へてゐた。」
 (「ある神秘な暗示」『故郷七十年』柳田国男 )





   [短歌味体Ⅲ] わけわかめシリーズ・続



1476
ゆうれいせんを踏み行けば
アップダウン
アップダウン波打つ時間


1477
ニワトリが二羽の鳥になり
羽ばたき
二つの雲と遙か別れ行く


1478
ドア開ける部屋の空気が
混じり合い
ひえひえひえと鳥が飛び立つ




   [短歌味体Ⅲ] わけわかめシリーズ・続



1479
ゆーらんゆーらんゆーらん
揺れるのは
島ばかりではなく 人の微動の



1480
微動するふるえの駅の
手前には
ふるふるふるふるあわ雪の降る




   [短歌味体Ⅲ] 境界シリーズ



1481
いずれかの地に属するも
この花は
境界を超え銀河に瞬(またた)く


1482
境界の内にあっても
トンネル効果
肌の色超えひと色に咲く花は

 註.「トンネル効果」(ウィキペディアより)
古典力学的には乗り越えられないはずのポテンシャル障壁を粒子があたかも障壁にあいたトンネルを抜けたかのように通過する量子力学的現象である。





   [短歌味体Ⅲ] 境界シリーズ・続



1483
ゆめは…ゆめゆめゆうで
ないぞゆめ
ふかいゆめほのかに棚引いている


1484
いゅうめの深みにはまり
込んだら
あいまいみいの霧の境界




   [短歌味体Ⅲ] 境界シリーズ・続



1485
ずんずんズッキーン
バンジーの
つり上げてくるからだの深み


1486
大事故の一歩手前の
ひやりっ
カタクツメタイ波退いていく




   [短歌味体Ⅲ] 境界シリーズ・続



1487
えへんと声がしたような
あいまいの
峠に差しかかると血の気退く


1488
あまいみあまみあいまいみ
ぼおっとした
うなばらはるか島影の見ゆ


1489
知らぬ間に身をよじる島
内(しまうち)の日々に
やわらかな日差しの今日も差す




   [短歌味体Ⅲ] 境界シリーズ・続



1490
境界はしるしなくても
もわもわっ
漂い来る空気でわかる


1491
境界を一歩潜(くぐ)れば
もうきみは
まだらなきみとなり泳ぎゆく




   [短歌味体Ⅲ] 境界シリーズ・続



1492
境界はわたしでもなく
あなたでも
なくモビルスーツ身にまとってる


1493
わたしやあなただとしたら
きょうかいは
教会教戒今日かいと変幻する




   [短歌味体Ⅲ] 境界シリーズ・続



1494
きょうかいを出ると石畳
せいれいの
飛び交う指定された都市に出る


1495
ふしぎでもなんでもなさそう
だがここは
子どもが泣くと白目の流れる




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ


1496
かんかくのひと休みする
椅子はじん
じんじんわり暖まりゆく


1497
かんかくのつま先だって
のぞき見る
内を流るるさくらの花々




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1498
ふとんの内から手の圧に
感じる手から
頭の山並みにおぼろな視野の

註.冬になるとわたしの布団の上に二匹の猫が寄りつくようになる。


1499
日差し受け目をつぶると
あかあかと
波立つ血の巡りゆく




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1500
絞られて針の穴通る
かんかくの
ちろちろふるえる青色レーザー光


1501
ぼんやりと二重化して
かんかくは
大過去と現在にまたがり居る




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1502
他人の音(おん)を踏んでゆく
アップダウン
や屈折、見知らぬ匂いも立つ


1503
〈あ〉の海に飛び込んでみる
〈あ〉やしさも
〈あ〉いのそぶりも斑(まだら)にある


1504
〈ん〉でも終わらない
ごぞごそと
何か取り出し始まる気配する




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1505
「こちらは物凄い風です」
と言われて
(ああ、はい)と心つぶやき顔 観る

