短歌味体Ⅲ-4

  500首
(2017年12月8日~2018年9月2日)

 目次


短歌味体 Ⅲ      日付
短歌味体Ⅲ 2202-2204 そこ! シリーズ・続 2017年12月08日
短歌味体Ⅲ 2205-2206 とまどいの〈あ〉シリーズ 2017年12月09日
短歌味体Ⅲ 2207-2208 とまどいの〈あ〉シリーズ・続 2017年12月10日
短歌味体Ⅲ 2209-2211 とまどいの〈あ〉シリーズ・続 2017年12月11日
短歌味体Ⅲ 2212-2213 そこ! シリーズ・続 2017年12月12日
短歌味体Ⅲ 2214-2215 とまどいの〈あ〉シリーズ・続  2017年12月13日
短歌味体Ⅲ 2216-2217 とまどいの〈あ〉シリーズ・続 2017年12月14日
短歌味体Ⅲ 2218-2219 とまどいの〈あ〉シリーズ・続 2017年12月15日
短歌味体Ⅲ 2220-2221 〈あ〉の泳法シリーズ 2017年12月16日
短歌味体Ⅲ 2222-2224 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月17日
短歌味体Ⅲ 2225-2226 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月18日
短歌味体Ⅲ 2227-2228 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月19日
短歌味体Ⅲ 2229-2230 即興詩シリーズ・続 2017年12月20日
短歌味体Ⅲ 2231-2232 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月21日
短歌味体Ⅲ 2233-2234 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月22日
短歌味体Ⅲ 2235-2236 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月23日
短歌味体Ⅲ 2237-2238 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月24日
短歌味体Ⅲ 2239-2240 そこ! シリーズ・続 2017年12月25日
短歌味体Ⅲ 2241-2242 そこ! シリーズ・続 2017年12月26日
短歌味体Ⅲ 2243-2245 そこ! シリーズ・続 2017年12月27日
短歌味体Ⅲ 2246-2247 そこ! シリーズ・続 2017年12月28日
短歌味体Ⅲ 2248-2249 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月29日
短歌味体Ⅲ 2250-2251 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2017年12月30日
短歌味体Ⅲ 2252-2253 イメージの魚シリーズ 2017年12月31日
短歌味体Ⅲ 2254-2256 新年シリーズ・続 2018年01月01日
短歌味体Ⅲ 2257-2258 即興詩シリーズ 2018年01月02日
短歌味体Ⅲ 2259-2260 新年シリーズ・続 2018年01月03日
短歌味体Ⅲ 2261-2262 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月04日
短歌味体Ⅲ 2263-2264 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月05日
短歌味体Ⅲ 2265-2266 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月06日
短歌味体Ⅲ 2267-2268 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月07日
短歌味体Ⅲ 2269-2270 即興詩シリーズ・続 2018年01月08日
短歌味体Ⅲ 2271-2273 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月09日
短歌味体Ⅲ 2274-2276 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月10日
短歌味体Ⅲ 2277-2279 即興詩シリーズ・続 2018年01月11日
短歌味体Ⅲ 2280-2281 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月12日
短歌味体Ⅲ 2282-2283 冬の朝シリーズ 2018年01月13日
短歌味体Ⅲ 2284-2285 冬の朝シリーズ・続 2018年01月14日
短歌味体Ⅲ 2286-2287 冬の朝シリーズ・続 2018年01月15日
短歌味体Ⅲ 2288-2295 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月16日
短歌味体Ⅲ 2296-2298 肌合い詩シリーズ 2018年01月17日
短歌味体Ⅲ 2299-2301 肌合い詩シリーズ・続 2018年01月18日
短歌味体 Ⅲ     日付
短歌味体Ⅲ 2302-2303 即興詩シリーズ・続 2018年01月19日
短歌味体Ⅲ 2304-2305 肌合い詩シリーズ・続 2018年01月20日
短歌味体Ⅲ 2306-2308 肌合い詩シリーズ・続 2018年01月21日
短歌味体Ⅲ 2309-2310 肌合い詩シリーズ・続 2018年01月22日
短歌味体Ⅲ 2311-2312 とっても低い視線シリーズ 2018年01月23日
短歌味体Ⅲ 2313-2314 とっても低い視線シリーズ・続 2018年01月24日
短歌味体Ⅲ 2315-2316 とっても低い視線シリーズ・続 2018年01月25日
短歌味体Ⅲ 2317-2319 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月26日
短歌味体Ⅲ 2320-2321 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月27日
短歌味体Ⅲ 2322-2324 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年01月28日
短歌味体Ⅲ 2325-2326 とっても低い視線シリーズ・続 2018年01月29日
短歌味体Ⅲ 2327-2328 とっても低い視線シリーズ・続 2018年01月30日
短歌味体Ⅲ 2329-2330 とっても低い視線シリーズ・続 2018年01月31日
短歌味体Ⅲ 2331-2332 とっても低い視線シリーズ・続 2018年02月01日
短歌味体Ⅲ 2333-2335 とっても低い視線シリーズ・続 2018年02月02日
短歌味体Ⅲ 2336-2337 とっても低い視線シリーズ・続 2018年02月03日
短歌味体Ⅲ 2338-2340 とっても低い視線シリーズ・続 2018年02月04日
短歌味体Ⅲ 2341-2242 そこ! シリーズ・続 2018年02月05日
短歌味体Ⅲ 2343-2245 そこ! シリーズ・続 2018年02月06日
短歌味体Ⅲ 2346-2348 とっても低い視線シリーズ・続 2018年02月07日
短歌味体Ⅲ 2349-2350 不調シリーズ 2018年02月08日
短歌味体Ⅲ 2351-2352 不調シリーズ・続 2018年02月09日
短歌味体Ⅲ 2353-2354 不調シリーズ・続 2018年02月10日
短歌味体Ⅲ 2355-2356 とっても低い視線シリーズ・続 2018年02月11日
 ★★(この間、入院詩シリーズ) ★ 
短歌味体Ⅲ 2357-2358 音色(おんしょく)シリーズ 2018年03月07日
短歌味体Ⅲ 2359-2360 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月08日
短歌味体Ⅲ 2361-2362 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月09日
短歌味体Ⅲ 2363-2364 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月10日
短歌味体Ⅲ 2365-2366 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月11日
短歌味体Ⅲ 2367-2368 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月12日
短歌味体Ⅲ 2369-2370 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月13日
短歌味体Ⅲ 2371-2372 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月14日
短歌味体Ⅲ 2373-2374 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月15日
短歌味体Ⅲ 2375-2376 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月16日
短歌味体Ⅲ 2377-2378 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月17日
短歌味体Ⅲ 2379-2380 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月18日
短歌味体Ⅲ 2381-2382 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月19日
短歌味体Ⅲ 2383-2386 ふたり(対幻想)シリーズ 2018年03月20日
短歌味体Ⅲ 2387-2389 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年03月21日
短歌味体Ⅲ 2390-2392 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年03月22日
短歌味体Ⅲ 2393-2394 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年03月23日
短歌味体Ⅲ 2395-2396 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年03月24日
短歌味体Ⅲ 2397-2399 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年03月25日
短歌味体Ⅲ 2400-2401 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年03月26日
短歌味体 Ⅲ     日付
短歌味体Ⅲ 2402-2403 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年03月27日
短歌味体Ⅲ 2404-2406 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年03月28日
短歌味体Ⅲ 2407-2408 即興詩シリーズ・続 2018年03月29日
短歌味体Ⅲ 2409-2411 イメージ野シリーズ 2018年03月30日
短歌味体Ⅲ 2412-2414 イメージ野シリーズ・続 2018年03月31日
短歌味体Ⅲ 2415-2416 イメージ野シリーズ・続 2018年04月01日
短歌味体Ⅲ 2417-2418 イメージ野シリーズ・続 2018年04月02日
短歌味体Ⅲ 2419-2420 イメージ野シリーズ・続 2018年04月03日
短歌味体Ⅲ 2421-2422 いいけどさ、ただ・・・シリーズ 2018年04月04日
短歌味体Ⅲ 2423-2424 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月05日
短歌味体Ⅲ 2425-2426 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月06日
短歌味体Ⅲ 2427-2428 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月07日
短歌味体Ⅲ 2429-2430 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月08日
短歌味体Ⅲ 2431-2432 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月09日
短歌味体Ⅲ 2433-2435 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月10日
短歌味体Ⅲ 2436-2437 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月11日
短歌味体Ⅲ 2438-2440 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月12日
短歌味体Ⅲ 2441-2443 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月13日
短歌味体Ⅲ 2444-2445 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月14日
短歌味体Ⅲ 2446-2448 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年04月15日
短歌味体Ⅲ 2449-2450 ふたり(対幻想)シリーズ・続 2018年04月16日
短歌味体Ⅲ 2451-2452 〈あ〉の泳法シリーズ・続 2018年04月17日
短歌味体Ⅲ 2453-2454 音色(おんしょく)シリーズ・続 2018年04月18日
短歌味体Ⅲ 2455-2457 いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続 2018年04月19日
短歌味体Ⅲ 2458-2460 即興詩シリーズ・続 2018年04月20日
 ★★(この間、詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ)※以下同様
短歌味体Ⅲ 2461-2462 別に何もシリーズ 2018年05月04日
短歌味体Ⅲ 2463-2464 別に何もシリーズ・続 2018年05月05日
短歌味体Ⅲ 2465-2467 別に何もシリーズ・続 2018年05月06日
短歌味体Ⅲ 2468-2470 別に何もシリーズ・続 2018年05月07日
 ★★
短歌味体Ⅲ 2471-2474 ちょっといいですかシリーズ 2018年05月22日
短歌味体Ⅲ 2475-2478 ちょっといいですかシリーズ・続 2018年05月23日
短歌味体Ⅲ 2479-2481 ちょっといいですかシリーズ・続 2018年05月24日
短歌味体Ⅲ 2482-2483 ちょっといいですかシリーズ・続 2018年05月25日
短歌味体Ⅲ 2484-2487 変身シリーズ 2018年05月26日
短歌味体Ⅲ 2488-2490 変身シリーズ・続 2018年05月27日
短歌味体Ⅲ 2491-2492 変身シリーズ・続 2018年05月28日
短歌味体Ⅲ 2493-2495 変身シリーズ・続 2018年05月29日
短歌味体Ⅲ 2496-2497 変身シリーズ・続 2018年05月30日
短歌味体Ⅲ 2498-2499 変身シリーズ・続 2018年05月31日
短歌味体Ⅲ 2500-2501 変身シリーズ・続 2018年06月01日
 ★★
短歌味体 Ⅲ  日付 
短歌味体Ⅲ 2502-2504 変身シリーズ・続 2018年06月23日
短歌味体Ⅲ 2505-2510 変身シリーズ・続 2018年06月24日
短歌味体Ⅲ 2511-2513 変身シリーズ・続 2018年06月25日
短歌味体Ⅲ 2514-2516 変身シリーズ・続 2018年06月26日
短歌味体Ⅲ 2517-2519 変身シリーズ・続 2018年06月27日
短歌味体Ⅲ 2520-2522 変身シリーズ・続 2018年06月28日
短歌味体Ⅲ 2523-2524 変身シリーズ・続 2018年06月29日
短歌味体Ⅲ 2525-2527 即興詩シリーズ続 2018年06月30日
短歌味体Ⅲ 2528-2530 即興詩シリーズ続 2018年07月01日
短歌味体Ⅲ 2531-2533 即興詩シリーズ続 2018年07月02日
短歌味体Ⅲ 2534-2536 即興詩シリーズ続 2018年07月03日
短歌味体Ⅲ 2537-2539 即興詩シリーズ続 2018年07月04日
短歌味体Ⅲ 2540-2542 即興詩シリーズ続 2018年07月05日
短歌味体Ⅲ 2543-2545 即興詩シリーズ続 2018年07月06日
短歌味体Ⅲ 2546-2551 即興詩シリーズ続 2018年07月07日
短歌味体Ⅲ 2552-2555 山に登るシリーズ 2018年07月08日
短歌味体Ⅲ 2556-2558 山に登るシリーズ・続 2018年07月09日
短歌味体Ⅲ 2559-2561 山に登るシリーズ・続 2018年07月10日
短歌味体Ⅲ 2562-2564 山に登るシリーズ・続 2018年07月11日
 ★★
短歌味体Ⅲ 2565-2567 変身シリーズ・続 2018年07月22日
短歌味体Ⅲ 2568-2570 変身シリーズ・続 2018年07月23日
短歌味体Ⅲ 2571-2573 変身シリーズ・続 2018年07月24日
短歌味体Ⅲ 2574-2576 変身シリーズ・続 2018年07月25日
短歌味体Ⅲ 2577-2580 接続シリーズ 2018年07月26日
短歌味体Ⅲ 2581-2584 接続シリーズ・続 2018年07月27日
短歌味体Ⅲ 2585-2587 接続シリーズ・続 2018年07月28日
短歌味体Ⅲ 2588-2590 接続シリーズ・続 2018年07月29日
短歌味体Ⅲ 2591-2593 接続シリーズ・続 2018年07月30日
短歌味体Ⅲ 2594-2596 接続シリーズ・続 2018年07月31日
短歌味体Ⅲ 2597-2599 接続シリーズ・続 2018年08月01日
短歌味体Ⅲ 2600-2601 接続シリーズ・続 2018年08月02日
短歌味体 Ⅲ 日付
短歌味体Ⅲ 2602-2605 接続シリーズ・続 2018年08月03日
短歌味体Ⅲ 2606-2608 接続シリーズ・続 2018年08月04日
短歌味体Ⅲ 2609-2611 接続シリーズ・続 2018年08月05日
短歌味体Ⅲ 2612-2614 接続シリーズ・続 2018年08月06日
短歌味体Ⅲ 2615-2617 接続シリーズ・続 2018年08月07日
短歌味体Ⅲ 2618-2620 接続シリーズ・続 2018年08月08日
短歌味体Ⅲ 2621-2623 接続シリーズ・続 2018年08月09日
短歌味体Ⅲ 2624-2627 接続シリーズ・続 2018年08月10日
短歌味体Ⅲ 2628-2630 接続シリーズ・続 2018年08月11日
短歌味体Ⅲ 2631-2633 接続シリーズ・続 2018年08月12日
短歌味体Ⅲ 2634-2637 接続シリーズ・続 2018年08月13日
短歌味体Ⅲ 2638-2640 接続シリーズ・続 2018年08月14日
短歌味体Ⅲ 2641-2644 接続シリーズ・続 2018年08月15日
短歌味体Ⅲ 2645-2647 接続シリーズ・続 2018年08月16日
短歌味体Ⅲ 2648-2652 接続シリーズ・続 2018年08月17日
短歌味体Ⅲ 2653-2655 接続シリーズ・続 2018年08月18日
短歌味体Ⅲ 2656-2658 接続シリーズ・続 2018年08月19日
短歌味体Ⅲ 2659-2661 接続シリーズ・続 2018年08月20日
短歌味体Ⅲ 2662-2665 接続シリーズ・続 2018年08月21日
短歌味体Ⅲ 2666-2668 接続シリーズ・続 2018年08月22日
短歌味体Ⅲ 2669-2671 接続シリーズ・続 2018年08月23日
短歌味体Ⅲ 2672-2674 接続シリーズ・続 2018年08月24日
短歌味体Ⅲ 番外・戯れ詩 2018年08月25日
短歌味体Ⅲ 2675-2677 接続シリーズ・続 2018年08月26日
短歌味体Ⅲ 2678-2681 はじまりはシリーズ 2018年08月27日
短歌味体Ⅲ 2682-2685 はじまりはシリーズ・続 2018年08月28日
短歌味体Ⅲ 2686-2689 はじまりはシリーズ・続 2018年08月29日
短歌味体Ⅲ 2690-2692 はじまりはシリーズ・続 2018年08月30日
短歌味体Ⅲ 2693-2695 はじまりはシリーズ・続 2018年08月31日
短歌味体Ⅲ 2696-2698 おわりはシリーズ 2018年09月01日
短歌味体Ⅲ 2699-2701 おわりはシリーズ・続 2018年09月02日








