短歌味体Ⅲ-5

 600 首
(2018年9月3日~2019年5月20日)

 目次


短歌味体 Ⅲ    日付
短歌味体Ⅲ 2702-2704 おわりはシリーズ・続 2018年09月03日
短歌味体Ⅲ 2705-2707 はじまりおわりシリーズ 2018年09月04日
短歌味体Ⅲ 2708-2710 はじまりおわりシリーズ・続 2018年09月05日
短歌味体Ⅲ 2711-2713 即興詩シリーズ・続 2018年09月06日
短歌味体Ⅲ 2714-2716 くり返す秋シリーズ 2018年09月07日
短歌味体Ⅲ 2717-2719 くり返す秋シリーズ・続 2018年09月08日
短歌味体Ⅲ 2720-2722 くり返す秋シリーズ・続 2018年09月09日
短歌味体Ⅲ 2723-2725 くり返す秋シリーズ・続 2018年09月10日
短歌味体Ⅲ 2726-2728 くり返す秋シリーズ・続 2018年09月11日
短歌味体Ⅲ 2729-2731 主流論シリーズ 2018年09月12日
短歌味体Ⅲ 2732-2735 主流論シリーズ・続 2018年09月13日
短歌味体Ⅲ 2736-2738 主流論シリーズ・続 2018年09月14日
短歌味体Ⅲ 2739-2742 主流論シリーズ・続 2018年09月15日
短歌味体Ⅲ 2743-2747 主流論シリーズ・続 2018年09月16日
短歌味体Ⅲ 2748-2752 主流論シリーズ・続 2018年09月17日
短歌味体Ⅲ 2753-2755 変身シリーズ・続 2018年09月18日
短歌味体Ⅲ 2756-2758 関係なさそうでシリーズ 2018年09月19日
短歌味体Ⅲ 2759-2761 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月20日
短歌味体Ⅲ 2762-2764 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月21日
短歌味体Ⅲ 2765-2768 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月22日
短歌味体Ⅲ 2769-2771 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月23日
短歌味体Ⅲ 2772-2774 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月24日
短歌味体Ⅲ 2775-2777 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月25日
短歌味体Ⅲ 2778-2780 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月26日
短歌味体Ⅲ 2781-2783 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月27日
短歌味体Ⅲ 2784-2786 関係なさそうでシリーズ・続 2018年09月28日
短歌味体Ⅲ 2787-2789 即興詩シリーズ・続 2018年09月29日
短歌味体Ⅲ 2790-2792 即興詩シリーズ・続 2018年09月30日
短歌味体Ⅲ 2793-2795 即興詩シリーズ・続 2018年10月01日
短歌味体Ⅲ 2796-2798 即興詩シリーズ・続 2018年10月02日
短歌味体Ⅲ 2799-2801 即興詩シリーズ・続 2018年10月03日
   