註.テレビの台風情報で、現場中継者とスタジオの司会者とのやり取りを観て。


1506
テレビから流れ出る
芸能人の
スキャンダル、イスカンダルのように遠い

 註.イスカンダルは、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』に出て来る、地球から十数光年離れているという星。あるいは、アレキサンダー大王のこと。





   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1507
かんかくの橋を渡りゆく
起承転結
なじみの歌をつぶやきながら


1508
手すりから手肌に流れる
かんかくの
太古の歌のように波打つ




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1509
う、うーん、何とも言えんねえ。
それは・・・。
言葉の国境線下って沈黙野


1510
言葉に結びつかなくても
縁結び
のように木肌の沈黙に重ねる




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1511
「ちゃんとかんかくを取って!」
を背にして
見えない平均台を歩む


1512
その味覚伝える道も
なくなくに
伝道のかんかくを味わう




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1513
ひとぬいのずれにずれずれ
道づれは
どうにもならぬと手を上げている


1514
ぬいすすむ丘陵地
からみどり
てんてんてんと風になびいているぞ




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1515
流れ出すサ行のうねり
に追いすがり
さらさらさらとすべりゆくカヌー


1516
やわらかなささやきほどの
水面(すいめん)の
静けさ破るずれたかんかく


1517
こうかいは後戻りする
心ばかり
を港に残し波間に揺れる




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1518
ごかんからしゃべる言葉の
地域の、
濃霧の中からふうっと車現る


1519
言葉は育まれた家の
ふと匂い、
恥ずかしげに身を飾り出す


1520
誰にも言えないひと言、
一口の
水とともに静かに飲み下す




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1521
一歩前への内なる微小
白濁し
始める朝の峠道の


1522
落ちていく一滴の
超スロー
の内に喜びも悔恨も湧く




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1523
人の目も百年足らず
生きるだけ
数十億年の頂から


1524
すれちがい巻き上がる風の
肌触れて
ほのかな花の匂い来るよう




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1525
ちゃいちゃいちゃの春の
くうきの
ふくらみ始め花びらほの赤く


1526
圧倒する黄に包まれて
みかんの
表皮しぶき上げ走行する


1527
キキキキキ黄の油に
滑り落ち
そう黄圏内に踏みとどまる




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1528
バンジーの逆さ頭に
かすめる
記憶、どこまで急降下するか


1529
沈黙のぼんやり野には
草花の
生えはじめる以前の丘陵地(おか)がある


1530
表層のあくをすくい
取ってみる
いくらかは深みの匂い立つ




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1531
振り向くと誰もいない
のにまたも
振り向いてドアを開けている


1532
その部屋はがらんどろんと
誰もが
瞬時に過ぎていく中継地



   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1533
〈あ〉の枝は現在(いま)の曲率
踏み外し
なじんだ〈い〉を昨日へ弾(はじ)く


1534
言葉たち命かたくなに
反(そ)れ反れて
屈折の〈あい〉を生き急ぐ




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1535
追跡と剣呑に刺し
抜かれつつ
踏み迷う現在の〈あい〉の


1536
急き立てられた〈あ〉が子を
急き立てる
〈い〉はひっそりと側に立ち居る




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1537
始まりは水と油に戸惑うも
身近に
触れ触れられやわらぐ時間


1538
人と人反れ合うことも
あるあるに
アルルの女(ひと)に親しくなりゆく



   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1539
にぎやかな通りにもトゲ
花が咲き
ウランドールを通り過ぎゆく


1540
沈黙の静まりかえった
波間にも
ブリブリブルン気泡の上がる


1541
「ありがとう」に小刻みの
律動の
ルルンバルンと肌合いを流る




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1542
たとえば歯が痛むと
暗転の
日々こんなにも世界はダークブルー


1543
知らぬ間に晴れ上がっている
帰還者の
ふと気づく真新しい大空


1544
昨日は過ぎ去った駅
もうすでに
イメージ色に染まりだしてゆく




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1545
いちにいさんと重み増し
晴れ上がる
空のカーテン気分も広がる


