短歌味体Ⅲ-3

    500首
(2017年04月30日~12月07日) 

 目次


短歌味体 Ⅲ      日付
短歌味体Ⅲ 1702-1703 なんとなくシリーズ 2017年04月30日
短歌味体Ⅲ 1704-1705 なんとなくシリーズ・続 2017年05月01日
短歌味体Ⅲ 1706-1707 なんとなくシリーズ・続 2017年05月02日
短歌味体Ⅲ 1708-1709 なんとなくシリーズ・続 2017年05月03日
短歌味体Ⅲ 1710-1711 なんとなくシリーズ・続 2017年05月04日
短歌味体Ⅲ 1712-1713 なんとなくシリーズ・続    2017年05月05日
短歌味体Ⅲ 1714-1715 地名シリーズ 2017年05月06日
短歌味体Ⅲ 1716-1717 地名シリーズ・続 2017年05月07日
短歌味体Ⅲ 1718-1719 地名シリーズ・続  2017年05月08日
短歌味体Ⅲ 1720-1721 吉本隆明シリーズ・続  2017年05月09日
短歌味体Ⅲ 1722-1723 地名シリーズ・続   2017年05月10日
短歌味体Ⅲ 1724-1725 最後の場所シリーズ 2017年05月11日
短歌味体Ⅲ 1726-1727 自然詠シリーズ  2017年05月12日
短歌味体Ⅲ 1728-1730 自然詠シリーズ・続   2017年05月13日
短歌味体Ⅲ 1731-1732 黙っていてもシリーズ 2017年05月14日
短歌味体Ⅲ 1733-1734 最後の場所シリーズ・続 2017年05月15日
短歌味体Ⅲ 1735-1736 最後の場所シリーズ・続 2017年05月16日
短歌味体Ⅲ 1737-1738 ありありとシリーズ 2017年05月17日
短歌味体Ⅲ 1739-1740 ありありとシリーズ・続 2017年05月18日
短歌味体Ⅲ 1741-1742 ありありとシリーズ・続 2017年05月19日
短歌味体Ⅲ 1743-1744 ありありとシリーズ・続 2017年05月20日
短歌味体Ⅲ 1745-1746 吉本隆明シリーズ・続  2017年05月21日
短歌味体Ⅲ 1747-1748 わけわからなくてもシリーズ 2017年05月22日
短歌味体Ⅲ 1749-1750 わけわからなくてもシリーズ・続 2017年05月23日
短歌味体Ⅲ 1751-1752 話すシリーズ 2017年05月24日
短歌味体Ⅲ 1753-1754 話すシリーズ・続 2017年05月25日
短歌味体Ⅲ 1755-1756 話すシリーズ・続 2017年05月26日
短歌味体Ⅲ 1757-1758 話すシリーズ・続 2017年05月27日
短歌味体Ⅲ 1759-1760 じぶんシリーズ 2017年05月28日
短歌味体Ⅲ 1761-1762 じぶんシリーズ・続 2017年05月29日
短歌味体Ⅲ 1763-1765 じぶんシリーズ・続  2017年05月30日
短歌味体Ⅲ 1766-1767 死シリーズ・続 2017年05月31日
短歌味体Ⅲ 1768-1770 死シリーズ・続  2017年06月01日
短歌味体Ⅲ 1771-1773 死シリーズ・続 2017年06月02日 
短歌味体Ⅲ 1774-1776 言葉ではシリーズ 2017年06月03日
短歌味体Ⅲ 1777-1778 言葉ではシリーズ・続 2017年06月04日
短歌味体Ⅲ 1779-1780 じぶんシリーズ・続  2017年06月05日
短歌味体Ⅲ 1781-1782 じぶんシリーズ・続  2017年06月06日
短歌味体Ⅲ 1783-1784 言葉ではシリーズ・続  2017年06月07日
短歌味体Ⅲ 1785-1786 言葉ではシリーズ・続  2017年06月08日
短歌味体Ⅲ 1787-1788 吉本隆明シリーズ・続  2017年06月09日
短歌味体Ⅲ 1789-1790 即興詩シリーズ・続 2017年06月10日
短歌味体Ⅲ 1791-1792 即興詩シリーズ・続  2017年06月11日
短歌味体Ⅲ 1793-1794 即興詩シリーズ・続 2017年06月12日
短歌味体Ⅲ 1795-1796 即興詩シリーズ・続 2017年06月13日
短歌味体Ⅲ 1797-1798 即興詩シリーズ・続 2017年06月14日
短歌味体Ⅲ 1799-1801 即興詩シリーズ・続 2017年06月15日
   
 短歌味体 Ⅲ   日付
短歌味体Ⅲ 1802-1803 何にもないよシリーズ 2017年06月16日
短歌味体Ⅲ 1804-1805 何にもないよシリーズ・続 2017年06月17日
短歌味体Ⅲ 1806-1807 即興詩シリーズ・続 2017年06月18日
短歌味体Ⅲ 1808-1811 即興詩シリーズ・続 2017年06月19日
短歌味体Ⅲ 1812-1813 即興詩シリーズ・続 2017年06月20日
短歌味体Ⅲ 1814-1815 即興詩シリーズ・続 2017年06月21日
短歌味体Ⅲ 1816-1818 自己欺瞞シリーズ 2017年06月22日
短歌味体Ⅲ 1819-1820 即興詩シリーズ・続 2017年06月23日
短歌味体Ⅲ 1821-1822 即興詩シリーズ・続 2017年06月24日
短歌味体Ⅲ 1823-1824 即興詩シリーズ・続 2017年06月25日
短歌味体Ⅲ 1825-1827 即興詩シリーズ・続 2017年06月26日
短歌味体Ⅲ 1828-1829 即興詩シリーズ・続 2017年06月27日
短歌味体Ⅲ 1830-1831 しはシリーズ 2017年06月28日 
短歌味体Ⅲ 1832-1833 しはシリーズ・続 2017年06月29日
短歌味体Ⅲ 1834-1835 しはシリーズ・続 2017年06月30日
短歌味体Ⅲ 1836-1837 しはシリーズ・続 2017年07月01日
短歌味体Ⅲ 1838-1839 しはシリーズ・続 2017年07月02日
短歌味体Ⅲ 1840-1841 しはシリーズ・続 2017年07月03日
短歌味体Ⅲ 1842-1843 しはシリーズ・続 2017年07月04日
短歌味体Ⅲ 1844-1845 じかんシリーズ 2017年07月05日
短歌味体Ⅲ 1846-1847 じかんシリーズ・続 2017年07月06日
短歌味体Ⅲ 1848-1849 じかんシリーズ・続 2017年07月07日
短歌味体Ⅲ 1850-1851 じかんシリーズ・続 2017年07月08日
短歌味体Ⅲ 1852-1853 じかんシリーズ・続 2017年07月09日
短歌味体Ⅲ 1854-1856 じかんシリーズ・続 2017年07月10日
短歌味体Ⅲ 番外・政治言語シリーズ 2017年07月10日
短歌味体Ⅲ 1857-1858 じかんシリーズ・続 2017年07月11日
短歌味体Ⅲ 1859-1860 じかんシリーズ・続 2017年07月12日
短歌味体Ⅲ 1861-1862 二重視線シリーズ 2017年07月13日
短歌味体Ⅲ 1863-1864 二重視線シリーズ・続 2017年07月14日
短歌味体Ⅲ 1865-1866 二重視線シリーズ・続 2017年07月15日 
短歌味体Ⅲ 1867-1868 二重視線シリーズ・続 2017年07月16日
短歌味体Ⅲ 1869-1870 二重視線シリーズ・続 2017年07月17日
短歌味体Ⅲ 1871-1872 二重視線シリーズ・続 2017年07月18日
短歌味体Ⅲ 1873-1874 二重視線シリーズ・続 2017年07月19日
短歌味体Ⅲ 1875-1876 わかるシリーズ  2017年07月20日
短歌味体Ⅲ 1877-1878 わかるシリーズ・続  2017年07月21日 
短歌味体Ⅲ 1879-1881 わかるシリーズ・続 2017年07月22日
短歌味体Ⅲ 1882-1883 わかるシリーズ・続 2017年07月23日
短歌味体Ⅲ 1884-1885 わかるシリーズ・続 2017年07月24日
短歌味体Ⅲ 1886-1887 わかるシリーズ・続 2017年07月25日
短歌味体Ⅲ 1888-1889 わかるシリーズ・続 2017年07月26日
短歌味体Ⅲ 1890-1891 わかるシリーズ・続 2017年07月27日
短歌味体Ⅲ 1892-1893 わかるシリーズ・続 2017年07月28日
短歌味体Ⅲ  番外・一線を越えてシリーズ 2017年07月28日
短歌味体Ⅲ 1894-1895 わかるシリーズ・続 2017年07月29日
短歌味体Ⅲ 1896-1897 わかるシリーズ・続 2017年07月30日
短歌味体Ⅲ 1898-1899 わかるシリーズ・続  2017年07月31日 
短歌味体Ⅲ 1900-1901 わかるシリーズ・続 2017年08月01日
   