   [短歌味体Ⅲ]  そこ! シリーズ・続


2202
疾走するイメージ群の
快性に
足裏の不安の宿は曇る

註.「快性」は、わたしの造語です。


2203
イメージの現在(いま)の生命は
飢餓などが
かつてなかったように自在に踊る


2204
疾走するイメージ群は
不安に
駆動されて骨董品へ迷走するもある




   [短歌味体Ⅲ] とまどいの〈あ〉シリーズ


2205
(あわわわわ)とまどう〈あ〉が
内面の
襞に小さく反響している


2206
瞬時にいくつもの尾根
を越えて
とある峠道を下ってゆく〈あ〉




   [短歌味体Ⅲ] とまどいの〈あ〉シリーズ・続


2207
五十音の森の向こうから
木霊(こだま)する
〈あ〉の反響が聴こえてくる


2208
目覚めた〈あ〉がよちよちと
細道を
歩いてくるのを感じている




   [短歌味体Ⅲ] とまどいの〈あ〉シリーズ・続


2209
かんしょくをああそれそれと
掘り当てるように
遙かな発声の場を目指す


2210
よくわからず通ってきた
道々を
たどり返して行く〈あ〉の現場へ


2211
あ ああ ああ あ あああああ
あああああ
いやいや違うなあ〈あ〉が違うな




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2212
少年はなけなしのものを
投げ打って
あおじろい道を日々生きていくよ