1546
静かな、黙って見える
内側に
流れ逆巻き奔流す


1547
見つめてるたった一枚の
枯れ葉にも
深みからのイメージ放たる




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1548
「これいいわあ」テレビの外で
おばさんの
ふくらむ春の声が響く


1549
スーパーで隣の人の
固有の
動線をふとたどっている




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1550
わたし・流れる・水
木々の・風・
緑・ふくらみ・風・流れる


1551
わたし・オオカミ・なく
薄暗い・
わたし・洞窟・放つ・ワォワオーン




   [短歌味体Ⅲ] どんなかんかくシリーズ・続


1552
「どうだろう」「どうでしょうかね」
冬の海
寄せては返す波の岩場に砕ける


1553
軒先繁く行き来する
ものがある
ぼんやり眺めつつ待ち続ける


1554
無縁にも無煙の煙り
微かに
峡谷に漂っている




   [短歌味体Ⅲ] 少年期シリーズ



1555
眼差しの奥から飛び出し
冬景色
駆けていく少年の見える



1556
戻れない戻りたくもない
少年期
開くことのないアルバムは眠る




   [短歌味体Ⅲ] 幼年期シリーズ


1557
音も絵も言葉も溶けた
滴の
日差すみどり葉に揺れている


1558
学校で描く予定表の
チューリップ
なぜか黒子はぎこちない手付きの




   [短歌味体Ⅲ] 我が遙か太古シリーズ


1559
びびりばびりぶー 三歳ほどの
その先は
どうしても像には上らない

註.無意識的な参照の元は、「サラガドゥーラ メチカブーラ ビビディバビディブー」


1560
ソラマメの始まりの芽は
消えはしない
大きくなって 今 風にそよいでる


1561
たぶん地下水脈に
太古の水
流れ巡っている 今 その形で




   [短歌味体Ⅲ] 触れるシリーズ


1562
他人の言葉に触れる
香水の
匂いするあるいは靴の匂いする


1563
言葉の肌に触れる
ざらざら
すべすべつるつるつるん


1564
他人の言葉に触れる
押し返す
気配の姿は見えずもわもわん




   [短歌味体Ⅲ] 触れるシリーズ・続


1565
触れる、境界越えて
ふれる
自分くっきり不安の霧中


1566
触れる、世界はふれる
少しだけ
長針のふるえる朝の




   [短歌味体Ⅲ] 触れるシリーズ・続


1567
ふれる ふ、れ、る、夜は
気が振れる
狂(ふ)れるほどの夜に触れる


1568
ふれる ひとふれ体内に
感じる
重たい振り子の鈍い感覚




   [短歌味体Ⅲ] 言葉の渡世シリーズ・続


1569
ふだん口にはしない言葉も
湧いてくる
飲み込んでしまうけど悪業もよぎるぞ


1570
口先だけじゃないよね
と自問する
時言葉の重量によろめく


1571
口先だけで渡り歩くも
いいさ
わたしの文体は採らないけどさ




   [短歌味体Ⅲ] 内と外シリーズ・続


1572
内側を流れる赤の
七曲がり
八曲がりして滲み出す白


1573
内を流るる肌合いの
感覚の
千々(ちぢ)に乱れ外の一語に離反する




   [短歌味体Ⅲ] 