  短歌味体 Ⅲ      日付 
短歌味体Ⅲ 1902-1903 わかるシリーズ・続    2017年08月02日
短歌味体Ⅲ 1904-1905 即興詩シリーズ・続 2017年08月03日
短歌味体Ⅲ 1906-1907 即興詩シリーズ・続  2017年08月04日
短歌味体Ⅲ 1908-1909 心の底からシリーズ 2017年08月05日
短歌味体Ⅲ 1910-1911 即興詩シリーズ・続  2017年08月06日
短歌味体Ⅲ 番外 戦後70年シリーズ 2017年08月07日
短歌味体Ⅲ 1912-1914 心の底からシリーズ・続 2017年08月08日
短歌味体Ⅲ 1915-1917 心の底からシリーズ・続 2017年08月09日
短歌味体Ⅲ 1918-1919 心の底からシリーズ・続  2017年08月10日
短歌味体Ⅲ 1920-1921 心の底からシリーズ・続  2017年08月11日
短歌味体Ⅲ 1922-1923 吉本隆明シリーズ・続 2017年08月12日
短歌味体Ⅲ 1924-1925 吉本隆明シリーズ・続 2017年08月13日
短歌味体Ⅲ 1926-1927 あっシリーズ 2017年08月14日
短歌味体Ⅲ 1928-1929 あっシリーズ・続 2017年08月15日
短歌味体Ⅲ 1930-1931 あっシリーズ・続 2017年08月16日
短歌味体Ⅲ 1932-1933 あっシリーズ・続 2017年08月17日
短歌味体Ⅲ 1934-1935 あっシリーズ・続 2017年08月18日
短歌味体Ⅲ 1936-1937 あっシリーズ・続 2017年08月19日
短歌味体Ⅲ 1938-1939 あっシリーズ・続 2017年08月20日
短歌味体Ⅲ 1940-1941 あっシリーズ・続 2017年08月21日
短歌味体Ⅲ 1942-1943 あっシリーズ・続 2017年08月22日
短歌味体Ⅲ 1944-1945 あっシリーズ・続  2017年08月23日 
短歌味体Ⅲ 1946-1947 あっシリーズ・続   2017年08月24日
短歌味体Ⅲ 1948-1949 あっシリーズ・続  2017年08月25日
短歌味体Ⅲ 1950-1951 あっシリーズ・続  2017年08月26日
短歌味体Ⅲ 1952-1953 みどりのシリーズ 2017年08月27日
短歌味体Ⅲ 1954-1955 みどりのシリーズ・続  2017年08月28日 
短歌味体Ⅲ 1956-1958 通路シリーズ 2017年08月29日
短歌味体Ⅲ 1959-1961 通路シリーズ・続 2017年08月30日
短歌味体Ⅲ 1962-1964 通路シリーズ・続 2017年08月31日
短歌味体Ⅲ 1965-1966 通路シリーズ・続 2017年09月01日
短歌味体Ⅲ 1967-1968 通路シリーズ・続  2017年09月02日
短歌味体Ⅲ 1969-1971 通路シリーズ・続 2017年09月03日
短歌味体Ⅲ 1972-1974 通路シリーズ・続 2017年09月04日
短歌味体Ⅲ 1975-1976 通路シリーズ・続 2017年09月05日
短歌味体Ⅲ 1977-1978 通路シリーズ・続 2017年09月06日
短歌味体Ⅲ 1979-1981 通路シリーズ・続  2017年09月07日
短歌味体Ⅲ 1982-1983 やさしい歌シリーズ 2017年09月08日
短歌味体Ⅲ 1984-1986 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月09日
短歌味体Ⅲ 1987-1989 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月10日
短歌味体Ⅲ 1990-1993 通路シリーズ・続 2017年09月11日
短歌味体Ⅲ 1994-1995 吉本隆明シリーズ・続   2017年09月12日
短歌味体Ⅲ 1996-1998 通路シリーズ・続 2017年09月13日
短歌味体Ⅲ 1999-2001 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月14日
   短歌味体 Ⅲ  日付
短歌味体Ⅲ 2002-2003 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月15日
短歌味体Ⅲ 2004-2006 通路シリーズ・続 2017年09月16日
短歌味体Ⅲ 2007-2008 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月17日
短歌味体Ⅲ 2009-2010 通路シリーズ・続 2017年09月18日 
短歌味体Ⅲ 2011-2014 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月19日
短歌味体Ⅲ 2015-2017 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月20日
短歌味体Ⅲ 2018-2019 通路シリーズ・続 2017年09月21日
短歌味体Ⅲ 2020-2021 通路シリーズ・続 2017年09月22日
短歌味体Ⅲ 2022-2024 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月23日
短歌味体Ⅲ 2025-2026 やさしい歌シリーズ・続  2017年09月24日
短歌味体Ⅲ 2027-2028 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月25日
短歌味体Ⅲ 2029-2030 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月26日
短歌味体Ⅲ 2031-2032 通路シリーズ・続 2017年09月27日
短歌味体Ⅲ 2033-2035 通路シリーズ・続 2017年09月28日
短歌味体Ⅲ 2036-2038 通路シリーズ・続 2017年09月29日
短歌味体Ⅲ 2039-2040 やさしい歌シリーズ・続 2017年09月30日
短歌味体Ⅲ 2041-2042 やさしい歌シリーズ・続 2017年10月01日
短歌味体Ⅲ 2043-2044 いいなシリーズ・続 2017年10月02日
短歌味体Ⅲ 2045-2047 無意識的シリーズ 2017年10月03日
短歌味体Ⅲ 2048-2050 無意識的シリーズ・続 2017年10月04日
短歌味体Ⅲ 2051-2052 無意識的シリーズ・続 2017年10月05日
短歌味体Ⅲ 2053-2055 無意識的シリーズ・続 2017年10月06日
短歌味体Ⅲ 2056-2058 無意識的シリーズ・続 2017年10月07日
短歌味体Ⅲ 2059-2060 無意識的シリーズ・続 2017年10月08日
短歌味体Ⅲ 2061-2063 無意識的シリーズ・続 2017年10月09日
短歌味体Ⅲ 2064-2065 無意識的シリーズ・続 2017年10月10日
短歌味体Ⅲ 2066-2067 即興詩シリーズ・続 2017年10月11日
短歌味体Ⅲ 2068-2070 即興詩シリーズ・続 2017年10月12日
短歌味体Ⅲ 2071-2072 無意識的シリーズ・続 2017年10月13日
短歌味体Ⅲ 2073-2075 無意識的シリーズ・続 2017年10月14日
短歌味体Ⅲ 2076-2078 無意識的シリーズ・続 2017年10月15日
短歌味体Ⅲ 2079-2081 無意識的シリーズ・続 2017年10月16日
短歌味体Ⅲ 2082-2084 無意識的シリーズ・続 2017年10月17日
短歌味体Ⅲ 2085-2087 微シリーズ・続 2017年10月18日
短歌味体Ⅲ 2088-2089 戯れ詩シリーズ 2017年10月19日
短歌味体Ⅲ 2090-2091 微シリーズ・続 2017年10月20日
短歌味体Ⅲ 2092-2093 ねこシリーズ 2017年10月21日
短歌味体Ⅲ 2094-2095 主流シリーズ・続 2017年10月22日
短歌味体Ⅲ 2096-2099 微シリーズ・続 2017年10月23日
短歌味体Ⅲ 2100-2101 微シリーズ・続 2017年10月24日
短歌味体 Ⅲ 日付
短歌味体Ⅲ 2102-2103 微シリーズ・続 2017年10月25日
短歌味体Ⅲ 2104-2107 微シリーズ・続 2017年10月26日
短歌味体Ⅲ 2108-2110 そこ!シリーズ 2017年10月27日
短歌味体Ⅲ 2111-2112 そこ!シリーズ・続 2017年10月28日 
短歌味体Ⅲ 2113-2114 微シリーズ・続 2017年10月29日
短歌味体Ⅲ 2115-2116 微シリーズ・続 2017年10月30日
短歌味体Ⅲ 2117-2118 そこ!シリーズ・続 2017年10月31日
短歌味体Ⅲ 2119-2121 57577シリーズ 2017年11月01日
短歌味体Ⅲ 2122-2124 57577シリーズ・続 2017年11月02日
短歌味体Ⅲ 2125-2127 57577シリーズ・続 2017年11月03日
短歌味体Ⅲ 2128-2130 そこ!シリーズ・続  2017年11月04日
短歌味体Ⅲ 2131-2132 そこ!シリーズ・続 2017年11月05日
短歌味体Ⅲ 2133-2135 即興詩シリーズ・続 2017年11月06日
短歌味体Ⅲ 2136-2137 即興詩シリーズ・続 2017年11月07日
短歌味体Ⅲ 2138-2139 即興詩シリーズ・続 2017年11月08日
短歌味体Ⅲ 2140-2142 そこ!シリーズ・続 2017年11月09日
短歌味体Ⅲ 2143-2145 そこ!シリーズ・続 2017年11月10日
短歌味体Ⅲ 2146-2148 そこ!シリーズ・続 2017年11月11日
短歌味体Ⅲ 2149-2150 そこ!シリーズ・続 2017年11月12日
短歌味体Ⅲ 2151-2152 そこ!シリーズ・続 2017年11月13日
短歌味体Ⅲ 2153-2154 そこ!シリーズ・続 2017年11月14日
短歌味体Ⅲ 2155-2156 即興詩シリーズ・続 2017年11月15日
短歌味体Ⅲ 2157-2158 57577シリーズ・続 2017年11月16日
短歌味体Ⅲ 2159-2160 即興詩シリーズ・続 2017年11月17日
短歌味体Ⅲ 2161-2162 即興詩シリーズ・続 2017年11月18日
短歌味体Ⅲ 2163-2164 そこ!シリーズ・続 2017年11月19日
短歌味体Ⅲ 2165-2166 そこ!シリーズ・続 2017年11月20日
短歌味体Ⅲ 2167-2168 せいせいシリーズ 2017年11月21日
短歌味体Ⅲ 2169-2170 せいせいシリーズ・続 2017年11月22日
短歌味体Ⅲ 2171-2172 せいせいシリーズ・続 2017年11月23日
短歌味体Ⅲ 2173-2174 せいせいシリーズ・続 2017年11月24日
短歌味体Ⅲ 2175-2176 せいせいシリーズ・続 2017年11月25日
短歌味体Ⅲ 2177-2179 そこ!シリーズ・続 2017年11月26日
短歌味体Ⅲ 2180-2181 即興詩シリーズ・続 2017年11月27日
短歌味体Ⅲ 2182-2183 冬シリーズ 2017年11月28日
短歌味体Ⅲ 2184-2185 冬シリーズ・続 2017年11月29日
短歌味体Ⅲ 2186-2187 冬シリーズ・続 2017年11月30日
短歌味体Ⅲ 2188-2189 冬シリーズ・続 2017年12月01日
短歌味体Ⅲ 2190-2191 冬シリーズ・続 2017年12月02日
短歌味体Ⅲ 2192-2193 冬シリーズ・続 2017年12月03日
短歌味体Ⅲ 2194-2195 そこ!シリーズ・続 2017年12月04日
短歌味体Ⅲ 2196-2197 そこ!シリーズ・続 2017年12月05日
短歌味体Ⅲ 2198-2199 冬シリーズ・続 2017年12月06日
短歌味体Ⅲ 2200-2201 そこ!シリーズ・続 2017年12月07日