2213
遠離り大人になっても
少年の
言葉にならないことばたちがよぎる




   [短歌味体Ⅲ] とまどいの〈あ〉シリーズ・続


2214
〈あ〉の深みに手足広げ
ゆったりと
浸かっている〈あ〉の気分の


2215
ちょっと裏手に回ったら
クモの巣が
待ち構え〈あ〉にまとわりつく




   [短歌味体Ⅲ] とまどいの〈あ〉シリーズ・続


2216
不意に来た「ここいいですか?」
亜 阿 唖
痾 阿 吾「いいですよ」


2217
飛び石を踏んでゆく
意外にも
風の段落にとっとっとっと




   [短歌味体Ⅲ] とまどいの〈あ〉シリーズ・続


2218
銀河の彼方まで
巡り巡っても
必ず「おはよう」の朝に立つ 〈あ〉


2219
超純水を潜(くぐ)っても
〈あ〉の癖や
匂い振り切ることはできないな




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ


2220
朝の滴が落ちる
〈あ〉もまた
水しぶき上げすべり出してゆく


2221
あてがわれたカタカタを
押してゆく
よたよたの〈あ〉の見る風景の

註.カタカタは、おそらく歩行練習を兼ねた遊具。




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2222
五母音をランボーにねじ伏せて
言葉の街
をツッパリ歩く青年もいた


2223
五十音パズルみたいに
つんつんつん
言葉の通りをカッコつけて歩く者もいる


2224
習いたての水泳みたい
わが泳法は
バタバタバタの少年の〈あ〉




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2225
たったひとつの〈あ〉でも、ぶるん
ぶるるん
ぶるろろろろろと走り出すぞ


2226
ひとつの〈あ〉、震わせ響く
あ・ああ・・・あ・・・・
百千の花々も開くさ




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2227
「ああそうだね」と語り出すとき
はるばると
時間の丘を越えてきている〈あ〉


2228
運命は〈あ〉の泳法の
中に静かに
折り畳まれ染み渡ってある




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2229
病気ではないけど
冬空の
静かな晴天を心に入れる


2230
にぎやかに沸騰する表通りから
裏道に入り
木々の静かなみどりに出会う




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2231
小さな言葉駆けてくる
足もつれ
アワアワアワワ息切らす、冬


2232
あのあのあのねと加速され
言葉を
追い越しゆく心ころころ




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2233
〈あ〉もうこんな時間になっちゃった
帰らなくっちゃ
時間の潮がバタバタ退いてゆく


2234
うず高く言葉の黄葉
散らし合い
微かな匂い混じり立ちがある




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2235
生涯をかけて〈あ〉を究めても
あ・あ・あ・お・お
〈お〉を背負いゆく者がいる


2236
うんときばって投げたのに
ん、ん、ん、ん、ん
水面をたよりなくすべる〈あ〉




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2237
無限の可能性とは
言うけれど
いつもなけなしの身からしか出ない〈あ〉


2238
童話じゃないんだから
暗がりを
ひとり潜行することもあるさ




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2239
くたびれ果てる議論の砂漠
もうもうもう
土煙ばかりが奥深い場所に落ちていく


2240
不毛の風に身をさらしていたら
言葉が
パラパラと起源の闇へ落ちていく




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2241
沈黙の場が揺れ揺らる
日差す日に
わたしも世界も在り続ける


2242
時代の夕暮れ時に
脱ぎ捨てる
こともかなわず廃墟の歌華やかに流るる




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2243
ブンガクなんてたいした
ことない!
と死にゆく者が言うのはいいさ


2244
たいしたものと思わなくても
誰もが
いろんな所に出入りつながる


2245
言葉を柔らかく開く時
心ゆるやか
世界も jingle jingle 改まりゆく




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2246
言葉にも濃い文字だけでなく
負の文字も
消え入るような文字もありありとある


2247
他の文字の想像がない
言葉は
しみ通る通路がない




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2248
今がすべてと言葉の手を
伸ばし
水かき分け一日を味わおうか


2249
抽象の言葉の森に
入り込む
触れる木々は生の肌匂う




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2250
ゆったりと魚影ながめる
わが時を蹴り
倒しバシャバシャ進む・者・いる


2251
〈あ〉と揺れ、戻ってゆく
収束の
波紋静まりゆく〈あ〉の息づかい




   [短歌味体Ⅲ] イメージの魚シリーズ


2252
目で触れる手で触る
距離は
一匹の魚の姿形を変える


2253
カクカクと泳ぐ魚は
まるでAI
概念の超純水に跳ねる




   [短歌味体Ⅲ] 新年シリーズ


2254
くつろぎのゆっくりと立ち
少しかしこまる
言葉の服を着るよ 今日は


2255
古びても煤払いした
言葉たち
また新しくみちに歩み出るか


2256
どことなく空気がちがう
身ぶるいする
芯を流れる初日の出の




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2257
いのち消ゆ、人でなくても
深々と
重い静けさ沈黙の井戸の


2258
きっちきちの喪服のズボン
身にまとい
からだとは違う道筋を静かに潜(くぐ)り抜け来た

 註.年末に親類の者が亡くなって通夜、葬儀に出た。




   [短歌味体Ⅲ] 新年シリーズ・続


2259
ふだんなら通り過ぎる
道端の小石
正月の日差しを浴びている


2260
ああそうか、ふと転がり出る
納得の
古道ころころと下ってゆく




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2261
「あーーー」となめらかに
すばやく
走行する〈あ〉にあこがれることもあるさ


2262
〈あ〉のいろかたちにおいの
剥がしようもない
固有の軌跡が記されて在る




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2263
ぼおおおー棚引く汽笛が
〈あ〉の足裏流れ
今日も一日の中へ歩み入る

註.「朝あけて船より鳴れる太笛のこだまはながし並(な)みよろふ山」(斎藤茂吉「あらたま」)を思い起こしつつ。


2264
テープ流れず色鮮やかな
旗も振られず
わが舟は小さな旗立ててすべり出す




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2265
わが旅は朝虹の無数
の破片
背負(しょ)い込んで予感の夏に突き進む


2266
にわか雨に〈あ〉は濡れる
雨の方位へ
流れてみるか青葉が染みるぜ




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2267
なあんだやればできるじゃん
中途の
峠道にほっとくつろぐ


2268
一歩一歩、あるいは千歩先
数え過ぎたらだめ
ただこの一歩一歩をかみしめ歩く




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2269
行きと帰りが同じ道でも
まるで違う
風景の押し寄せ静まる


2270
潮が退く終わってみれば
激しい曲の
うねりも静かに楽譜におさまる




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2271
一歩は一歩とピン留めしても
視線に
誘い出されて変現する


2272
一歩は百歩にも
あるいは
マイナス五十歩にも表情を変える


2273
人は皆一歩の深み
のぞくことなく
昨日よりも少し新しく踏み出す




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2274
「もり」と言えばどの森か
すぐにわかる
「もり」が誰の心にもある


2275
その森の泉に勢いよく
跳ねる魚の
森を潜(くぐ)って来るぞわが〈あ〉は


2276
「もり」のしずく動きまわった
後の汗に
余韻しずかに響いている




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2277
オリンピック病と同じく
われらもまた
現代病に罹(かか)っている


2278
病は気づかぬ所に
生え生え生え
静かに密かにはびこっている


2279
ブンガクはマジック言葉
を使わない
細い線で微細にたどりゆく

註.「カヌー・ドーピング問題」で、気楽に断定的に責め立てるワイドショーの面々をちら見して。




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2280
「あっ まぶしい」押し止めよう
もなく ああ
朝日がまた差して来ている


2281
朝の大気をバタバタ泳いでみる
それだけで
朝は「おはよう」を返してくる




   [短歌味体Ⅲ]冬の朝シリーズ 


2282
発声の練習する
寒い朝
芯まで響く根太い流れ


2283
ぼんやり眺める朝の
ベンチには
冷気に囲まれ身の縮み居る




   [短歌味体Ⅲ] 冬の朝シリーズ・続


2284
ひんやり峠遙かに越えて
今はもう
しばれるしばれる身はしばれる峠


2285
やわらかい冗談の
つもりが
あちちの四角い口と同じような





   [短歌味体Ⅲ] 冬の朝シリーズ・続


2286
ATUMETAI あつ め た  い
あつ あつめ
たいあつ  め あ、つめたい


2287
冬はザク ザクザクザク
足裏で
ひそかに夢見るさらさらさら




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2288
AKEBとかなめてんの?
うーん
半分はね、後はどうでもいいさ