短歌味体 Ⅲ 日付
短歌味体Ⅲ 2802-2804 即興詩シリーズ・続 2018年10月04日
★★
短歌味体Ⅲ 2805-2808 即興詩シリーズ・続 2018年11月04日
短歌味体Ⅲ 2809-2811 接続法シリーズ・続 2018年11月05日
短歌味体Ⅲ 2812-2814 接続法シリーズ・続 2018年11月06日
短歌味体Ⅲ 2815-2817 ふれるシリーズ 2018年11月07日
短歌味体Ⅲ 2818-2820 ふれるシリーズ・続 2018年11月08日
短歌味体Ⅲ 2821-2823 ふれるシリーズ・続 2018年11月09日
短歌味体Ⅲ 2824-2826 ふれるシリーズ・続 2018年11月10日
短歌味体Ⅲ 2827-2829 ふれるシリーズ・続 2018年11月11日
短歌味体Ⅲ 2830-2832 ふれるシリーズ・続 2018年11月12日
短歌味体Ⅲ 2833-2835 ふれるシリーズ・続 2018年11月13日
短歌味体Ⅲ 2836-2838 ふれるシリーズ・続 2018年11月14日
短歌味体Ⅲ 2839-2842 即興詩シリーズ・続 2018年11月15日
短歌味体Ⅲ 2843-2844 ふれるシリーズ・続 2018年11月16日
短歌味体Ⅲ 2845-2850 例えばミロの絵「ピクニック」シリーズ 2018年11月17日
短歌味体Ⅲ 2851-2853 わけもわからずシリーズ 2018年11月18日
短歌味体Ⅲ 2854-2857 わけもわからずシリーズ・続 2018年11月19日
短歌味体Ⅲ 2858-2862 わけもわからずシリーズ・続 2018年11月20日
短歌味体Ⅲ 2863-2865 わけもわからずシリーズ・続 2018年11月21日
短歌味体Ⅲ 2866-2869 わけもわからずシリーズ・続 2018年11月22日
短歌味体Ⅲ 2870-2872 ほんとにほんとのほんとはねシリーズ 2018年11月23日
短歌味体Ⅲ 2873-2876 ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続 2018年11月24日
短歌味体Ⅲ 2877-2879 ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続 2018年11月25日
短歌味体Ⅲ 2880-2882 ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続 2018年11月26日
短歌味体Ⅲ 2883-2885 ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続 2018年11月27日
短歌味体Ⅲ 2886-2888 ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続 2018年11月28日
短歌味体Ⅲ 2889-2891 即興詩シリーズ・続 2018年11月29日
短歌味体Ⅲ 2892-2894 即興詩シリーズ・続 2018年11月30日
短歌味体Ⅲ 2895-2897 即興詩シリーズ・続 2018年12月01日
短歌味体Ⅲ 2898-2901 即興詩シリーズ・続 2018年12月02日
短歌味体 Ⅲ 日付
短歌味体Ⅲ 2902-2905 例えばシリーズ 2018年12月03日
短歌味体Ⅲ 2906-2908 例えばシリーズ・続 2018年12月04日
短歌味体Ⅲ 2909-2911 例えばシリーズ・続 2018年12月05日
短歌味体Ⅲ 2912-2914 例えばシリーズ・続 2018年12月06日
短歌味体Ⅲ 2915-2917 例えばシリーズ・続 2018年12月07日
短歌味体Ⅲ 2918-2920 例えばシリーズ・続 2018年12月08日
短歌味体Ⅲ 2921-2923 例えばシリーズ・続 2018年12月09日
短歌味体Ⅲ 2924-2926 例えばシリーズ・続 2018年12月10日
短歌味体Ⅲ 2927-2929 例えばシリーズ・続 2018年12月11日
短歌味体Ⅲ 2930-2932 例えばシリーズ・続 2018年12月12日
短歌味体Ⅲ 2933-2935 例えばシリーズ・続 2018年12月13日
短歌味体Ⅲ 2936-2938 例えばシリーズ・続 2018年12月14日
短歌味体Ⅲ 2939-2941 例えばシリーズ・続 2018年12月15日
短歌味体Ⅲ 2942-2944 例えばシリーズ・続 2018年12月16日
短歌味体Ⅲ 2945-2947 例えばシリーズ・続 2018年12月17日
短歌味体Ⅲ 2948-2950 例えばシリーズ・続 2018年12月18日
短歌味体Ⅲ 2951-2953 例えばシリーズ・続 2018年12月19日
短歌味体Ⅲ 2954-2956 例えばシリーズ・続 2018年12月20日
短歌味体Ⅲ 2957-2960 例えばシリーズ・続 2018年12月21日
短歌味体Ⅲ 2961-2963 ああシリーズ 2018年12月22日
短歌味体Ⅲ 2964-2966 ああシリーズ・続 2018年12月23日
短歌味体Ⅲ 2967-2969 ああシリーズ・続 2018年12月24日
短歌味体Ⅲ 2970-2972 ああシリーズ・続 2018年12月25日
短歌味体Ⅲ 2973-2976 ああシリーズ・続 2018年12月26日
短歌味体Ⅲ 2977-2979 ああシリーズ・続 2018年12月27日
短歌味体Ⅲ 2980-2983 ああシリーズ・続 2018年12月28日
短歌味体Ⅲ 2984-2986 ああシリーズ・続 2018年12月29日
短歌味体Ⅲ 2987-2989 ああシリーズ・続 2018年12月30日
短歌味体Ⅲ 2990-2992 ああシリーズ・続 2018年12月31日
短歌味体Ⅲ 2993-2995 ああシリーズ・続 2019年01月01日
短歌味体Ⅲ 2996-2998 ああシリーズ・続 2019年01月02日
短歌味体Ⅲ 2999-3001 ああシリーズ・続 2019年01月03日
短歌味体 Ⅲ 日付
短歌味体Ⅲ 3002-3005 ああシリーズ・続 2019年01月04日
短歌味体Ⅲ 3006-3008 ああシリーズ・続 2019年01月05日
短歌味体Ⅲ 3009-3011 ああシリーズ・続 2019年01月06日
短歌味体Ⅲ 3012-3015 ああシリーズ・続 2019年01月07日
短歌味体Ⅲ 3016-3018 ああシリーズ・続 2019年01月08日
短歌味体Ⅲ 3019-3021 ああシリーズ・続 2019年01月09日
短歌味体Ⅲ 3022-3025 ああシリーズ・続 2019年01月10日
短歌味体Ⅲ 3026-3028 なぜ掘るかシリーズ 2019年01月11日
短歌味体Ⅲ 3029-3030 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月12日
短歌味体Ⅲ 3031-3034 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月13日
短歌味体Ⅲ 3035-3037 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月14日
短歌味体Ⅲ 3038-3040 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月15日
短歌味体Ⅲ 3041-3043 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月16日
短歌味体Ⅲ 3044-3046 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月17日
短歌味体Ⅲ 3047-3049 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月18日
短歌味体Ⅲ 3050-3052 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月19日
短歌味体Ⅲ 3053-3055 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月20日
短歌味体Ⅲ 3056-3058 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月21日
短歌味体Ⅲ 3059-3061 なぜ掘るかシリーズ・続 2019年01月22日
★★
短歌味体Ⅲ 3062-3064 〈あ〉の物語シリーズ 2019年03月02日
短歌味体Ⅲ 3065-3067 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月03日
短歌味体Ⅲ 3068-3070 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月04日
短歌味体Ⅲ 3071-3073 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月05日
短歌味体Ⅲ 3074-3076 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月06日