   [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ


1702
なんとなく落ち着かないのは
椅子の固さ
だけではなく底流するものがある


1703
ぼんやりと椅子に座れば
次々に
岸辺に寄せてくる記憶がある




   [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続



1704
主流から外れるように
側にある
人形を手に取ってみる


1705
なんとなくうれしい感じ
芽生え出し
からだも軽く浮かぶような




   [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続



1706
なんとなく手に取ってみた
ありふれた
小石がとっても重くなることがある


1707
飛び石をいつものように
踏んでいる
なんとなくcrackという言葉が浮上する




   [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続



1708
なんとなくこぼしてしまった
一滴
あれよあれよと波立ち泡立つ


1709
焚き火でものんびりしてると
パチパチパチ
付け火のように燃え上がり来る




   [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続



1710
一枚の葉を裏返す
見たことの
ない風景が流れている


1711
間にふと流れ込んだ
小さな風
ふたりの心の紙片をめくる




   [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続



1712
ほんとうはどうでもいいけど
仕事なら
たたいてのばしてまげなくては


1713
降り積もる今度やったらと
身構えて
雪解けの朝に出会うことがある




   [短歌味体Ⅲ] 地名シリーズ



1714
黒髪は見知ったひびき
健軍は
見知らぬ他人の響きがある

註.黒髪も健軍も熊本の町の名。


1715
見知った地の名を聴けば
耳底を
流れゆくもの跳ねる魚もいる




   [短歌味体Ⅲ] 地名シリーズ・続



1716
山田と聞けば響く子ども等の
三年の内に
降り積もった時のにぎわい


1717
福岡の飯塚の下の
山田はもう
嘉麻市になっちまって私の記憶は




   [短歌味体Ⅲ] 地名シリーズ・続



1718
「させほ」か「させぼ」か知らない
ちいさな字(あざ)が
夜の闇に明滅している


1719
ほんとうはどちらにも無縁
な音坂を
上り下り行き来して来たか




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1720
透き通る抽象の
度の強い
水をあおらないと〈あい〉は言えない「ある抒情」


1721
かたくなに拒んでしまう
〈愛〉は
波立つ大洋から審判される『母型論』




   [短歌味体Ⅲ] 地名シリーズ・続



1722
大観望に立ち眺めれば
遙かに
妻の実家の浮き立ち見える


1723
なんどもなんども行き来する
地の名は
まなざしの奧に匂いしみてゆく




   [短歌味体Ⅲ] 最後の場所シリーズ



1724
たったひと言でも
風になびき
転がり加速してしまう場所がある


1725
その峠一歩踏み越えて
しまったら
人と人とが変色してしまう




   [短歌味体Ⅲ] 自然詠シリーズ



1726
ザァーと雨の中を
潜り抜け
てゆくチャップチャップ着


1727
青葉前線波打ち
次々に
越えていく塗りつぶしていく




   [短歌味体Ⅲ] 自然詠シリーズ・続



1728
庭の木の枯れてしまった
すぐ隣
金木犀は威勢よく育つ


1729
たぶん葛(くず)が樹上を
制圧
するように根争いをしたか


1730
葛の花人の視線の
向こうで
日差しを浴びて紫の匂う




   [短歌味体Ⅲ] 黙っていてもシリーズ


1731
言葉やみ沈黙のカーテン
下りていても
位置と速度と情感は揺れる


1732
語っても黙っていても
わからない
内心の言葉の細道がある




   [短歌味体Ⅲ] 最後の場所シリーズ・続



1733
背後から一瞬の
痛撃は
たましいに閃光の走る


1734
もう どうでもいいやと
閉じていく
その一瞬、のスローモーション




   [短歌味体Ⅲ] 最後の場所シリーズ・続


1735
いいかげんくり返しても
そこをはずしたら
という最後のそこがある


1736
逃げ逃げて後追い来る
まぼろしに
おびえたたましいの落下していく

註.日々の事件を思って。




   [短歌味体Ⅲ] ありありとシリーズ



1737
ものごとには以前も以後も
ありありと
あって生きて歩いているぞ


1738
感動は日々薄れゆく
眼差しの
深みに触れ いまここに ありありと湧く




   [短歌味体Ⅲ] ありありとシリーズ・続



1739
深々と時の流れに
埋もるるも
急発進で浮上して来るイメージ


1740
忘れてたその人の名が
様々な
イメージ群引き連れて来る




   [短歌味体Ⅲ] ありありとシリーズ・続



1741
自らの嫌な部分
ああそれそれ
と思い出させる嫌々(ケンケン)迫る


1742
生涯の両端は
不明に包まれ
登りに登って?いまここにいる




   [短歌味体Ⅲ] ありありとシリーズ・続



1743
回転草は乾いた大地を
抜けていく
しっとり緑成す芽生えはあるか

註.「回転草」は、西部劇で枯れ草が転がる場面に出て来たもの。乾いた荒涼とした感じがあった。


1744
記憶像ふいと湧き立ち
現在の
イメージの生命線に立つ




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続



1745
まずかったなあ ああまずかったよ
静かに深く
対話する「五月の空に」


1746
ほんとうは口には出せぬ
鈍色(にびいろ)の
ひとりっきりの『悲劇の解読』




   [短歌味体Ⅲ] わけわからなくてもシリーズ



1747
そっけんほんみゃく
ぞっけん
ぼんみゃくどーいどい


1748
そこから入りゆっくり下り
右行けば
心たかぶる少年の日々




   [短歌味体Ⅲ] わけわからなくてもシリーズ・続



1749
ゆーらいあゆーゆーゆーゆ
ゆーらいあ
ゆーゆーゆーゆゆうらいあひーぷ


1750
あとひとつ小石積んだら
何かが
ひび割れねじれがらがらがらん




   [短歌味体Ⅲ] 話すシリーズ



1751
話している言葉の通路を
踏み外し
どっぴんしゃんと心手をつく


1752
「愛は」と語り出したら
後追う
白いカーテンの覆いかける




   [短歌味体Ⅲ] 話すシリーズ・続



1753
話してる薄膜隔て
浮かぬ顔
心の染みて浮上してくる


1754
話してるリズムに乗って
どんぶらこ
急流に入りウッキャキャキャ




   [短歌味体Ⅲ] 話すシリーズ・続



1755
寄せては返すつながりの
波束(はそく)の場に
揺れ揺られて話してるよ


1756
きみは今平均台に
乗っている
と気づいてしまうとバイブレーション




   [短歌味体Ⅲ] 話すシリーズ・続



1757
視野の隅をよぎって散った
木のひと葉
話してる軌道が少しずれる


1758
誰もいない静かな岸辺
言葉の石を
投げているるんるるんとはねていく




   [短歌味体Ⅲ] じぶんシリーズ



1759
ここはどこの細道じゃ
自分
ぶんぶんと飛び立つものがある


1760
引き絞り自分と言うとき
わたしの中
ひとつの場所を目ざす流れがある




   [短歌味体Ⅲ] じぶんシリーズ・続



1761
自分(ジブン)する場があって
じぶんと
みんなの方に分かれていく


1762
いろんな結合手の
ゆらゆらと
迫り来る間(あわい)にじぶんは立つ




   [短歌味体Ⅲ] じぶんシリーズ・続



1763
みんなみんなみんな
じろじろじ
ろじろじろじ視線の通路の


1764
視線は高層ビル下
湧いてくる
視線の村からの古びた手紙のように


1765
目まいする視線の渦に
ダイブする
遙かなまぼろしの村に立つじぶん




   [短歌味体Ⅲ] 死シリーズ・続



1766
心臓の拍動する
魂の
集落遙か、記号の脳都市は


1767
まぼろしを駆動する
ぶんぶんぶん
目まいするよ貧血のおお脳!