2289
太古からの人の性(さが)は
今もなお
AKEBやKOKEBに駆り立てている


2290
誰もが(いいなあ)という
エロスの流れ
に浸かりどこへ泳いでいくのか


2291
舞台に上りゆく細道の
間(あわい)に
装着・駆動する前のAKEBがある


2292
監督等のマス・イメージの
せんじょうに
若いエロスたちが飛び跳ねる


2293
熾烈な〈やさしさ〉競う
〈やわらかさ〉
追い立てられる〈ハート〉〈ハート〉〈ハート〉


2294
そこ、いやいやあそこではなく
ここだよ
ほんとうのせんじょうは


2295
AKEBもKOKEBもいいけどさ
誰もが
インスタの手前に映えてるよ ほら




   [短歌味体Ⅲ] 肌合い詩シリーズ


2296
「そおねなんかいいね」
霧立つ
言葉峠を下ってゆく


2297
ならぬ!言葉にならぬ
とつぶやく
その下にしずかな流れがある


2298
差し入れた手にやわらかな
春の日の
ひなたの匂い漂い来る




   [短歌味体Ⅲ] 肌合い詩シリーズ・続


2299
静は、日が差しても
波立たず
しずかに内にしずまり居る


2300
動は、ふれるゆれる
大波立つ
踏み出す朝のはじまりのよう


2301
静と動、ふいと差し向け
られた顔の
表情にも潜(ひそ)んでいる




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2302
蛇行して並んでいる
ことばたち
ふいと割り込む言葉がある


2303
ことばたちは身固まって
「何ですか?」は
「アカカアイア」とカクカクする




   [短歌味体Ⅲ] 肌合い詩シリーズ・続


2304
朝のドアに手触れなくても
肌合いは
朝の気配にすうっと目覚める


2305
思えば生きものはみな
くうきの海
浸かって身震わせ響き合う




   [短歌味体Ⅲ] 肌合い詩シリーズ・続


2306
〈朝〉という文字を想起する
こともなく
朝の通路を渡ってゆく


2307
〈朝〉という文字を想起する
者たちは
机上から未明の〈朝〉を遠望する


2308
〈朝〉というつぶやきは
文字の〈朝〉と
同じ朝の音・色・匂う




   [短歌味体Ⅲ] 肌合い詩シリーズ・続


2309
いくつもの朝をくぐり抜け
〈あさ〉は今
湯煙を後に〈朝〉の椅子に座る


2310
言葉を目や耳で受け取る
者は皆
自室からの〈朝〉の眺めが加わる




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ


2311
子どもらが動き回る
線上に
ぐっぱんぐっぱん追う足跡の


2312
地面に腰を下ろせば
風が変わり
遙かな時間の波打ち寄せる




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2313
外からの視線感知して
子どもらの
動線が一瞬ぶるっとふるえる


2314
アーナンダ ソーナンダ
子どもらの
つぶやくお経が大空引き寄せゆがむ




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2315
足下から聞こえてくる
同じ言葉
でも不意を突く戻れない幼年


2316
何ほしいです?それはでちゅね
まっかな
お空を飛んでる鳥さんでちゅ




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2317
イメージの翼広げて
たったったっ
〈あ〉を無音に近く分割する


2318
微小素を集めてみたら
耳にした
ことのない〈あ〉の魚が泳ぎ出す


2319
〈あ〉を微分してゆく この
滑り心地は
まくろーりん未知の気分さ




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2320
「あーーあ」とつぶやくと
〈あ〉の舟を
やり過ごし埠頭(ふとう)に座り込んだ


2321
意味を織り始めゆく駅
前広場
には〈あ〉の少年たちのたむろする




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2322
複雑な音階歩む
〈あ〉の旅も
肌感覚が生命(いのち)を刻む


2323
(お腹すいたな)とどこからか
響いてくる
沈黙の稜線を〈あ〉は宿へ下る


2324
食べ物の湯気立つ匂いに
言葉の荷を
下ろし手足を伸ばすよ 〈あ〉は




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2325
あっここにこんなものがある
いくつもの
目が腕組んでのぞき込んでいる


2326
アリたちの中に迷い込んだ
気色の
大きな虫がもじょもじょしている




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2327
雨上がり木々の葉から
滴たち
チーツンハーツンしているよ


2328
水たまりとぬかるみを
選んで歩む
足心びちゃびちゃばちゃん




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2329
ねくたいとりかわぐつぬいで
ちからぬいた
そこでならたぶんそれがみえるよ


2330
足下の高さ流れる
風たちは
ぼくらのきもちをくすぐってゆく




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2331
そこでもうネジを巻いたら
「蜘蛛の糸」
大人の視線に真っ逆さまだよ


2332
少しでも飾り付けたら
花たちは
萎(しお)れ出しやわらかな風は止む




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2333
ぼんやりと視線落とし
やっほっほ
やっほっほ幻の足音を聴く


2334
服を着ていてもはだかの言葉
恥ずかしくはない
お腹のそこからやっほっほやっほほ


2335
人類の幼年期、そう
なんども
なんども雨に濡れ雨匂っていた




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2336
ずんずんずんお腹の底
の方で
鈍く響く音のする


2337
七曲がり下って行っても
見晴らしは
うーん、ずんずずん霧がかかっている




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2338
大きく息を吸い吐くとき
ゆっくりと
ひとつの影がついて来る


2339
木々や生きものたちとの
境界を
弧を成して触れ戻り来る孤


2340
子ねこや赤ちゃんの
無邪気な
たたずまいがまぶしすぎるぞ




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2341
うやむやのもやもやの煙
立つ中で
たいせつなものはいつも末席にいる


2342
ゴシック言葉飛び交う
果実を
剥いても剥いても中はがらんどぅ




   [短歌味体Ⅲ] そこ! シリーズ・続


2343
外からは何にも見えない
内では
煙が微かに上がっている


2344
〈事件〉は内からどおんと
打ち破って
煙と共に転がり出てくる


2345
内と外とが少しばかり
溶け合う
細道があるような気がする




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2346
カタン!気づく舞台は
息をして
いる息をして・今・ここに・いる


2347
大息中息小息
様々に
行きつ戻りつ何か掴(つか)み来る


2348
いきいきて戻りを知らぬ
呼吸法
いき切れの日にカタン!世を去る




   [短歌味体Ⅲ] 不調シリーズ


2349
不調ならこれとあれとの
境溶け
こあれあれこと漂い出す


2350
(ちょざーれあるこちょざーる
あれこ)
風景がゆらゆら揺らぎ出す




   [短歌味体Ⅲ] 不調シリーズ・続


2351
不調には朝が濁る
晴れ渡った
朝の静けさは遠い日のよう


2352
ありふれたと言うのが
ためらわれる
幾千の朝の中には新婚の朝もあったよな




   [短歌味体Ⅲ] 不調シリーズ・続


2353
不調の今日ぼくには
ふちょうさん
の符牒がはっきり見えた


2354
不調にはあんなにも遠く
いつもが
ありありと記憶のガラスケースに




   [短歌味体Ⅲ] とっても低い視線シリーズ・続


2355
拾い上げる砂一粒〈あ〉
もう一粒〈い〉
砂場には言葉が眠っている


2356
つぶつぶぶつぶつぶつぶつ
砂粒を
選び並べるきみの手に日差している





★★★

 ※短歌味体、継続3年、合計3000余首で一言。

詩意識から入り込み、短歌味体を2015年02月02日からほぼ毎日作り続けて3年、3000首の峠を越えた。別に特別の感慨はない。最後に大きな病気をしてしまったけれど、なんとかやってこれた。
そして、(誰もがやればできるじゃん)という気持ちを持った。いろんな分野で、いろんな人々が、黙々と(やればできるじゃん)を実践してほしいなと思う。もう少し続けてみる。


★★★


   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ


2357
赤い音みどりの森に
押し寄せて
一面の赤の下、臥すみどり


2358
赤々と鳴くツバメも
時間旅
灰色に暮れる夕べ小さな丹(に)と飛ぶ




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2359
深みから突き上げくる
名辞以前の
溶岩流ふったくつったく



2360
めいじ以前の遙かな時
静まる
大海原をゆらゆら泳ぐものがいる




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2361
葉のみどりにそっと触れる
心の
階段を音階を成し下りゆく


2362
はっとする赤いひかりが
まぼろしいの
ような不確かさでよぎりゆく




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2363
開け放ちぼんやり外見る
音や色が
溶け合いながら窓辺をよぎる