短歌味体Ⅲ 3077-3079 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月07日
短歌味体Ⅲ 3080-3082 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月08日
短歌味体Ⅲ 3083-3085 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月09日
短歌味体Ⅲ 3086-3088 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月10日
短歌味体Ⅲ 3089-3091 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月11日
短歌味体Ⅲ 3092-3094 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月12日
短歌味体Ⅲ 3095-3097 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月13日
短歌味体Ⅲ 3098-3101 〈あ〉の物語シリーズ・続 2019年03月14日
 短歌味体 Ⅲ  日付
短歌味体Ⅲ 3102-3104 ネット海シリーズ 2019年03月15日
短歌味体Ⅲ 3105-3107 ネット海シリーズ・続 2019年03月16日
短歌味体Ⅲ 3108-3110 ネット海シリーズ・続 2019年03月17日
短歌味体Ⅲ 3111-3113 ネット海シリーズ・続 2019年03月18日
短歌味体Ⅲ 3114-3116 ネット海シリーズ・続 2019年03月19日
短歌味体Ⅲ 3117-3119 ネット海シリーズ・続 2019年03月20日
短歌味体Ⅲ 3120-3122 ネット海シリーズ・続 2019年03月21日
短歌味体Ⅲ 3123-3125 ネット海シリーズ・続 2019年03月22日
短歌味体Ⅲ 3126-3128 ネット海シリーズ・続 2019年03月23日
短歌味体Ⅲ 3129-3131 ネット海シリーズ・続 2019年03月24日
短歌味体Ⅲ 3132-3134 ネット海シリーズ・続 2019年03月25日
短歌味体Ⅲ 3135-3137 ネット海シリーズ・続 2019年03月26日
短歌味体Ⅲ 3138-3140 ネット海シリーズ・続 2019年03月27日
短歌味体Ⅲ 3141-3143 ネット海シリーズ・続 2019年03月28日
短歌味体Ⅲ 3144-3146 ネット海シリーズ・続 2019年03月29日
短歌味体Ⅲ 3147-3149 ネット海シリーズ・続 2019年03月30日
短歌味体Ⅲ 3150-3152 ネット海シリーズ・続 2019年03月31日
短歌味体Ⅲ 3153-3155 ネット海シリーズ・続 2019年04月01日
短歌味体Ⅲ 3156-3158 ネット海シリーズ・続 2019年04月02日
短歌味体Ⅲ 3159-3161 ネット海シリーズ・続 2019年04月03日
短歌味体Ⅲ 3162-3164 ネット海シリーズ・続 2019年04月04日
短歌味体Ⅲ 3165-3167 ネット海シリーズ・続 2019年04月05日
短歌味体Ⅲ 3168-3170 ネット海シリーズ・続 2019年04月06日
短歌味体Ⅲ 3171-3173 ネット海シリーズ・続 2019年04月07日
短歌味体Ⅲ 3174-3176 ネット海シリーズ・続 2019年04月08日
短歌味体Ⅲ 3177-3179 ネット海シリーズ・続 2019年04月09日
短歌味体Ⅲ 3180-3182 ネット海シリーズ・続 2019年04月10日
短歌味体Ⅲ 3183-3185 ネット海シリーズ・続 2019年04月11日
短歌味体Ⅲ 3186-3188 ネット海シリーズ・続 2019年04月12日
短歌味体Ⅲ 3189-3191 ネット海シリーズ・続 2019年04月13日
短歌味体Ⅲ 3192-3194 ネット海シリーズ・続 2019年04月14日
短歌味体Ⅲ 3195-3197 ネット海シリーズ・続 2019年04月15日
短歌味体Ⅲ 3198-3201 ネット海シリーズ・続 2019年04月16日
短歌味体 Ⅲ 日付
短歌味体Ⅲ 3202-3204 ネット海シリーズ・続 2019年04月17日
短歌味体Ⅲ 3205-3207 「、」「。」シリーズ 2019年04月18日
短歌味体Ⅲ 3208-3210 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月19日
短歌味体Ⅲ 3211-3213 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月20日
短歌味体Ⅲ 3214-3216 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月21日
短歌味体Ⅲ 3217-3219 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月22日
短歌味体Ⅲ 3220-3222 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月23日
短歌味体Ⅲ 3223-3224 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月24日
短歌味体Ⅲ 戯れ詩・番外 2019年04月25日
短歌味体Ⅲ 3225-3227 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月26日
短歌味体Ⅲ 3228-3230 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月27日
短歌味体Ⅲ 3231-3233 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月28日
短歌味体Ⅲ 3234-3235 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月29日
短歌味体Ⅲ 3236-3238 「、」「。」シリーズ・続 2019年04月30日
短歌味体Ⅲ 3239-3241 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月01日
短歌味体Ⅲ 3242-3244 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月02日
短歌味体Ⅲ 3245-3247 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月03日
短歌味体Ⅲ 3248-3250 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月04日
ブログ版・[短歌味体 Ⅲ] 特別編 2019年05月04日
短歌味体Ⅲ 3251-3253 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月05日
短歌味体Ⅲ 3254-3256 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月06日
短歌味体Ⅲ 3257-3259 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月07日
短歌味体Ⅲ 3260-3262 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月08日
短歌味体Ⅲ 3263-3266 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月09日
短歌味体Ⅲ 3267-3269 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月10日
短歌味体Ⅲ 3270-3272 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月11日
短歌味体Ⅲ 3273-3275 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月12日
短歌味体Ⅲ 3276-3279 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月13日
短歌味体Ⅲ 3280-3282 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月14日
短歌味体Ⅲ 3283-3285 「、」「。」シリーズ・続 2019年05月15日
短歌味体Ⅲ 3286-3288 なんとなくシリーズ・続 2019年05月16日
短歌味体Ⅲ 3289-3291 なんとなくシリーズ・続 2019年05月17日
短歌味体Ⅲ 3292-3294 なんとなくシリーズ・続 2019年05月18日
短歌味体Ⅲ 3295-3298 なんとなくシリーズ・続 2019年05月19日
短歌味体Ⅲ 3299-3301 なんとなくシリーズ・続 2019年05月20日