   [短歌味体Ⅲ] 死シリーズ・続



1768
通じない言葉の沼地
足捕られ
死臭のエロス飛び立つ鳥よ


1769
しなやかな具体のふるえなく
乾いた
言葉の大地病んだ記号の鳥よ


1770
死んだ記号の下に眠れ
わが沈黙は
若葉揺れる初夏を黙々とゆく




   [短歌味体Ⅲ] 死シリーズ・続



1771
見通したフーコーによれば
死は
全ゆるところに遍在する


1772
ということは言葉の内部も
生と死の
生動する分布がある


1773
したがって言葉の死は
いのちの
水源のからからからん




   [短歌味体Ⅲ] 言葉ではシリーズ



1774
ああそれはねそうそうそう
そこからは
ちょっと言葉では降下できない


1775
言葉道を走行している
どこにも
たどり着けないこともある


1776
急カーブ急発進
ここでは
どんな自由もあるあるあるさ




   [短歌味体Ⅲ] 言葉ではシリーズ・続



1777
言葉ではたどり着けない
峠だから
麓の方にただ手を振る


1778
言葉の舟には乗れない
事情があり
ただ微笑みながら歩いて行く




   [短歌味体Ⅲ] じぶんシリーズ・続



1779
みんなみんなみんな
ぶんぶんぶん
振り回してじぶんが溶けてしまってる


1780
じぶんの中滑走路があり
各地へ
行っては戻る自分飛行




   [短歌味体Ⅲ] じぶんシリーズ・続



1781
帰還する足取り重く
照らし出す
モビルスーツのほてりの余韻


1782
脱ぎ替えたふだん着の自分
鏡前
どう判定するかは思想の基準




   [短歌味体Ⅲ] 言葉ではシリーズ・続



1783
概念の空中ブランコ
出会えない
ゆあーんゆよーん足掻く言葉の


1784
言葉道で出会うには
街並みの
五十音に棚引く心模様よ




   [短歌味体Ⅲ] 言葉ではシリーズ・続



1785
言葉ではただ無音の
テレビを
見るばかりの時が流れる


1786
言葉では少し鋭角
すぎる交差
になってしまうラッシュアワー




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続



1787
もがいてもはい上がれない
蜘蛛の糸
人間界の「関係の絶対性」


1788
ふしぎかい?実感と実験
に芽生える
概念の誕生「内部の論理化」




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1789
何か見ても見ていなくても
ふいと地震
のように湧き上がってくる言葉


1790
あっ、はい。呼びかけられは
いつもふいに
感じてしまう心模様がある




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1791
道を踏み外してごろごろ
土手に出る
みどりの風に草の葉揺れている


1792
空虚な強い言葉で
蓋(ふた)しても
なんやねんとみどり洩れ立つ




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1793
次は何が沸き立つのか
わからない
ただ避(よ)けたり受けたりぶつかったり


1794
ひとりひとり魚のように
日々いろんな
物語の内を泳ぎ進む




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1795
ふと拾った木の葉揺れ
みるみると
赤く染まってゆくゆくは


1796
生きてる限りはセンサー
働き
みどりの周辺から葉脈へ




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1797
あわただしい時間と時間の
間には
ひっそりと下ってゆく斜面がある


1798
下った者には遙か上に
あっくせく
あっ苦急く蠢(うごめ)きのぼんやり見える




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1799
富士には月見草が
似合う
と思い始めたら額に座しゆく言葉よ


1800
赤富士だと思い始めて
あかあかと
もえゆく言葉の赤富士の


1801
翁(おきな)の嘆きも不治の
山に消え
貴種流離譚のフィナーレを奏(かな)づ




   [短歌味体Ⅲ] 何にもないよシリーズ



1802
なんにもないなんにもない
とつぶやく
言葉だけはまだ生きてある


1803
何にもないと見た冷蔵庫
のここそこに
たまごやキャベツやニンジンが




   [短歌味体Ⅲ] 何にもないよシリーズ・続



1804
落ち込んで風景絞られ
ダークグレー
ばかりの重たい流れどんぶらこ


1805
淡いひかり瞬(またた)いている
見えても見えず
知り合いを通り過ぎてゆく




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1806
「チバニアン」と取り立てて
言わなくても
人には数百万年の時間の海がある


1807
AKBもいいけどさ(知らないけど)
ねこの手も
赤ちゃんばぶばぶもいい感じ

註.( )内は置き字です。




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1808
ふだんは眼差しの奥に
溶けていて
日々暮らしを行き来している


1809
山、木々の木霊(こだま)深々と
神の通る
まぼろしの道見続けた人は


1810
火葬終え心の通路を
カラカラカラン
と転がりゆく白いほね骨


1811
大木のみしみしみしと
倒れるとき
砂塵を上げてまぼろしも微塵に散る




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1812
うーうーうーううーううー
うんううん
ううんううんうーうーうー

註.小さい子の側に居て


1813
デモデモ、イメージと実際は
取り寄せた
服のように違った通りを練り歩く




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1814
あれそれこれのスイーツを
カロリー忘れ
思いっきり急カーブを切る


1815
ひとの欲求の水源は
遙か
薄暗い
大洋の
母型の波打つ
忘れられた街から
の便りのよう




   [短歌味体Ⅲ] 自己欺瞞シリーズ



1816
ちいさい女の子が
自然に
品を作る無意識の通路の


1817
人は誰でも背伸びする
裏通りから
輝き出す水中花


1818
あらゆる「自己欺瞞」を
ひかりの下に
しずかに芽生え出すか新たな通路の




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1819
負の世界生きる者は
句点ひとつも
言葉の手がふるえてしまう

註.「負の世界」は、大原富枝『アブラハムの幕舎』の世界イメージ。


1820
飛び石の石と石との
間(あわい)には
無数の言葉の死が横たわる




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1821
見回してどうしようもない
とふたしても
生動するけはいがある


1822
いくつもの留保の丘を
越え越えて
決めかねた
おもいおもい
断ちきることなく
深く沈めて
今、句点を打つ




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1823
水の流れ(水、流れ出す)
(ちろちろ)
日差す光(やわらか、まぶしい)


1824
チョットウ(ああ、はい?)
((変な流れ))
((ぐいぐいぐい))イイデスカ?




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1825
何がいつ起こるものか
わからない
波被る舟びくんと航路正す


1826
急な荒波も平静に
引き寄せて
風の方位をしっかりと読む


1827
外見には波間の木の葉も
場数を踏めば
いくらか鼻歌の余裕もあるさ




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続



1828
雨乞いの呪文は言わぬ
見上げると
暗雲暗躍暗闘、無縁。


1829
降り続く願いもしない
暗雲に
黙々と土のうを積む




   [短歌味体Ⅲ]  しはシリーズ



1830
詩は大事、でも、綿毛のように
軽くても
「詩人」という肩書きもいらない


1831
なんでもない、この場所には
こんなにも
おいしい空気といい感じ、がある




   [短歌味体Ⅲ] しはシリーズ・続


1832
しわしわにふやけてしまった
十分に
水に浸かって流れた時間


1833
若いばかりが旬じゃない
しわの葉脈
みゃくみゃくと生きて流るる




   [短歌味体Ⅲ] しはシリーズ・続



1834
しわしわの詩から立ち上る
のろしか
しゅわしゅわしゅわわと棚引く


1835
老年の音楽という
言葉 ふと
起ち上がる しゅっしゅわあ



   [短歌味体Ⅲ] しはシリーズ・続



1836
しゅしゅしゅわわ
まぼろしの
きかんしゃが今なお走り続ける


1837
知らない言葉も
なんども なんども
出会っていると〈し〉にもなる




   [短歌味体Ⅲ]  しはシリーズ・続



1838
乾期とて干上がりひび割れ
アマゾンの
大地に根差す魚のように


1839
ひとすじの言葉のいのち
の通路を
泳いでいくよしはしはでも詩は




   [短歌味体Ⅲ] しはシリーズ・続



1840
太古には〈はは〉はどの母?
聞き分ける
耳森の小道を踏みしめてゆく


1841
耳川を流れ下る
〈はは〉という
木霊(こだま)に叔母はびくんと振り向く

註.太古には、「はは」という言葉を母親や叔母などにも使い、それぞれ言い方で使い分けていたらしい。


   [短歌味体Ⅲ] しはシリーズ・続



1842
墨汁に浸けて走らす
〈し〉の文字が
だんだだだん言葉と起ち上がる


1843
街角から家路につく
〈し〉は静かに
折り畳まれて火照りしずまりゆく




   [短歌味体Ⅲ] じかんシリーズ



1844
えんぴつのころころころん
制服の
時間の水面(みなも)にきょとんと顔出す


1845
水はねて服がしみてる
シミランの
薬塗ってる気分が滅入る




   [短歌味体Ⅲ] じかんシリーズ・続


1846
こそあどに迷いに迷い
森深く
未決の時の煙り立つ見ゆ


1847
人ならば〈あ〉から〈い〉の川の
水しぶき
一瞬見とれて照れて渡る




   [短歌味体Ⅲ] じかんシリーズ・続


1848
約束の時間に間に合わない
あわないよお
とこだまする中イスに腰下ろす


1849
じかん波いつなんどきの
荒波を
待ち受けて立つってねえ・・・




   [短歌味体Ⅲ]  じかんシリーズ・続


1850
くり返し行き来した通り
じかんは
画布に溶けてかたち成しゆく


1851
通りゆくじかんの街
視線の
すききらいにも我がじかんの影差す




   [短歌味体Ⅲ] じかんシリーズ・続


1852
「ちょっと待っていてね」
待ち続け
待ちに待ったの手前に崩れる


1853
ちょっとの目分量に
つまずくと
苦い心の疼(うず)きはじめる




   [短歌味体Ⅲ] じかんシリーズ・続


1854
一秒の中に集積する
世界を
瞬時に潜り抜けてくる


1855
一秒の世界の淵(ふち)に
溺れた
選手、がりりと砂を噛(か)む


1856
一秒の中を探査
スポーツだけでなく
目くるくるめく集積回路の現在(いま)