2364
ふと湧いてくる記憶のように
深みから
色鮮やかな楽隊が通る




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2365
花ひらき花ちる春の
ひんやり
静けさのみち音色が鳴っている


2366
まぼろしの踏みしめられて
音色の
道ありありと鳴り響いている




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2367
あいまいやおぼろげの立つ
霧の朝
クリアーに絞り込めない、言葉は


2368
「ばかだねえ」と向かい来る
音色が
こちらを包み漂っている




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2369
はっきりと見えなくても
春の風
らんららんと地を撫(な)でてゆく


2370
地中にあるならば
今年もまた
躍り出てくるみどりの新芽




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2371
冬峠過ぎ日差しに浸かる
なだらかな
旋律になびく丘に出る


2372
眼華飛び交う春の日に
眼下に
ちろちろ広がる光の静寂(しじま)

註.「眼華」は島尾敏雄の作品に出てくる。
吉本さんが講演「漱石のなかの良寛」(A079)で触れている。




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2373
小さい頃の春の市
どこからか
参集するおお賑わいよ


2374
音色匂い立つ市道(いちみち)を
あちこち
スキップしながら歩む心は




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2375
zoom in ズームイン
しだいに
音色変わる ずーむいん


2376
言葉の峠道から
紅葉も
風の旋律も変わりゆく




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2377
鳳仙花夏の大気に
揺れ揺られ
ぽっとはじける海へのダイブ!


2378
水面の小さな泡ぶく
ダイビング!
にぎやかな音色のキラキラ




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2379
洗いつつ語らう母たち
大きな声
が水音に跳ね交響する

註.大昔のことでなく、つい半世紀ほど前、川で洗濯に連れられて。


2380
自然の音色に
溶け合う
人の声声の席があった




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2381
遙か少年時と言っても
ほらそこに
にぎやかな祭り音色浮上する


2382
黄金(きん)色の鉦や太鼓に
笛も乗る
秋の段落、暮れゆく少年の背




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ


2383
流しの横向きのもの
縦になってる
小さな濁り流し横に置く


2384
ひとりなら気ままでも
ふたりなら
足もつれることもあるさ


2385
ああままよと城明け渡す
こともある
ふたりなら城出たり入ったり


2386
ふたりならにぎわいもあり
ひとりなら
火の気のない寒さに身震いも




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2387
あの家は殿のいくさに
出るそうよ
(どうするどうするどうするよお)


2388
一族の長(おさ)ならば(ならば、と)
漂い来る
硝煙に今朝きりりと起つ


2389
心は選択の峠道
踏み越えても
身は避けられぬ選択の内に




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2390
赤と青混じり濁る
こともなく
ただ斑点と安らぎ居る


2391
赤と青濁り混じれば
肌荒れて
ただ軒先の雨粒を眺め居る


2392
できるなら後付いて行く
武者(むしゃ)んよか
男の深みにある母系の無意識

註.「むしゃんよか」は、熊本弁で「(武者のように)かっこいい」の意味。




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2393
(ああそうね)と重なり合って
響き合う
言葉は居間の灯りに映える


2394
ひとりひとりでもなく自然に
溶け合い
立ち上がるふたり言葉がある




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2395
静かな水面に見入る
わたしを
はっと引き戻し干渉する波紋


2396
〈あ〉の言葉に〈い〉が近づく
なみの物語
〈あい〉の言葉にぽっと灯がともる




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2397
子を生み育てる母となり
主婦の座へ
少しよそよそしく上り下りして見える


2398
子ども染みたけれど魔法の
言葉
(ちちんぷいぷい)母を隠し持っている


2399
渦中の〈私〉が見つめる
ふたり景色
我れ知らずのゆがみはあるか




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2400
ふたりの出会い聞かれると
恥じらい振れる
小物語なぜか閉じゆく


2401
いくつもの手を振り切って
何事も
なかったように川原に来たふたり




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2402
振り切った弁明は・・・
異星人
と呼ばれてもふたりの内に黙するのみ


2403
ふたり席そばに居たら
ずり落ちる
手を拱(こまね)いて立ち去りゆく




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2404
微細な色のつぶつぶが
鼓動する
遙か地平線からは春の差す


2405
音色の階段
軽やか
上りゆく、おお、もう春か


2406
下りゆく白地の丘
風に膨らみ
薄(うっす)らの桃色流れ舞う




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2407
深みから聞こえてくる
声のよう
意味途絶えても水音さやか


2408
意味の峠下ってゆくと
言葉は
音の川に溶け込んでいる




   [短歌味体Ⅲ] イメージ野シリーズ


2409
知らない無意識の通路
通り抜け
ふいにドアから出て来るような


2410
スクリーンを突き破り
見知らぬ
楽隊が現れ歩く


2411
さかなというイメージの破片
織り畳まれて
イメージ野に魚の跳ねる




   [短歌味体Ⅲ] イメージ野シリーズ・続


2412
くり返す、ひとつひとつから
染み出てる
固有の匂う絵画群のよう


2413
おんなじ形や色を
積み上げても
人の目と手は無数の細道をゆく


2414
流れている、飛んでいる、
触れる
それだけで火のエロスが勢いづく




   [短歌味体Ⅲ] イメージ野シリーズ・続


2415
人の内ちろちろちろちろ
燃えてる火
「火火火 癒やされるう」とは言わせない


2416
内の火はみどりの葉や
言葉の舟
に乗って旋律を奏でゆくよ




   [短歌味体Ⅲ] イメージ野シリーズ・続


2417
言葉に言葉ぶつかり
響き合い 次々に
木々や山川街が立ち上がる


2418
街並みや風景は
現在が
わが通路通りかたち成しゆく




   [短歌味体Ⅲ] イメージ野シリーズ・続


2419
白い、梅。花が咲いている。
満開の
白が風に小さくなびいている


2420
しろいうめの固まりの白
おそらくは
内に流動する熱ある白




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ


2421
いいけどさ、ただ・・・人に肩
ぶつけては
いけないなあ、乾いた駅頭


2422
いいけどさ、ただ・・・若い肌を
露出して
もねえ、黙々と芯を磨けよ




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2423
ただ・・・と言っても老いも若きも
同時代
同じ大気を呼吸してはいる


2424
経験値違っていても
いいけどさ、
ただ・・・(避けようもなく見える)風景が微妙に違うんだよなあ




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2425
好き嫌い、いいけどさ、ただ・・・
歳取ると
好みの味も微妙に変わり来るよ


2426
ひたすらにジコチュウ、いいけどさ、
ただ・・・
打ち解けて脇芽出ることもあるさ




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2427
どんな考えも自由さ、ただ・・・
当たり外れは
主流のうねりが決める


2428
いいけどさ、ただ・・・つかむなら
主流の
太い束をしっかりつかむ




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2429
おいしいね(いいけどさ、ただ・・・
もうひと振りの
味の物語加えて欲しいな)


2430
それいいね(いいけどさ、ただ・・・
そんな細道
ぼくは思いつかなかったなあ)




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2431
今日は良い天気だねえ
(いいけどさ、
ただ・・・というおもいがないわけではない)



2432
いいねえ、ほんとにいいねえ
(今は、ただ・・・
この瞬間に向き合ってる)




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2433
あの人はそうなんだよ、で
いいけどさ、
ただ・・・人は黙々と内を生きる


2434
吉本さんにイカレてる、でも
いいけどさ、
ただ・・・〈ほんたうのこと〉が知りたいだけさ


2435
コミュニケーション論だけ、
いいけどさ、ただ・・・
覆い尽くせない沈黙の軒先見える




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2436
「それくらいで止めといたら?」
いいけどさ、
ただ・・・あとひとつ、あとひとつだけ


2437
いいけどさ、ただ・・・の岸辺には
誰もが
勢い滑り出す沈黙の舟




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2438
言葉は自由自在
縦横無尽
どこにでも行けるさ、ただ・・・


2439
人間界を脱け出せば
無機質の
時間の海の、いいけどさ、ただ・・・


2440
他人の背中に沈黙
で呼びかける
細道があるさ、ただ、ただ・・・迷路




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2441
(いいけどさ、ただ・・・)のドアとじて
「そりゃあ
良かったねえ」と静かに開く


2442
(いいけどさ、ただ・・・)と内に
つぶやく
ほかない無量きらめく複雑系


2443
煩悩(ぼんのう)の鈍く輝く
スペクトル!
いいけどさ、ただ・・・と口ごもる




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2444
(あっ 冷たい)避けようもなく
降りかかる
いいけどさ、ただ・・・ずきんとつ・め・た・い


2445
(苦しい?)ああそうなんだ
いいけどさ、
ただ・・・(余裕が失踪してるね)




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2446
ひび割れて修復されて
ひび割れる
ふたりの背後薄闇積もる