1574
(あれこれなにこれ)音のする
転がり出る
言葉はただ「何でもないです」


1575
うちはね、うち(家)はね
うちうち(内々)で
言うてしまえば、ユーマイパーリンよ




   [短歌味体Ⅲ] 内と外シリーズ・続


1576
黙するのみの水面にも
見えないほどの
泡つぶと小さな揺れの


1577
生きているということは
どこかで
窓を開け風に触れている




   [短歌味体Ⅲ] ひとりの場所シリーズ


1578
公園にひとり居れば
木々に染まり
二三人では引き戻さるる


1579
不確かにも場の変貌に
揺れ揺られ
色変わりする自分というもの




   [短歌味体Ⅲ] ひとりの場所シリーズ・続


1580
生と死の両端に
挟まれて
在る ふと気づく 空を見上げる


1581
渦中では魚とりに
夢中で
両端は 夢幻(ゆめまぼろし)のよう

 二首の註.多のおかげでこの世にひとり発生し、多の影となるべくひとりこの世を去る、人のひとりということに思いを巡らせて。





   [短歌味体Ⅲ] ひとりの場所シリーズ・続


1582
なんとなくこだわりの
右足から
小石をひとつ拾い上げている


1583
ほのかなひと触れだけで
下り来て
ひとりの場所を彩(いろど)ることがある




   [短歌味体Ⅲ] ひとりの場所シリーズ・続


1584
ごろんごろんするネコの
ゆらゆらと
遙か少年のはだしむずむずす

註.土足でわが家に出入りするネコが天気のいい日コンクリートの庭に出てごろんごろんしているのを見て。


1585
生きている 知らない通路から
不意に
記憶の情景流れ来る




   [短歌味体Ⅲ] 二人の場所シリーズ


1586
舞い降りた一枚の葉は
それぞれに
撓(たわ)められた緑の一葉


1587
歩いてく歩幅とリズム
干渉し
新たな波紋の中を歩む




   [短歌味体Ⅲ] 二人の場所シリーズ・続


1588
思い当たる南風(はえ)はなくとも
支流に
押し出されるように来ている


1589
ここはどこの三丁目
にぎやかな
三月桜道をゆく二人




   [短歌味体Ⅲ] 演歌シリーズ


1590
下りてくる冷たい風に
なびくからだ
なびく言葉の道行き孤韻


1591
七曲がり八曲がりして
途絶えてる
岸壁に向かい立つ二人の


1592
そんなあんなこんなことが
あったよなあ
しんみりした心坂下る




   [短歌味体Ⅲ] 力動シリーズ


1593
しめる 締める絞める
引き占める
きりりっの力、均衡の中空


1594
ゆるむ ゆるりゆるゆる
ゆるむとき
力ばらけて解(ほど)けゆく個の




   [短歌味体Ⅲ] 力動シリーズ・続


1595
しめる じめじめ湿る
広がりゆく
無数の触手空中に伸びてゆく


1596
ワンツーワンツーワンツー
流れには
力こぶがぼつぼつ湧いている




   [短歌味体Ⅲ] 知らないシリーズ


1597
「どうですか」「さあ、難しいね」
「ああ・・・」
知らない所で進行している


1598
知らない町のことは
脱輪した
車のようにクルクル回るばかり




   [短歌味体Ⅲ] 知らないシリーズ・続


1599
カタイ言葉は知らないけれど
顔付きが
物語の起伏も語っている


1600
子どもでもわかる通路を
潜り抜け
日差しあったか言葉の肌は




   [短歌味体Ⅲ] 知らないシリーズ・続


1601
他人(ひと)に映るぼくの重量
色かたち
知らないなあ遠白い道


1602
他人(ひと)がふと置いていった小石
何だろう
ひとり知らない通路に立ち尽くす




   [短歌味体Ⅲ] 知らないシリーズ・続


1603
「しーらないよ、しらないよ」と言う
てもねえ
破局に立ちつくす少年


1604
知らなくても困りはしない
でもでもデモ
押し寄せて来る異形の者たち




   [短歌味体Ⅲ] 言葉の駅シリーズ


1605
葉や派や刃や端のひとごみ
かき分け
羽の波を畳んで〈は〉と出会う


1606
偶然の〈は〉に飛び乗って
流れゆく
景色を眺め〈る〉の駅で降りる


1607
樹液うるおい流るる
葉のみどり
〈はる〉の駅に停車中




   [短歌味体Ⅲ] 