   [短歌味体Ⅲ] 番外・政治言語シリーズ


「ていねいに説明します」
修飾の
峠に待つも空しく日暮れゆく


「ていねいに」微分・積分してみても
杳(よう)として
姿形を描き出せない


ていねいに」というオオカミ
少年は
生活世界の隅に生きる




   [短歌味体Ⅲ] じかんシリーズ・続


1857
あ(そうかそうかも)
(しれな)い
複雑系の蠢く大地の


1858
(乾いた風乾いたみどり)
過剰
ばかりが寄せては返している




   [短歌味体Ⅲ] じかんシリーズ・続


1859
一秒の谷から上がる
みどり風
言葉の主(ぬし)の肌合い流れる


1860
意識下のためらい歩み
ざわざわわ
風の巻き取り寄せて来るか




   [短歌味体Ⅲ] 二重視線シリーズ


1861
ぼんやりと見つめている
そこかどこか
誰もが入り込む場所がある


1862
たぶんいまここは不在
なのだろう
あくがれるたましいは夢の航路か




   [短歌味体Ⅲ] 二重視線シリーズ・続


1863
通りを二人連れが
歩いて行く
(ぼんやりと見ているわたしは)


1864
対立の渦はぐるぐる
逃れよう
もなくなくに(暗箱の世界)




   [短歌味体Ⅲ] 二重視線シリーズ・続


1865
歩いてる。一歩遅れた
笹舟は
足の渦に引き寄せられつつ


1866
「たいしたものではありませんが」
言いながら
あれにすれば良かったなと思う




   [短歌味体Ⅲ] 二重視線シリーズ・続


1867
(あっ・ぶ・つ・か・る)手をこまねいて
意識浮遊
スローモーションの目は泳ぐ


1868
しらぬまに一線を越え
ここまでも
来てしまった拱手傍観(きょうしゅぼうかん)




   [短歌味体Ⅲ] 二重視線シリーズ・続


1869
いま・は・ただ・傷ついた・獣
静かに
時間の谷間に呼吸整える


1870
先生のカタイ言葉が
バ・リ・アー・に
はね返されるよう落ちていく




   [短歌味体Ⅲ] 二重視線シリーズ・続


1871
家並みの小道をゆく
時折りは
どこからか風が吹き抜けて来る


1872
てくてくと歩いていると
ひやっ
じかんの滴肌に落ちてくる




   [短歌味体Ⅲ] 二重視線シリーズ・続


1873
現在の顔かたちを
なぞる指
その肌合いから中空に放つ


1874
どんな所に居てもその
肌合いの
現在に居座り突き抜けるベクトルの




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ


1875
人心(ひとごころ)は層を成し
階段を
上り下りして他者に出会う


1876
わかり合い地層がずれる
ずずずずず
ざざざざざん交差してゆく




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1877
交差する地層ずり落ち
かみ合わない
言葉はきいきいミュートに響く


1878
わかるよなんて気安く
言うんじゃない
地膚に固有の日差し受く




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1879
わかりそうだとしてもねえ
あれこれそれと
言葉に出して言えないよ・・・


1880
氷山の少し顔出す
水面下
ただどっしりと伝わり来る


1881
葬式の挨拶はアイマイミー
でもかまわない
ただ沈黙の川見つめる君ならば




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1882
かんたんにわかるわけない
峡谷も
平均台を必死に渡ろうとする


1883
触れ合いわかり合い
重ねても
不明の扉からの出入りの気配の




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1884
「水は酸素と水素から
できている」
とわかってもどうわかっているか・・・

註.「 」の言葉は、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より。


1885
わかるとは現在にかかる
無意識の
重力振り切り出立す




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1886
はるばる来たここは稚内
I'm stranger here.
大気も風も冷たく触れる


1887
稚内の地に住む人にも
よくわからない
大気と風の交響してきた時間




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1888
わかるわかるそれは150g
わかるわかる
これは0.1ミクロン足音でわかる


1889
「植物の声が聞こえる」
わからない
無音の道を耳立てて歩いてみる




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1890
まねをする、猫のように
身矢身矢と
こころ模様は三谷、身矢、三谷


1891
身・見・見る・見る、みるみるみるる
岸辺に
打ち寄せるもの退いてゆくもの




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1892
縄文の遮光器土偶に
触れてみる
変成する流れは今も変わらず


1893
遙かな時間の不明
イメージは
大げさに膨らむでも今と同じ日差す



縄文の遮光器土偶
(画像は、ウィキペディアより)




   [短歌味体Ⅲ] 番外 「一線を越えて」


こちらまで一線越え来て
息急き切って
また戻って行くのが見える

註.テレビをこちらからなんとなく観ていて。


一線を越えてゆく二人
石も飛ぶ
法法法と追ってくる峠道


一線を越えた者は
黙々と
世界の谷間で息も耐え耐え


公公公を脱ぎ捨てて
裸形の
二人気ままにらららりりるるる




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1894
仰向きのアリは世界の
エッジにて
無の世界に陽炎(かげろう)の立つ


1895
いちにいさんと踏み出して
little by little
日々溶け出し新たに固まりゆく




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1896
わかる・なあ・うん・としみじみ
井戸のぞき
言われてもそれは類似の井戸の・・・


1897
二人でも三人いても
どんな時も
ふいとかすめゆく〈ひとり〉の鳥影(ちょうえい)




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1898
それは〈赤〉、乗ってるきみの
こころ模様
陽炎(かぎろい)の立つゆらゆゆらゆら


1899
〈ちいさい方〉選んだのは
わかった
でもきみの手の揺らぎが見えないな





   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1900
前線に心の通い路
閉ざされて
花占いの手はふるえる


1901
わからない、わかるくり返し
遙か太古より
申し送りの問いが玄関にあり




   [短歌味体Ⅲ] わかるシリーズ・続


1902
わからないとさじ投げたあとに
空気ゆるみ
ちいさなみどりの芽が出はじめる


1903
「でっきるっかな、でっきるっかな、
はてはてふむー」
わかる谷の靄(もや)振り払い進む

註.「 」は、ノッポさんとゴン太君が出てくる昔のNHK番組の「できるかな」という歌より。




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


1904
いやなことぐるぐる巡る
冷たい
らせん階段暗い深みへ


1905
突き抜けて差し込む日差し
固い殻に
静かにひび入れやわらげ去る




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


1906
古臭いと判定する
芯の方
とっても古いものが駆動している


1907
カッコつけ流れに乗るも
家に残した
丁シャツのゆらゆら浮かぶ




   [短歌味体Ⅲ] 心の底からシリーズ


1908
絞り出す、カクカクした
言葉たち
なめらかな水流に乗れないな


1909
湧き上がる言葉の滴
黙する
テレビ画面のようにもくもく

註.昔の放送終了時のザァーと音する画面。




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


1910
晴れ渡った青空に
白雲の
静かに浮かび台風近づく


1911
未来が大まかにでも
読めるなんて
台風ゆらゆら、ぱ進む座標系




   [短歌味体Ⅲ]  番外 戦後70年シリーズ


敗・戦・後・70年
ですか
するめのように噛み続けるわけにはいかない


そそくさと「もはや戦後ではない」
くり返す
打ち消しの韻荒地の戦後に刺さるる


マラルメ・まるらめ・マルメラ
ですか
不明の森のさびしい語音


「明治は 遠くなりにけり」
聞いたことがある
昭和も人も遠く薄らぐ


「終戦・です・か・・・」
薄らぐ今が
ゾンビ呼び寄せ「鬼畜米英」


薄らぐ表皮の下に
未明の
昭和も人も眠る流れがある


何度でもくり返してきた
このヘンな気持ち
時が流れる渦流が起こる


戦争の日々の意味を
生涯
考え詰めてきた吉本さんは




   [短歌味体Ⅲ] 心の底からシリーズ・続


1912
うまく聞き取れなくても
じいんとくる
(それそれそれ)の言葉の表情


1913
〈好き嫌い〉〈スイーツと失恋〉
等価な
言葉ここにあらずの言葉たち


1914
とある駅、〈心〉と〈言葉〉が
行き違う
電車の解離イメージ




   [短歌味体Ⅲ] 心の底からシリーズ・続


1915
(どうなのどうなのどうなのお)
迫り来る
問いがいくつかの駅を現す


1916
最終に息せき切って
乗り込んだ
今イエスが走り出すよ


1917
選択し走り出してみる
救われない
イエスとノウの深い谷があり




   [短歌味体Ⅲ] 心の底からシリーズ・続


1918
思いっ切り心の底から
打ち上げても
線香花火パチ パチ パチ


1919
あっついごはん頬張って
他所にいる
あちちのきみは試されている




   [短歌味体Ⅲ] 心の底からシリーズ・続


1920
なぜ今浮上するのか
わからない
昔聴いた(オー・マイ・ダーリン・クレメンタイン)


1921
流れる髪(アチチアチ燃えて
るんだろうか
アチチアチ)すぱーんと青空




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1922
小石積む少年の
振り返り
ふとこぼれる微笑みの『幸福論』


1923
大げさに構えなくても
もうすでに
歩き出してるよ微分『幸福論』

註.この「微分」は、曲線に沿って接線次々に引くという具体性のイメージとして。




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1924
例えば三十代と
八十代
同じ言葉なのにコクや深さがちがう