2447
背後から積もり積もった
暗雲の
払いようもなく鈍どんより


2448
乱れ糸に憑かれてしまい
ひと積みする
がらがらんと積み木つぶれる




   [短歌味体Ⅲ] ふたり(対幻想)シリーズ・続


2449
その一歩踏みとどまるか
自棄(やけ)落ちるか
目覚めた朝に不穏の舟過(よぎ)る


2450
その一歩踏み出したら
もうもうと
土煙り立て深(シン)落下する




   [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の泳法シリーズ・続


2451
寒さ慣れしていたはずの
ほころびよう
春の魚のように〈あ〉が泳ぐ


2452
吾が〈あ〉がと目立つことなく
時には ふと
春の岸辺に〈あ〉の尾びれ打つ




   [短歌味体Ⅲ] 音色(おんしょく)シリーズ・続


2453
肌触れる音色が
冬から春
へと確かに流れ響いている


2454
日差し浴びるぬくもりの中
ぷちぷちぱち
と春が小さくはじけている




   [短歌味体Ⅲ] いいけどさ、ただ・・・シリーズ・続


2455
断言の世界の中心では
いいけどさ、ただ・・・
と口ごもる瞬間がある


2456
いいけどさ、ただ・・・
かたい言葉の
外皮めくれば芯は揺れている


2457
ほんたうの有り様求める
人の歩みが
(いいけどさ、ただ・・・)を自然に促(うなが)す




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2458
ふと気づくとひたすらに
草取りしている
今日は晴天、春が消えゆく


2459
おそらくは子どもの頃の
無心な遊び
どこかの保存庫から流れ出ているか


2460
休憩にほっと息つく
変わりゆく
日差しの向こう、初夏の予感




   [短歌味体Ⅲ] 別に何もシリーズ


2461
やわらかな風が吹いている
別に何も
思い煩(わずら)うこともなく吹かれている


2462
「別に何も」と言ってもね
ほらほら
はげしく血は巡っているよ




   [短歌味体Ⅲ] 別に何もシリーズ・続


2463
言葉にはうまく乗れない
流れにいる
ただ浸かっている足は心地よい


2464
「別に何も」と言うときは
後ろ向き
言葉の岸に静かに佇む




   [短歌味体Ⅲ] 別に何もシリーズ・続


2465
(別に何も)というドアは
誰もが日々
行き来して別に気にも留めない


2466
ぼんやりと外を見てる時
たましいは
内に流れる音色(おんしょく)に浸かる


2467
乖離(かいり)でもなくただ自然に
重心の
傾きにしたがいうずくまる





   [短歌味体Ⅲ] 別に何もシリーズ・続


2468
「別に何も」をそっと裏返す
心模様
を追跡する探偵ではなく


2469
「別に何も」をやり過ごし
晴天の
次の電車に乗り込んでゆく


2470
「別に何も」は出会いのひとつ
道端の
花に手触れず今は歩みゆくか




   [短歌味体Ⅲ] ちょっといいですかシリーズ


2471
ためらいは(ちょっといいですか)を
なんども
なんどもおさらいして足踏みする


2472
(ちょっと いいですかあ )
でもねえ
もうとっても果てしない 見える


2473
「ちょっと いいですか  」
いくつかの
バリアー脱けて玄関に立つ


2474
侵入者ではないのに
どこかで
りんりんりんと鈴が鳴っている 聞こえる




   [短歌味体Ⅲ] ちょっといいですかシリーズ・続


2475
「ちょっといいですか」の丘を
駆け上がると
流れた汗が風に出会う


2476
ささいなことがただ動いただけ
の風景も
内を潜(くぐ)るは「シンドバットの冒険」


2477
ただ言葉のトンネルを潜(くぐ)る
だけなのに
切り傷も擦り傷もある 痛い


2478
つながりの糸たどりゆく
どれが現実で
どれが幻やら糸糸糸 もつれる




   [短歌味体Ⅲ] ちょっといいですかシリーズ・続


2479
ちょっといいですか(ドレ ミレド
レドミレド
ミレドモミドレ ドレドレドドラ)


2480
ちょっといいですか(ふあふあふあ
みれすふあ
ふふふふあふあふみれすふあ)


2481
ちょっといいですか、あの鳥は
ちるちる
ふあらどふあらどしていますねえ




   [短歌味体Ⅲ] ちょっといいですかシリーズ・続


2482
ちょっといいですか、あなた
の自由って
何ですか?おっとお危ない!


2483
理想のしずく深く
滲(にじ)ませ
こぶし差し出す自由もあるさ



   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ


2484
太古には怪傑ハリマオ
カッコいい!
とふろしきはターバンとなる


2485
古代にはウルトラマンの
三分が
とっても気になる赤ランプ点滅滅滅


2486
近世には小さい頃の
ハリマオが
無惨に色あせ剥がれて素顔


2487
現在はAKB48通りで
蹴りを入れ
日差し浴びただ静かに歩む




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2488
太古には楽屋も化粧も
張り詰めた
舞台への道行も知らん知らん


2489
古代にはドラマの中に
死んだ俳優の
輪廻転生信じられない!


2490
近代には舞台の背後に
作者たち
右往左往整理整頓換骨奪胎




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2491
おちゃらけの放送人だった・・・
今や玉虫色の
顔で登場は、ヨオオ!福岡市長


2492
株屋が自分に吹く風
寄せ集め
金金感(キンコンカン)SNSネトウヨ出陣す




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2493
(ベタベタと肌触れられて
気色いい
おれは おれが おれの ユーメイジンさ)


2494
十分なら耐えられる
真夏の
ウルトラマンスーツ活劇


2495
タイガーマスクの虎の穴
素振りも見せず
にこやかに歌い踊るミュージシャン




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2496
ひと引きふた引きパッパッパ
異郷の峠
化粧の人深く下ってゆく


2497
その先はもう花や獣の
乱れ咲く
彼は誰時(かはたれどき)に匂い立ち込む




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2498
本日は、足下の悪い中、
お集まり
いただき、ありがとうございます


2499
ほらほら、言葉の靴下
ちゃんと
履いて!もうでかけるわよ




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2500
スターターに身構えながら
し・だ・い・に
走行機械へ変貌してゆく


2501
モビルスーツを身にまとい
ぴったりと
没入してしまっている




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2502
走行中の風の匂い
我に返って
スローモーションで感じている


2503
金属の匂いになじみ
今や ほら
きみのイメージは金属臭がする


2504
風を切るイメージの刃には
必ず
出自とその遍歴が刻まれている




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2505
家族も知り合いも
ミュートして
のっぺりコマーシャル道に乗る


2506
「日本大好き」、ニッポーーーン
ダイスキ。
ほら、きみは今 へ・ん・し・んしてるよ


2507
合い言葉は、「日本大好き」。
アニメの
高ぶる血潮はじける花火


2508
おじさんもSNSの舟に乗り
愛国アニメの
美少女に変身さ


2509
右にも左にも振れずの
中道を自称する
仮想舞台の闇から知的冷笑も唱和する


2510
にぎやかな仮想空間の
向こうでは
おじさんおばさんこどもたちがいるなあ




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2511
変身は大げさなもの
じゃないんだ
0.1グラムの塩でぐらり傾く


2512
揺ら揺らと塩梅(あんばい)の尾根
たどりゆく
肌合いがきゅうきゅう締まりゆく


2513
微分道の〈あ〉の一声が
膨らむ力
変身道を駆けてゆく




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2514
言の葉は刃となって
傷つける
心はスパーンと真っ二つにもなる


2515
(ただの言葉なのにと逃がしはしない)
殺傷は
見えないところに血煙上げる


2516
へらへらと逃げおおせたと
安堵しても
内には鬼神が育ち居るぞ




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2517
変身のボタンを押す
こともなく
言葉はすでに変身ボタンさ


2518
「君達は、今、重要な
ターニングポイント
に差し掛かっています」(そうなのか?)


2519
言葉が言葉と出会う時
渦の湧き
変身への水圧を感じてる




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2520
〈あしたは・・・〉と言葉坂を上るとき
明日が
少し違った色合いの服着て来る


2521
雲流れる〈あした〉の中
ふいと モネの
「日傘の女」に出会った


2522
〈あい〉〈あい!あい!あい!〉
と打ち鳴らし
ただ形の〈愛〉ばかりが入れ替わり立ち替わり




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2523
あらあ、けん坊、こんなところで
何してるの
(あ、いえ、その、あの、(このう!))