1608
ひとりひとりひっそり閑と
腰下ろし
荷を積み下ろした匂い漂う


1609
例えば〈絆〉を上げ下ろし
やんややんや
大にぎわいの駅頭もある


1610
朝霧の冷えた心が
上りゆく
北へ北へと演歌駅継いで




   [短歌味体Ⅲ] 言葉の駅シリーズ・続


1611
時代の大気から汲み
(カワイイぞ)
喜怒哀楽の器から溢れ出る


1612
それはもうさびしい音色
虹にまたがり
未知の駅を目ざす言葉の




   [短歌味体Ⅲ] 言葉の駅シリーズ・続


1613
〈は、はああ〉〈はっ〉計ったな
走り去る
電車に追いすがる言葉の


1614
いろんな事情を
着込んで
駅頭に何かを待っている




   [短歌味体Ⅲ] 言葉の駅シリーズ・続


1615
無人駅でも人目に付く
(だからってさあ)
しなを作って下っていく


1616
列なして乗り込んでゆく
(でもひ・と・りだよね)
流れ来る景色ミレン川へ




   [短歌味体Ⅲ] 言葉の駅シリーズ・続


1617
アリの後追ってゆく
軌道から
ずれてぼんやり流れゆく空


1618
いとゆるみ他力の流れに
棹さして
ぼんやりと舟進みゆく




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ


1619
水ぬるみ蕾ふくらむ
春ならば
昨日と同じ自分ゆるみ出す


1620
列島に春前線あり
春という
イメージの中時差を感じてる




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ・続


1621
水面に一滴こぼれ
じわじわと
広がってゆく 縦横無尽の春


1622
春という言葉の発明の
前後を
想像する 肌合いを流るる無音の〈春〉




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ・続


1623
ひとりで歩いている
背後から
「大当たりですよ」とささやく春の


1624
春なのに夜風冷たい
道ひとり
とぼとぼ歩く途方に暮れた子は




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ・続


1625
ゆううつのひとつあっても
はなびらの
何枚も散り舞う春三月


1626
境目が少しほころんで
ざわつく
方へ誘い出さるる心は




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ・続


1627
好きな季節人それぞれに
踏み石
ふみゆく心 らら、ららら、らん


1628
春だなあ背伸びするこころ
春なお
解けず冷え冷えしたままの心




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ・続


1629
春だからあわわわわでも
いいよね
ちゃんと伝わる染み渡る うん


1630
常春(とこはる)のろうにゃくなんにょ
ちいさくゆったり
言葉流るる底流がある




   [短歌味体Ⅲ] 言葉が・・・シリーズ


1631
言葉が・・・いろんな小部屋
を捜しても
しらじら遠くすっからかん

註.「小部屋」云々は、村上春樹『1Q84』(BOOK1)の中の比喩がイメージの源泉。


1632
疾駆する土煙浴び
疾苦する
言葉は不毛の大地にぼうぜんと

註.後振り返れば時代の大きな変わり目の、「末法の世」と感じられた世界の中の言葉、そして現在を思い浮かべて。




   [短歌味体Ⅲ] 言葉が・・・シリーズ・続


1633
子どもが返答に詰まる
言葉以前の
ことばの重さをはかれない言葉は


1634
枯れ落ちる不毛の大地
きらびやかな
枯れ葉ばかりが降り積もりゆくか




   [短歌味体Ⅲ] 言葉が・・・シリーズ・続


1635
それでもなお言葉へと助走
くり返す
人は言葉を生きているのだから


1636
言葉には葉脈があり
まぼろしの
血が波打ち通っている




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ・続


1637
ほら花びら舞い散るだけで
春だねえ
って揺るがるれしゅるしゅわわ


1638
春だねえってなんでも
許される
わけはないよ春ダダダダン




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ・続


1639
春だねえと感じる流れ
水ぬるみ
言葉もぬるむぱるはあけぽの


1640
春だねえの曲がり方は
マイルド系
微笑みながら草花の方へ




   [短歌味体Ⅲ] 言葉が・・・シリーズ・続


1641
サルイシの時間の波に
揺れ揺られ
霧の中から猿ヶ石川

 註.サルはアイヌ語で「葦原」のことである。・・・中略・・・猿ヶ石の「石」は釜石の石と同じように「・・・の所」という場所を示すアイヌ語で、・・・中略・・・つまり猿ヶ石川は「葦原のある川」にほかならない。(『続 日本の地名』P108 谷川健一)