1925
概念に詰まっているイメージの
生命(いのち)の旅程
とある駅で荷下ろしする『言葉からの触手』




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ


1926
遠くに飛行機
飛んで・い・る
折り畳まれ改行されゆく夕空


1927
タイマーセットし忘れ
(うううう う)
あっ 浴槽がモーゼの大海原




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1928
遙か太古赤ん坊みたいに
泣く声が
言の葉には滲みていた


1929
あっと気づいたときには
乾いた風に
解離する 心と言の葉ねじれてる




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1930
あっ、あああああ
避けようもなく
ぐらりからざっざざざざざ倒れゆく


1931
あっと口には出さなくても
波固く
打ち寄せて来る〈あっ〉の流れ




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1932
あっ、ああ、あ。・・・
滑空し
失速・墜落してゆく、言葉もまた


1933
あっ、観てるだけなのに
力の
繊維波打ち力束となる




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1934
作者よりすばやくすでに
すり抜けて
待ち合わせ場所に到達している


1935
思いもしないようなことや
約束の地
湧き出ている朝がある




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1936
これって何? (あっ) と湧き立つ
思いがある
くり返している流れがある


1937
ああそれはねと言いながら
(あっ)
すばやく素通りしていくものの気配




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1938
おそらくは〈あ〉から〈っ〉までの
無限の旅程
幼い核の時間の走法


1939
考える間もなく振り切り
走り出す
条件反射のような〈あっ〉




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1940
一瞬のとまどい残し
深みへ
じんじじんと滲みてゆく〈あっ〉は


1941
異形に見えてもくり返す〈あっ〉
の旅路は
心とからだ馴染ませてゆく




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1942
風のようなひと言にも
遙か遠く
風の起源が折り畳まれ匂う


1943
何ですか?と聞き返す
通路には
見慣れぬ置物や空気漂う




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1944
頭へ到りイメージ浮かぶ
間もなく
暗い深みからひかり突き差す


1945
みどり葉の緑流るる
道々を
みどりバッタは歩いて行くよ




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1946
真昼間の青天の広がる
一本道
雲やわらかに踏み進んでゆく


1947
自在にも歩いてるようで
固有の
座標系を歩まされてるよ




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1948
滑る すべる すべるう
張り詰める
くうきの中すべるう あっ


1949
あと少しあと三秒の
時間差
あったなら〈あっ〉は不在に眠る




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1950
通い慣れた風景ぐらり
傾いて
いつもの座標が遠ざかりゆく


1951
見慣れても時には青天の
大海原に
変位する内なる風景は




   [短歌味体Ⅲ] みどりのシリーズ


1952
飛び石をとびゆく日々の
あわいには
みどりみちのみどりに映える


1953
あわいからミュージック流れ
みどり陰
リズムに乗って揺らゆら進む




   [短歌味体Ⅲ] みどりのシリーズ・続


1954
言葉が服を身に着け
装いして
みどりの小道歩いて行くよ


1955
〈みどりの〉と言うほかない
匂い立つ
脈打つ光景が立ち現れる




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ


1956
事件の内外(うちそと)
葬式の
内外と無縁、視線の避けようもない別れ


1957
無縁でもひかれてゆく
視線
〈とおりゃんせ とおりゃんせ〉


1958
〈ここはどこの細道じゃ〉
行き来する
視線は人形(ひとがた)の森の負荷に染まる




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1959
中に入るには特殊な
カギでなく
自らの内なる経験の日々


1960
外なる目他が漂流する
しずかに見る
内なる言葉にならぬ頂から


1961
通路にただかける言葉なく
silently
旅する者の視線交わし合う




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1962
通路には見知らぬ花咲き
〈ぱなぷらか〉
異国の言葉の匂うことあり


1963
通路には無重力の
言葉もあり
つんつんつんつま先立つ


1964
ゆかしさの通路に入る
食べてみたいな
言葉の果汁〈ぱいなっぷりん〉




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1965
全面の遮断ではなく
土砂の上
ただ記号ばかり浮遊している


1966
閉ざされた心の在り処(ありか)
上に浮遊する
記号たちは必死の「蜘蛛の糸」

註.「蜘蛛の糸」は、芥川龍之介の作品。




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1967
誘われて歩いてゆくと
突然の
横穴へツーと引き込まれてゆく


1968
上がり込んだ他人の家の
匂いと
我が匂い通路でぶつかり合う




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1969
ひとつ道メビウスの森へ
迷い込み
人抜けて花花へと分岐してゆく


1970
花に会い人つながりは
ほどかれて
花花緑の流れに乗る


1971
花の酔いさめて重心
戻るように
メビウスの輪を抜け帰宅する




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1972
駆けてゆく駆けてゆく通路
絆打つ
ぬかるむ網に足取られながらも


1973
断ち切れば人つながりの
重圧も
うそのような浮力働く


1974
見震う緊急時の
閉ざされた
人つながりの通路にも青空の見ゆ




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1975
通路から太い文字が
飛び立つとき
小さな文字の欠けら横たわる


1976
張りぼての鳥には生きた
等身大の
言葉がない潤いがない




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1977
通路を潜り抜けると
よそ行きの
パシッと締めた服の言葉になる


1978
通り抜ける秘儀は自然に
成就する
着慣れた服を着こなすように




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1979
どんな通り方でもいい
それがきみの
こころに沿った流れならば


1980
秋空ばかりではなく
濁った
あくも出るにんげんだから


1981
ぶつかって他人(ひと)傷つける
走法なら
今は少し微調整する




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ


1982
ど・れ・に・し・よ・う・か・な
小さい子の
あつい視線が席取り競う


1983
店の前でバタバタする
泣き叫ぶ子にも
時にはやさしいドアの開けばいい




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


1984
ええっとねええっとね
小さい子の
時空を巡る旅の報告


1985
時空はまだ晴れ上がらない
濃い果汁
の言葉揺らぎ流れる


1986
〈ええっとね〉の焦る速度に
定まらぬ
旅程はっきり記されてある




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


1987
やわらかな翼だけでは
全土は回れない
失速する少青年期


1988
ゆったりと飛ぶグライダー
の夢見つつ
飛行機は全土を回る


1989
思わず流してしまった
微笑みは
拭いようもなく棚引いている




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1990
引き出された子牛のように
校門に
浮かない春の気分で母といた


1991
チューリップをうまく描けない
そのことが
何事かであるように学校(世界)は始まる


1992
自然にまみれた日々は
禁じられた
気ままさの中に深く深く沈む


1993
貧弱なモビルスーツを
思い思いに
着込んでいるのが見える




   [短歌味体Ⅲ] 吉本隆明シリーズ・続


1994
たとえばさあ『母型論』、なぜそこまで深く
見えるのかって?
苦の大洋を
溺れる不安が泳いできたからさ


1995
言葉の走行する
風景には
苦の実感が流れている『母型論』




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


1996
あくまの気持ち知る前は
〈恥ずかしい〉
家庭の内情(うち)を作文する子あり


1997
大文字の衣裳着れねば
踏み迷う
小文字は通路に黙々と煙る


1998
生きものの赤ちゃんはみな
数光年
濁ったわれらは遠い眼差しす




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


1999
遙か遙かの幼年は
理想の背
から静かに思い見るのみ


2000
戻れない帰れない
の舟に乗り
ただ未来ばかりが影差してくる


2001
「大きゅうなんしゃったねえ」
に笑(え)み返し
しがらみの海深こうまなざし帰る




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2002
「これどうぞ」ともらったものが
みどりに
照り映えて太宰治(だざい)の歌うたう

 註.太宰治「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目しまめが織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。」(「葉」)



2003
ひとりだけもらえなかった
さびしい子
にもいつか幻のサンタが訪れるさ




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


2004
通路なら歩く汗出る
足音の
響いてこころ滲みてゆく


2005
幻の通路だから
瞬時に
抜ける、飛躍・接続・切断・自由


2006
自由自在に見えるけど
孫悟空の
手の内を回る日々だねえ




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2007
ありふれた木の葉一枚
もらった
数十後にかがやき出す


2008
しみじみと葉脈を
たどる旅
みどり生き生き色匂い立つ




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


2009
幼な子とわれは通路に
相対(あいたい)す
行きと還りのすれちがう視線


2010
幼年は年輪を編み
われはただ
年輪を下ってゆく




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2011
一枚の枯れはじめには
静かに
見過ごすほかない乾いた夜がある


2012
かきわけて樹木の芯へ
下りてゆく
言葉の樹液をしずかに散布してみる



2013
のぼせてはいけないきみは
きみぼくは
ぼく隔たりの夜に・さくら・の・ちる


2014
どうしようもない、ないないない
の谷間にも
静かな歌がながれ漂ってある




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2015
おしゃべりな子どもらよそ目に
無口な子
幻の口から世界を下る


2016
通い慣れた通り道の
雑草も
季節や日々に新しくなびく


2017
幻に切り開かれた
山原(やんばら)に
色あざやかに花々の咲く




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


2018
花占いの一枚ごとに
ふるふる
古い通路に入り込んでいく


2019
目をつむる深みの〈大洋〉
ふき上がり
アニメの通路にウヨウヨ言葉は荒れる

註.『母型論』(吉本隆明)の〈大洋〉イメージから。




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


2020
しずかに椅子に座ってる
だけなのに
さらさらさらと流れゆくものがある


2021
縁語の網にもかからない
ただ深く
降下してゆく古い主流がある




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2022
時経てば滾(たぎ)る濁りも
しずまる
ことがあり凪の水面ゆらゆら