2524
短歌詠む人の肩に
短い
髪の毛ひとつとっても気にかかる




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2525
(ああ連絡し忘れたなあ)
ルラルラ
ルーラルルンパパリは燃えているか


2526
この服似合うかなあ
サラカドゥーラ
メティカドゥーラ買っちゃおう


2527
「注文間違えました」
ああ別に
それでいいですよビビデバビデブー




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2528
「そうね、今度にしましょう」
白い車
過ぎ去って行くをぼんやり見ている


2529
(ううん、どうしょうかなあ)
一羽の鳩
急に舞い降りてきた


2530
「ねえねえ、みんな持っているよ」
み、ん、な
みんなかあ(心みんなの空を巡る)




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2531
「現在(いま)が大事だ」そうは思うけど、
の谷間に
まるで重力下のようはらはら散りゆくもの


2532
「今年の夏には、(ほうらほらほら)
このTシャツ!」
耳に聞こえても街には入らぬ


2333
「もうね、もうね、うーんと、もおもおね」
確かに
もうもう場が少し見えるよ




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2534
木の葉が見えているのに
見ていない
心の場所、誰も持ってる


2535
見える時いろんなイメージ群
や匂いや肌合い
すぐに湧きだし一つに合わさってゆく


2536
ぼんやりと見える時には
心の内に
いくつかの層が重なり合っているよ




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2537
その言葉知らなかったと
今の今までの
時間の降り積もりの中に立つ


2538
普通の石磨かれて
光出す
言葉なら照れくさく微笑む


2539
ああじめじめするなあと
語る道筋に
晴れ上がった晴天が潜む




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2540
目覚めの境界で
どどどんより
クリアーなガラスの昼を見る


2541
眠りの世界は死みたい
む、むむむ無
まるでエイリアン物憂く目覚める


2542
「あら、寝てたのね」
(あ、ああ)
世界がぐらり重心移動する




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2543
「今度さあ、海行こうよ、
みんなで」
「(あ、ああ・・・)いいですよ」


2544
あの海がみんなの海へ
急に折れ
模様替えしている


2545
ひとりで見る海ふたりで見る海
みんなで見る
海少しずつ海変移する




   [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2546
あの山向こうをよく知らない
二昔前
言葉は五十音に充足してた


2547
言葉の背は避けようもない
重圧に
黙々と耐えてはいた


2548
ふと見あげる風景に
沈黙は
静かに深く日差し受けていた


2549
現在は渇いた喉
多重な音の
順列組み合わせに多忙だ


2550
それは、違うだろう
古びた疑念
おもたく空を切るばかり


2551
渇いた喉から飛来する
悪意の固まりが
上空を飛び交っている




   [短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ


2552
山に登る、その前には
小石蹴ったり
花に手触れたり麓(ふもと)まで急ぐ


2553
麓から見上げる山は
とっても遠く
よそよそしいね、異郷の匂う


2554
気分は山気分
囚(とら)われて
一歩二歩と心ここにあらず


2555
先のことなんてどうでもいいさ
とりあえず
いいよと今ここを味わうって難しいなあ




   [短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ・続


2556
(きついな、ああ苦しいな)
まだまだ
半分も登ってはいないぞ


2557
(三分の二まで来ちゃったよ)
ああ風の
心地よく肌触れてゆくよ


2558
(あ、ああ、あー。あああー。)
とうとう
山頂に着いちゃったね




   [短歌味体Ⅲ]  山に登るシリーズ・続


2559
長蛇の列に並んで
帰っていく
そのかるーい気分で下ってゆく


2560
上りの重いフィルター
はがれ落ち
クリアーな景色の中をゆく


2561
山登りの物語を
ていねいに
内から語り尽くすは難しいな




   [短歌味体Ⅲ] 山に登るシリーズ・続


2562
あの日あの場の記憶は
薄れゆき
おっとっとっとジグザグ言葉になる


2563
生ものも時とともに
変移する
(昔のわたしはどこ行ってしまったの)


2564
うとうとは油断大敵
土ぼこりの
でこぼこ道が舗装道になってるよ




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2565
言葉から手が出て頭出る
霧の中
〈アリ〉が地面に立ち走り出す


2566
幻といっても言葉のからだ
ありありて
待てえ待てえとずんずん来るぞ


2567
言葉にも口があり
深井戸から
わおわおおんと小さく響いて来る




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2568
〈あ〉の髪型が今朝はちょっと
違ってるよ
寝苦しい夢のせい?(あらあ)


2569
〈い〉のイントネーション
今日は
ちと重いね(いろいろあるから)


2570
〈うっ〉と言ったきり
無言。
回送か、救急車無音で行く




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2571
言葉の森で出会った
ひげ文字の
Ichの表情、ちょっとイヤだ


2572
言葉の森にも響き来る
店通りの
声張り上がる(らっしゃいらっしゃい)


2573
(へん、えへん、ヘンシーン!)
あらあらら
耳が二つ消え残ってるよ




   [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2574
アクセルを踏み込んでゆく
まだらの〈あ〉が
青魚となり跳ね泳ぎ出す


2575
イメージの舟に乗り
青々と
照り映え進む〈あ〉の航跡の


2576
静けさのカーテン降りて
イルマニア
なつかしい音曲も流れる




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ


2577
おおここは、わがイルマニア
在れ!と言うと
現れるイルマニアの翼


2578
イルマニアの翼に乗って
時間旅行
するすると滑り降りるような気分いい


2579
こんなところにイルマニア
時間の
化石たち乾いてごろごろ


2580
誰もが身に付いた
接続法
を持っている(イルマーニア!)




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2581
ほんとの名前は知らない
昔から
ただ(いるまーにゃ)と言っている


2582
入留間荷屋でも要流真丹矢でも
かまわないさ
ただ心ののどを流れ下る(いるまーにゃ)


2583
うまく流れたかどうか
瞬時に
わかるさその地に住む人ならば


2584
(いるまーにゃ いるまああにゃ)
「おはよう」に似て
遙か彼方からかたち成してきた




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2585
〈イルマニア〉分解されて
〈イル〉〈マ〉〈ニア〉
手足もがれて無惨だなあ


2586
外人の話す(イルマーニ)
少し変でも
この地に近づき顔に見える


2587
イルマニア花咲く頃は
人集い
(いるまーにゃ)喜び流れる




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2588
たくさんの言葉語られ
ぶつかり溶け合い
ひとつ決まる〈イルマニア〉


2589
たくさんの言葉のしずく
こぼれ落ち
この地の水路を流れ始める


2590
この地の風の屈折率
が押し出し
響き渡る(いるまーにゃ)




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2591
数え切れない雲流れ去り
村も変わり
水路整備されてゆく


2592
やむにやまれぬと晴れがましいが
手を結び
〈イルマニア〉神社建つ


2593
小さなことに満足せず
むくむくと
雲の湧き出し株屋、神社に参る




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2594
太い柱、太いしめ縄
選択には
伸びゆくつながりの手の表情がある


2595
自然への引け目とツッパリが
溶け合って
次第に樹木は人の顔立ちになる


2596
祈の太文字が自然や人に
及ぶ時
その飛沫我らにまで及ぶ




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2597
ぽろぽろと言葉たくさん
こぼしながら
きみは言葉みちを食べ歩いて行くんだね


2598
手をつなぎ一二三と
跳んでゆく
心流れる言葉の飛び石


2599
おそらくは見よう見まねに
始まって
小さな心に言葉の家建ち始める




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2600
(それはね えーとそれはね)
・・・・・・
言葉の手前の駅いつの間にか過ぎた


2601
晴れ上がった宇宙の青は
もうすでに
混沌の時を後にしている




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2602
あの子はいいなこの子はいやだ
差し出す手
伸ばしたり引っ込めたり


2603
どこからか次々舞台に
出入りする
立ち回る、われは細道をゆく


2604
学校の小さなまなざし
飛び交う
世界はすでに仕切られている


2605
世界の小さな扉閉じ
まなざしを
畳んで今日も家路につく




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2606
SNS、言葉が寄せて来る
くるくるくる
(そんなつもりなかったのに、もう。)?。・・・。・。


2607
ここは言葉の岸辺。
打ち寄せる
波ぶつかり跳ね泡立つ見える


2608
よく知らない人々の姿
表情。
でも言葉の匂う姿、薄らある




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2609
内景のつぶやき静か
ひと泡も
ブラックホールの外には出ない


2610
今までは内景の泡
と消えていた
いまSNSに薄ら化粧して前景化する


2611
舞台の演技者じみて
SNSの
つぶやきは独り言から独り立ちする




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2612
他人とは無縁に見える
独り言
人や世界へのさびしい接続手


2613
木や石に近いこころも
さびしい
音色(ねいろ)の血が流れている


2614
無以外にスペクトルのどこかに
つながるならば
まだまだこの世界に生きて在るぞ




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2615
ちりんと音がする
心の通路
(ち・りぃーん・・・)と滑り落ちてゆく