1642
ネコという山容ゆらゆら
地鳴りして
猫も鳴き出す阿蘇根子嶽は

 註.熊本県の阿蘇には根子嶽がある。・・・中略・・・この根子嶽の由来は不明であるが、「肥後国誌」には、ここは猫が宮仕えにのぼる山だと記されている。柳田は阿蘇の根子嶽を猫嶽と記し、次の挿話を紹介している。(『続 日本の地名』P146-P147 谷川健一)





   [短歌味体Ⅲ] 言葉が・・・シリーズ・続


1643
水中に顔沈めて
耐え難く
浮上する泡の言葉が・・・


1644
針の先まっ赤っかっか
ふるえる
滴となって刺さる言葉が・・・




   [短歌味体Ⅲ] 春さくらシリーズ


1645
春さくら咲く静けさの
細道を
言葉は踏まずに歩いて来たよ


1646
花びらの白い岸辺に
匂い立つ
ほんのりあかいしらぬいの




   [短歌味体Ⅲ] 春さくらシリーズ・続


1647
風に揺れ花びらふるう
花開いた
始まりの記憶にすがるように


1648
舞い散るは花びらだけで
なくなくに
西行橋をひっそり渡りゆく




   [短歌味体Ⅲ] 春さくらシリーズ・続


1649
生動する花びら一枚
うつしとる
難所の峠越え肌を流るる


1650
さくらに無縁な悪人の
他力の肩にも
やわらかにさくら舞い散る




   [短歌味体Ⅲ] 春さくらシリーズ・続


1651
寒い峠を越え越えて
暖かい
日差しを浴び今さくらの花の


1652
花冷えの大気の中に
ふっくらと
赤みを帯びた白の匂う




   [短歌味体Ⅲ] 春さくらシリーズ・続


1653
愛憎の太古の風景
例えば柿
実らぬ時と枝もたわわな時


1654
猫ならばあきらめもしよう
そんなもんか
と愛憎の門前に昼寝する


1655
人ゆえに愛憎の劇
くり返し
許してしまうさくら咲く春




   [短歌味体Ⅲ] 春だねえシリーズ・続


1656
じわじわと囲い込まれて
くうき流れ
下着も替える春四月


1657
人界では突っ張っても
かなわないな
やせ我慢しても汗出す春は




   [短歌味体Ⅲ] 主流シリーズ


1658
話は流れていても
本筋は
不明の道でストップ・モーション


1659
にぎやかな歌とダンスの
花祭り
空虚な気泡主流を流る




   [短歌味体Ⅲ] 主流シリーズ・続


1660
支流ばかり下っても
誰もいない
星空の下銀河のきらめく


1661
たかぶりも説教もなく
ただ静かに
「虔十公園林」に銀河のひかり差す

註.「虔十公園林」(けんじゅうこうえんりん)は、宮沢賢治の童話。




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ


1662
後々に何度もくり返す
考えの
始まるところ『初期ノート』


1663
取り上げる深く鋭く
突き刺さる
諸刃の剣は自己欺瞞も打つ

 註.鹿島茂『吉本隆明1968』によって切開された吉本さんの批評の方法1662




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1664
「人は良いけど平凡ね」
内心を
なめてはいけない『自立の思想的拠点』


1665
人界の価値序列を
鮮やかに
転倒して見せた『カール・マルクス』




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1666
(死にゆく姪の必死の
問いかけに
答えられぬはなんの『心的現象論』か)