2023
しずまりの夕暮れ時は
虹色の
微小成分風に溶けている


2024
ありふれた言葉ひとつに
開かれて
溶け出す秋、滲み入る夕暮れ




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2025
閉じたドア、通り慣れた
記憶たよりに
きみはじっとネコのように待つか


2026
突然の雨と閉ざされたドア
ああままよと
雨にぬれてこころ放つもよし




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2027
人の側にそっと小石
置いている
水面にかすかな波紋立っている


2028
荒んだ関係の世でも
そこでブレーキ
ここでもブレーキ心のひもゆるめる




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2029
「もうお終い」の曲が立ち
上がるとき
身は小さな旋律とぼとぼ去る


2030
不意打ちに幕が下りる
のくり返し
カフカの『城』を遠望する




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


2031
思っても仕方ないけど
言葉無き
太古を思う黙々の内に


2032
言葉が無いならばただ
ネコのように
風景の中しずかに溶けている




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


2033
他人の引き絞り放つ
言葉弓の
だだダダダダと通路を抜けていく


2034
選択のあわいに不明の
森がある
言葉を紡(つむ)ぐ背だけが見える


2035
よろこびやかなしみの背
のみ見える
ひっそり森にまだ地図はない




   [短歌味体Ⅲ] 通路シリーズ・続


2036
押し寄せる大気や人が
押し寄せる
通路にドラマの動き始める


2037
誰にでも通路があって
なじみの
出入りもありひっそりにぎわう


2038
通路と通路とがはるか
離れていても
共鳴する時がある




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2039
(あっ 葉のしずくが落ちましたね)
(ああ そうですね)
二人の水面日差し受け響き


2040
(ああ そういうことがありましたね)
(ええ)
時が過去から棚引いてくる




   [短歌味体Ⅲ] やさしい歌シリーズ・続


2041
視線をふと人間界の
はずれにやると
静韻(セイン)としずまりゆくよ


2042
スカートのタイトな対立も
いつしか
ルーズ・ソックスと消えている




   [短歌味体Ⅲ] いいなシリーズ・続


2043
(いいな、それいいな)
遠くの
木々が紅葉し始めている


2044
(いいないいな、めちゃいいやん)
見渡せば
一面の紅葉におおわれる




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ


2045
透き通るあの青空と
この空気
知らぬ間に秋、包まれているわたし


2046
小さい子のように筋道は
通れない
ただ異変が肌を流れる


2047
(あい・うえ・お)言葉は遠くに
飛んでも
心は今ここを流れている




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2048
やっと咲き出した
金木犀の
黄色い香に小さな時間流れ出す


2049
どこからともなくやって来る
小さな
時間、イメージ引き連れ花開く


2050
西行ほどは気がかりなく
ただどこかに
金木犀の咲いてあるのがある




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2051
きっかけもなくふと浮かんだ
北御門(きたみかど)さん
熊本に住まいもはや現世になく

 註.もう何十年も前、雑誌か新聞の記事で二三度出会ったことがあるにすぎない。苗字だけ浮かんだ。トルストイ研究者、北御門二郎。




2052
名前しか知らないけれど
農に出た
北御門さんの足取りを思う




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2053
つらくても朝起きて出る
筋道を
超えた峠を越えてゆく日々


2054
くり返し行ったり来たり
重い扉
開けてあいさつ交わす朝もある


2055
筋道からはばからしくても
この宇宙(てん)匂う
道とぼとぼと行き来するよ




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2056
上履きの切れたいっしゅんの
(あっ(・・・))
意味を探査するけはい流るる


2057
自分のことなのに(あっ(・・・))
見知らぬものが
背後に立っていることがある


2058
自分のよく知らない接続法
が稼働して
見知らぬもの押し寄せて来る




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2059
ひと振りでインクにじみ出
なくても
意志と言葉は走り出ている


2060
訪ねて不在のあいさつに
小石を
ひとつふたつみっつと並べて帰る




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2061
小石をひっくり返したら
何が出るか
うすうす感じ取る者がいる


2062
すききらいすききらい
と上り詰め
幻の花咲き始める


2063
感じるは信の度合
に加速され
幻の深みに大魚をつかむ




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2064
(あっ 落ちた)木の葉一枚
波面に落ち
さざ波立って深みへ沈む


2065
(あっ つめたい)反応は
深みより
瞬時に起動・伝播して来る




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2066
はしに風吹く食事の
時には
橋は端ばかりがクローズアップ現代


2067
顕微鏡!とつぶやくと
虫たち
巨獣となり暴れ回る




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2068
風が吹いている、ただそれだけ
なんだけど
(かぜが・ふいて・いるよ)


2069
風から左も右も意味も
消去して
ただ肌合いに直に感じている


2070
表面の粗い編み目の
対立と
均衡の底にはゆるいいといとの

全体の註.自然詠と状況の詩との二重性か融合のようなものを意識して。


   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2071
歩み出す踏みだす足の
癖々は
自らも知らぬ性格と呼ぶべきか


2072
ものを見て内に鳴り響く
音楽は
あれあれあれよと不明のままに



   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2073
「ああ、そうだったね」
と言いながら
避(よ)けてそちらの方には歩まない


2074
二心(ふたごころ)あったとしても
言葉の
水面は昨日のように静か


2075
言葉に色は出なくとも
顔色は
ふおんふおんと微かに震う




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2076
(知らないなあ)とつぶやいて
こころは
大空巡り一点の曇りあり


2077
一点の曇りもないという
言葉たちは
その女に石を投げる


2078
一点の曇りもない
大空は
願望されたまぼろしの空




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2079
見慣れた〈もの〉は時代とともに
変幻しても
時を超えて似た出会いする


2080
ふろしきにつつまれてゆく
未来は
どこかの家の玄関に狼煙(のろし)立つ


2081
ふろしきだけたたまれてゆく
静けさに
出航する汽笛が響く




   [短歌味体Ⅲ] 無意識的シリーズ・続


2082
テーブルに落ちたひとしずく
この部屋の
空気引き寄せ色合い変える


2083
物語の主流に付いた
ひとしずく
枝毛のように支流へと伸びる


2084
言葉の背後に漂う
もやもやは
気配として絞られゆく




   [短歌味体Ⅲ] 微シリーズ・続


2085
微のうちにびびびびびっと
ひかり走り
風景がひびっと変換されゆく


2086
ひとりきりの微はたよりなく
見えても
あまたの人の深みに眠る


2087
ビットの海を泳ぎ渡り
藻や苔を
身にまとってやっと今ここに




   [短歌味体Ⅲ] 戯れ詩シリーズ


2088
びん びびん Mr.ビーン
異国の
テレビから消えて今どこに


2089
べんべんべん べべんべんべん
ベントルイス!
という町が今誕生する




   [短歌味体Ⅲ] 微シリーズ・続


2090
微微微 微微 びびびびびびび
びぃびぃび
びーん 伸びる伝わる共鳴する増幅する


2091
小さな虫が滑り込んだか
ここで脱ぐ
わけにもいかずに異和に絶え絶え




   [短歌味体Ⅲ] ねこシリーズ


2092
人ならばむっとするところ
ねこだから
はいはいどうぞと道をゆずる


2093
知らない通りに迷い込む
建て込んだ
家間から急にみゃおのする




   [短歌味体Ⅲ] 主流シリーズ・続


2094
しろうまに乗ってかける
時代は
ただただ切片ばかりになぎ倒されゆく


2095
主流に霧立ち上る
朝には
時の深みをしずかに飲み味わう




   [短歌味体Ⅲ] 微シリーズ・続


2096
一滴には不変に見えて
静かの海
微viewと匂い立ち上がる


2097
びんびんと響き感じる
ことなくて
はっと振り返ると背後に迫る


2098
微は微のままに眠り居る
高速の
走る心は微の竜巻と巻き上げていく


2099
かびんの時代よ生けられた
花々に
むせる鼻むせる肌の


   [短歌味体Ⅲ] 微シリーズ・続


2100
微に入り微に魅入られる
孤立する
たましいも微々と信号する


2101
他人には聴こえない微が
ありありと
見聞きできるとき病のドアも近い




   [短歌味体Ⅲ] 微シリーズ・続


2102
沈黙の内には流れ
があって
黙する場面でベクトルを感じる


2103
静けさの無言降りると
潮退くように
ひとひとひとの着地してゆく流れある




   [短歌味体Ⅲ] 微シリーズ・続


2104
微かなひびやずれが
在るならば
力のバランスちろちろ揺れる


2105
小さな無数のひびやずれ
いかす
オープンソース生き生きうねる



2106
張り付いたたくさんの事情を
排除した
希望はただAIの言葉



2107
vivid!と宣言しても
微微微微微
砂の城は崩れ落ちる

全体の註.状況的な詩として。




   [短歌味体Ⅲ] そこ!シリーズ


2108
誰もが好き嫌いする
そこだけは
の渦に避けようもなく引き込まる


2109
ゆらゆらの平均台から
見えるのは
かげろう立つ地平ばかり


2110
そこ!を占めてしまったら
もう戻れない
蜘蛛の糸からみからまる




   [短歌味体Ⅲ] そこ!シリーズ・続


2111
違うところ巡っていても
猫の目の
きみはそこ!一縷(いちる)のストーカー


2112
異変なく不安の風も
吹かない
けれど一抹の深あいそこ!