2616
ちりん、空気ふるわせ
響いてくる
夏だねと心対面している



2617
音、ちり、ちりりぃーん
ちっちっち
ちりちりぃーん、心に響き渡り滲(し)む




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2618
裏通りのしいんとした
小道に
小石ひとつ目に入って来る


2619
小道に遊ぶ小さい子らの
耳も無心に
小石ひとつと同じく静まり


2620
幾千の日差しや雨に
さらされ
あるいは蹴られ小道に小石はいる




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2621
三人の名前ひらひら
落ち着かない
えーっとだれがだれそれかなくり返す


2622
名を追っていく野の道の
遠ければ
文目(あやめ)も知らぬ峠道に迷う


2623
知らぬ間に名前張り付き
しっとりと
小雨に濡れて峠を下ってゆく




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2624
死後の世界はもう干からびて
しまったから
〈死〉は平等な永久圏外


2625
死者は片思いに似て
生者の
沈黙にのみ後ろ姿で生きる


2626
生前に生臭い飛沫
被っても
彼はもう〈死〉の圏外に行っちまった


2627
残った我らは〈死〉を忘れ
圏内に
シジフォスの石積みを楽しむ




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2628
誰もが日々の圏外に
時には出かけて
変身し浮かれ騒ぐ


2629
祭りの後の余韻ほのかに
家路につく
おお とうだいもとくらしぃー


2630
二日酔いに苦しんでも
何度も
行き来する おお とうだいもとくらしぃー




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2631
ひとりだけ引きこもっても
たぶん
やわらかなみどりの葉波に触れる


2632
精神の病抱えても
たぶん
ふかい深いみどりの葉波受信する


2633
誰にでも一言で尽くせぬ
重い思い
あるけれど一言で接続したいな




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2634
作為も陰謀もなく
手ぶらの
存在が指し示す 西


2635
西に特別な何かある
わけじゃない
我知らず指し示してしまう 西


2636
方位には接続される
空間と
時間とが漂っているが


2637
方位の一接続を
絶ってなお
のびてゆく接続手 西




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2638
日々はみんなとおんなじさ
今日もまた
日が昇り日が沈み帰り眠る


2639
どこまでも問いを重ねゆく
わからない
という場所に手ぶらで立つぼくは


2640
問い詰めゆくと人の時間の
廃屋の
どこから手を付けようもない がらん




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2641
濃い線の言葉は強く
魅力的?
見え見えの作為や信仰が潜む


2642
話し方教室の手前
で左折する
非接続も接続の方法さ


2643
未接続がいくつかあっても
どこかと
人は接続してほっと息つく


2644
うまく接続できた時
呼吸も
柔らかな丘陵(おか)静かに波打つ




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2645
万人に開かれていると言う
のはやさしい
(そこそこ 色が濁っておるやん)


2646
一連の言葉の通路を
たどる時
ある閉ざされた部屋に行き着く


2647
ほんとうに本当を塗り
重ねても
やわらかに芽吹くほんとうはどこ?




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2648
敵が攻めてきたらどうする?
と言われても
その時にならないとわからないな


2649
当然にあらゆる敵には
反撃するさ
ひとりを蹂躙する敵には 今ここでもね


2650
どうするどうするどうするよお
と仮定の船に
乗り込んで責め立てられてもねえ


2651
それにさあ国のことなんか
知ったこっちゃないさ
トウダイモトクラシィー!


2652
ところできみはどんな船
に乗ってるの
国が船籍みたいだね




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2653
自分本位さっさかさっさか
貫いて
非接続の接続をゆく


2654
漱石も頑固なまでに
突っ張って
土俵際でも踏ん張っていたなあ


2655
価値が転倒していく
言葉も
校長の話へと遠離るは 否(ノン)!




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2656
運動会に限らないけど
表層の
賑わいのなか下層が泡立つ


2657
フォークダンス、手はつなぐけど
モチーフは
照れながらエロスの丘陵(おか)を下る


2658
他人(ひと)の手に 触れる しゅわあ
と広がる
ふしぎな景色よ 四つ葉のクローバー




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2659
(あっ)絵の具こぼれて
滴が
広がり滲(にじ)みゆく(まあ、・・・いいか)


2660
偶然のひと言の波紋
ざざ、ざざん
走り去る波(しょうがねえな)


2661
言葉は接続されて
返す波
内にカチリと小さく響く



   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2662
思わぬことも縫い合わされると
アップリケ
色鮮やかなパプリカのよう


2663
そのままで別にいいんだ
破れても
ほら 今蘇るダメージパンツ


2664
失敗は道外れでも
巡り巡って
未知を抱えて道に接続する


2665
(なんとかなるさ)の心には
なんとかなる
道が徐々に接続してくる




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2666
太声太文字には
微細レベル
がすっからかんに追放されている


2667
どんなに拡大しても
やわらかな
風になびくみどりの草書は不在


2668
たぶん言葉の川を
歩いて渡る
ことはなく飛び石踏んできたのだ




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2669
深みから深みの風景
を見ている
視線に小さな泡ぶくも混じる


2670
内からの言葉の振る舞いが
例えば
ただ「いいね」ボタンを押す


2671
「いいね」には簡単には
クリアーな
言葉にならない虹が架かっている




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2672
峠道下ってゆくと
言葉なく
微笑むか顰(しか)めるかしかない


2673
誰もが出会う言葉みち
うっそうと
茂った木々やツタに足取られ


2674
言葉の峠には
下の方から
言葉以前のアイマイミーが吹き上がる




   [短歌味体Ⅲ] 番外・戯れ詩


!イーェイ
あなだやい
かり終うも
ないいれそ
うよ来たま
ないしびさ


?いかたれ揺
?るいかれら
えねもてっゆ
るるりらじわ
んぜいせろり




   [短歌味体Ⅲ] 接続シリーズ・続


2675
「そうですね」と返答はする
けれど ああ
言葉の舟は先の方を進んでいるさ


2676
ざっくりと問い詰められても
霧の中
こもよみこもよ籠もり居る


2677
きみは何つながりか
と聞かれたら
ただ無言で〈理想のイメージ〉つながりさと答える




   [短歌味体Ⅲ] はじまりはシリーズ


2678
木の葉散る黄色がかった葉
枯れ葉青葉
散るそれぞれの事情で散る


2679
どんな色違う事情でも
この大気の中
等しく木の葉散る


2680
ネトウヨもリベラルも
溶け出して
ねとねとうようよりらべるする


2681
等身大の少し生臭い
ただの人
緊張して舞台の袖に立っている




   [短歌味体Ⅲ] はじまりはシリーズ・続


2682
はじまりはスーツにネクタイ
で踏み迷う
一見主流の朝が流れている


2683
一見を軽く否定
はしないさ
近代からの重みがありあり


2684
なぜ黒なのという疑問
沈めて
葬式に向かう日もある


2685
歴史の重しがあっても
(それは服ですよ)
のかるーい気持ちがいいな




   [短歌味体Ⅲ] はじまりはシリーズ・続


2686
晴れがましい、否定はしない
ただ普段着の
朝に始まり夜に帰る


2687
たとえば玄関先の
小石を
裏返す、小さなはじまりの朝


2688
うーん、どれにしようかな?
突き抜けて
無条件に〈いし〉でありさえすればいい


2689
大石小石黒石青石
見た目ではなく
時にさらされた石であるならば




   [短歌味体Ⅲ] はじまりはシリーズ・続


2690
あと一歩踏み込んでいたら
新しい
風を肌に受けていた?


2691
その一言を沈黙の深みに
沈めなくても
はじまりははじまりゆく


2692
ああ失敗と退くきみにも
はじまりの
その風は肌触れているよ




   [短歌味体Ⅲ] はじまりはシリーズ・続


2693
本番の舞台に上る
前 静かな
きみの胸にはその歌の流れる


2694
緊張の水中で
ふっ 身を解く
はじまりの舞台につながる


2695
はじまりとアクセント置く
と 無縁に
始まりの川は流れはじめている




   [短歌味体Ⅲ] おわりはシリーズ


2696
氷河はがれ落ちて
ゆっくり
流れ 漂い 旅のはじまり・・・


2697
道中に出会うものとは
次々別れ
語り難い道中記


2698
旅の終点 溶けてしまう
ひとかけら
後には晴れ渡った青空




   [短歌味体Ⅲ] おわりはシリーズ・続


2699
あれほどのピンと張った
はじまりも
解けて流れて夕暮れに入る


2700
終わりあるさびしさは
しんししん
終わりの夜に青く倒れ込む


2701
振り返る時間はずずずん
濃縮の
海の底ただ深いふかあい







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