註.これは吉本さんの思想ということへの自問。


1667
人界のあらゆることに
答えうる
「最後の場所」がありそうに思う




   [短歌味体Ⅲ] 主流シリーズ・続


1668
さびしいたった一人
だとしても
主流に深く届くぞ


1669
見かけは少数でも
しなやかに
未来の深みを流れ得るよ




   [短歌味体Ⅲ] 主流シリーズ・続


1670
少しムリな決議したら
後々に
ひび割れ染みて主流の迫る

註.学校での子どもの話し合いで。


1671
濁流が続いても
精神の
考古学はかき分け主流を目ざす




   [短歌味体Ⅲ] 春さくらシリーズ・続


1672
桜散る季節に旅だった
叔母さん
わたしの中に若芽の芽吹く


1673
わたしが散ってしまっても
だいだいだい
受け継がれ広げられる桜の物語




   [短歌味体Ⅲ] 死シリーズ


1674
いないいないばあくり返した後
少年は
永遠(とわ)の不在に出会い始める


1675
いないいないはただ心にのみ
ほの暗い
像を結び揺らめいている




   [短歌味体Ⅲ] 死シリーズ・続


1676
しいっしっそこは魂の
通る道
心静かに見送りをする


1677
魂の通り道は今や
干からびて
砂地となって続いていくよ




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1678
敗戦の必死の暗渠(あんきょ)
潜り抜け
日差しまぶしい『世界認識の方法』へ


1679
これほどの深い味読は
未だかつてなく
心の舌で味わう『柳田国男論』




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1680
まぼろしの言葉の宿に
入り込み
内から描く『言葉からの触手』


1681
生命感とイメージ束と
言葉の宿の劇
さらに深く下りてゆく『言葉からの触手』




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1682
つき合いの始まりはねこ
肌触れ合い
流れる日差し『なぜ、猫とつきあうのか』


1683
人界を超えて広がる
このおもい
静かに触れ合う『フランシス子へ 』




   [短歌味体Ⅲ] 主流シリーズ・続


1684
思考する 流れゆく舟の
微妙な
方位も深く主流に沿う


1685
気分よくくつろぎ遊ぶ
一時も
無意識の舟は主流を流る




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1686
おそらくは小さい子と
老人は
わかる知の転倒『最後の親鸞』


1687
やわらかな緑の草
踏みしだかれ
ひねくれ意地張りはにかむ『少年』




   [短歌味体Ⅲ] 詩はすぐにできるシリーズ


1688
十年のパン屋さんは
スイーツは
できなくてもパンはすぐできる


1689
十年は言葉の通路
を踏み固め
並の詩なら誰でもすぐにできるさ




   [短歌味体Ⅲ] 詩はすぐにできるシリーズ・続


1690
手慣れた動きの底流
を走行する
うーんどうしよう迷いのベクトル場


1691
スムーズな言葉の裏では
桐の火桶
を抱いてうーんうーんうなるよ




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1692
ふた心振り分け上り
人の世は
哀しい自己劇化、『母型論』


1693
ほんとうに感じる肌合いへ
遙かな
時間の彼方から『全南島論』




   [短歌味体Ⅲ] あたりまえシリーズ


1694
がんばりくつろぐ日々の
総量は
どんなアスリートともおんなじさ


1695
でもでもでも蹴つまづくほど
追いすがる
アスリート達へのこころの手手手




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1696
わからないなってみないと
感じない
風肌に受けて立つ『老いの超え方』



1697
他人(ひと)のことはほんとはわからない
深い水底より
さばっと這い上がる『老いの流儀』 




   [短歌味体Ⅲ] 幻視シリーズ


1698
人と人手触り感の
突き上げて
ダークグレーの空の下に咲く


1699
咲く花は見えない桜で
満開だ
匂いがある通路を伝い来る




   [短歌味体Ⅲ] 幻視シリーズ・続


1700
まぼろしのイデアに宿る
命あれば
「騎士団長」も語り出す

註.イデアも騎士団長も、村上春樹『騎士団長殺し』(第1部顕れるイデア編)より。


1701
まぼろしは根をもつ根に持つ
遙かな大洋期に
この大洋、支えるものがある





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