   [短歌味体Ⅲ] 微シリーズ・続


2113
小走りの(微)からだより前を(微)
駆けていく(微)
身にはぐれてる(微)こころころころ


2114
知らぬ(微)知らぬわしは
知らぬ(微)ぞ
何度訊(き)かれようと(微微)知らぬのじゃ




   [短歌味体Ⅲ] 微シリーズ・続


2115
折り畳みこれでおしまい
ほっとする
後ろ髪の微が気にかかっている


2116
幕下りて畳まれていく
気配する
それでも抗う微が跳ねている




   [短歌味体Ⅲ] そこ!シリーズ・続


2117
白いシャツの誤解の渦を
潜り抜け
ただただ白いシャツの降り積もる


2118
何と言われようと痛い枝葉を
踏み分けゆく
そこ、そう、そこ!を心深く沈め




   [短歌味体Ⅲ] 57577シリーズ


2119
長歌反歌くり返し
57577
ちょっとカッコ付けて走り出す


2120
57577水流に
乗り込んで
かなり気分よくすべるすべる


2121
水流に乗り縮んだり
伸びたり
短長にうねる水の舟は




   [短歌味体Ⅲ] 57577シリーズ・続


2122
55785足取り気ままに
歩いてる
ちょっとよっぱらったらったらった


2123
ああきみは澄ましているね
遠方の
ブランド物をそんなにちらちらさせなくても


2124
きみもまた赤ちゃんばぶばぶ
57577
の時間の家から育ってきたか




   [短歌味体Ⅲ] 57577シリーズ・続


2125
飛び石をふと踏み外し
見慣れぬ
韻の村に入り込んでいく


2126
イメージの桃は流れず
貧弱な
桃がただ実っている


2127
飢え忘れてもイメージは
あぜ道の 赤赤(シャクシャク)
彼岸花に吸い寄せらるる




   [短歌味体Ⅲ] そこ!シリーズ・続


2128
イメージは横超(おうちょう)の
そこ!を
ひと飛びで占拠する


2129
イメージの身体は
風に吹かれ
汗出し峠道を上り下りする


2130
走行した帰還兵は
初期の
イメージを少し修正する




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2131
そこ! と言われても
わからない
ないないに実感の川は流れず


2132
そこ!とここ 越すに越されぬ
不明の 焦焦(ショウショウ)
じかんの峠道があるはず

註.テレビで観た職人修行の場面を思い起こして。




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2133
パソコンが急死して
あれこれそれ
と引き継ぎ渡してゆく


2134
花添えることはなくても
数年の
積もる時間をしずかに眺む


2135
峠道なんとかなるさと
つぶなきながら
いくつかの峠を越えてゆく




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2136
端からは何とででも言える
何でもできるさ
ただ閉ざされたdark dark dark clouds


2137
端からはただ無言の
眼差し
向けるのみ ただ 〈存在倫理〉




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2138
もうもうと立つ湯気の中
肌合いに
流れる心の汗は見えないね


2139
似たような場面ひき出し
心の
波打ちながら流るるを追う




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2140
一ミリのずれがあったら
許さない
世界じわじわ寄せてくる


2141
逃れようのない論理で
押し切られ
身も心も染まっているよ


2142
見えない舞台にひとり
ひとり
押し寄せ押し返す劇がある




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2143
スピード色に染まっている
ジリジリジリ
いけないな おお青い空


2144
解除キーはどこ?と問う
までもなく
ただらんららんと歩けばいいさ


2145
すべては小さな自分の
そこ!
秘密の場所に眠っている




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2146
言葉のない場所から皆
言葉の
橋をよちよち渡ってきた


2147
右向けば「右」、左向けば「左」と
揺らぐ心沈め
ぼくらはそれぞれの言葉の船に乗り込んだ


2148
言葉の橋を日々渡る
遙かな
手すりの記憶手肌に触れる




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2149
言葉が砂漠のように
降り積もる
そんなつもりではとのど乾く


2150
便利さにキュウキュウとする
サイレンが
猛スピードで駆けていく夜




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2151
深々と築き上げて
しまった
ものだけどもう繕っても繕っても


2152
焦っても堂々巡りの
関係は
ただ静かに積み木の夜にふるえる




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2153
壊れるときはガラガラと
死んでなお
生き延びてひと押しのベルリンの壁


2154
たましいが冷たくなってしまっても
頭脳ばかりは
MRI 発火発火点滅しているよ




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2155
頭ヅキヅキ雲荒れて
何気ない
晴天の日の自分大きく寄せくる


2156
トンネルに長らく慣れた
ついに出る
みどりまぶしい病み上がる朝




   [短歌味体Ⅲ] 57577シリーズ・続


2157
5の踏み出しに迷ってる
と、とっとっと
見知らぬ者がふてくされ立つ


2158
そうだねそのとおりだね
とすべり出す
57577の空、晴れ渡っている




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2159
ふと流れた微笑みの
滲みとおり
人生賭けることもあるさ


2160
病でなくてもがむしゃらに
突き進む
発動の機微がある




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2161
喧騒(けんそう)に静けさの一点
あるように
静けさの細道を楽隊のゆく


2162
滴(したた)りのすすすすうっと
流れゆく
重力に沿う心模様




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2163
張り詰めた観察の
傍らで
ぼんやりと観察されてるきみは


2164
無心に砂遊びする
子どもらは
砂の城に今入っていく




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2165
あさひるばん潜(くぐ)る一日の
形や匂い
異なるくうきにわたしも変位してゆく


2166
時間の舟に乗り込む朝
一日の
日のきらきらきらめく水面は




   [短歌味体Ⅲ] せいせいシリーズ


2167
寒さ深まりゆく秋に
ももいろの
花花が生生(せいせい)揺れている


2168
いいないいな清清するな
何がって?
この風の中にゆれる心は




   [短歌味体Ⅲ] せいせいシリーズ・続


2169
せいせいをとりあえずは
生々
清清とか生成させている


2170
流れる〈せいせい〉の匂い
静止する
画布に描き留めるほかないこの流れ




   [短歌味体Ⅲ] せいせいシリーズ・続


2171
せいせいする微妙な・ち・て・ん
そこ!
が静かなバランスに揺れている


2172
少しぐらいずれてても
的に当たった
ことに変わりない、ただせいせいしないな




   [短歌味体Ⅲ] せいせいシリーズ・続


2173
例えばふぃぎゅあすけーと
雑伎団
の曲芸とおんなじじゃ?


2174
いずれも離れ技に
キュウキュウと
刃(は)の上をせいせい滑りゆく




   [短歌味体Ⅲ] せいせいシリーズ・続


2175
せいせいも研ぎ澄まされて
上り詰め
(say say say say say say) 苦しげだ


2176
せいせいするのはせいこちゃん
ばかりではなくって
ほらほらほら木々もネコたちも




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2177
階段を一歩一歩と
踏みしめて
さあ見晴らしがよくなってくるか?


2178
イルカに乗ってみないと
わからない
感触や風切る見晴らし


2179
階段に足をかけたら
ふうっと
一気に頂へ着くこともあるさ




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2180
ひとつの色と成っていても
階段を
どんどん下ると虹が見える


2181
表情は虹の井戸か
暗い井戸か
ゆらゆら立ち上って来るよ




   [短歌味体Ⅲ] 冬シリーズ


2182
〈冬〉は人が名づけたもの
だから
人の表情や匂いも放つ


2183
きびしい冬を飼い慣らし
次々人は
新しい〈冬〉を更新してゆく





   [短歌味体Ⅲ] 冬シリーズ・続


2184
冷たい冬の流れ沿いに
木々たちも
身をかたく引き締めている


2185
冬の朝(はじまりはじまり)
吐く息が
のろしのように出立する




   [短歌味体Ⅲ] 冬シリーズ・続


2186
「ひやかねえ」寒く厳しい
冬が来た
家の外では冬語飛び交う


2187
冬の火は半世紀後の今
画像の火
のように熱を持ち家のうちにある




   [短歌味体Ⅲ]冬シリーズ・続 


2188
ズキーンと冷たい記憶の
蛇口から
イメージがふと流れ出す


2189
冬の朝通学路の
歩み方
あちこちそちと踏みゆく鍵盤の




   [短歌味体Ⅲ] 冬シリーズ・続


2190
もも色に咲き誇るダリアも
霜降りると
枯れ死するけど今、いましかなく立つ


2191
地下茎は冬を生きのびて
また春に
初々しくダリアの若芽を出す




   [短歌味体Ⅲ] 冬シリーズ・続


2192
雪に埋もれてしまった
静けさに
色色の音がぴんぽんぱん跳ねている


2193
うごめく人人人が
白一色
の冬景色を揺さぶりゆく




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2194
音でも色でも言葉でも
せ・い・め・い・の
表情が織り込まれ来る


2195
なぜかはわからん生命の
日々アリさん
みたいにあちこちそちこちぶんぶんぶん




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2196
なんてことない一日にも
振り向けば そこ!
静かに深く味わうコーヒーの時がある


2197
ああ そうだったのか
見慣れた
景色が急に暗転することがある




   [短歌味体Ⅲ] 冬シリーズ・続


2198
人が決め踏み固めきた〈冬〉
あ もう冬か
目分量で感じ取るよ


2199
この地を生きてきた
イメージ束
と肌触れ合い〈ふゆ〉が流れ出す




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2200
手と手をつなぐイメージ群
ののつちの
匂い無ければ空無に墜ちる


2201
イメージ野を疾走し
現在(いま)はもう
みな風圧に肌荒れひび割れる







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