 [短歌味体Ⅲ] おわりはシリーズ・続


2702
見上げると雲しずかに
青空に
いる、いるのが気に懸かっている


2703
終わり近づく気配する
と 漂い
目に映る句点色の夕焼け


2704
昨日と同じ朝の
はじまりにも
終わりの余韻流れ込む




  [短歌味体Ⅲ] はじまりおわりシリーズ


2705
シジフォスの岩を思えば
他人事
徒労の未知をころがってゆく


2706
シジフォスの内に入れば
同じこと
一日がはじまりおわり、また一日が


2707
苦痛とも喜びともなる
くり返し
始まりがあり終わりが訪れる




  [短歌味体Ⅲ] はじまりおわりシリーズ・続


2708
「あのう」と見知らぬ人の
一声から
さあっと世界は変色し始める


2709
戸を叩くたった一声から
きぃ・しょおおおう・てんてんてん・結
すべってころんでひと息つく


2710
はじまりおわりも
静かな夜には
休息の椅子に深あく座る




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2711
知らない街の夕暮れの
分かれ道
右はズブズブ左はヌラヌラ

註.終わり二句は、『古事記』「根の堅洲国」にある「内はほらほら、外はすぶすぶ」の模倣。


2712
進む道決めかねる時
まぼろしの
サイコロころころ目の奥をゆく


2713
自己決定しているつもりの
その場を
ぴゅうっと駆け抜けるものがある




  [短歌味体Ⅲ] くり返す秋シリーズ


2714
大気等の現象としても
訪れる
肌ふるわせ渦起こす秋


2715
今この秋ばかりに
心引かれる
肌を撫(な)ぜゆくこの圏内の秋


2716
去ってしまった圏外にも
いくつもの
透き通った秋が降り積もっている




  [短歌味体Ⅲ] くり返す秋シリーズ・続


2717
〈あき〉という言葉にいつ
出会ったか
向こうが〈あき〉以前と霞みゆく



2718
〈あき〉という言葉に会えば
〈秋〉の文字
自然に実りなじんでいる



2719
忘れに忘れた〈秋〉以前
ふうっと
まぼろしの気配で過(よぎ)りゆく




  [短歌味体Ⅲ] くり返す秋シリーズ・続


2720
ああそんなことあったねえ
と 微かに
ドアの開く〈秋〉、〈秋〉以前の匂う


2721
〈秋〉の中には独り
透明な
少年の秋が溶けてる


2722
深い 記憶の引き出しの
奥には
思い出せない〈秋〉の葉が散る




  [短歌味体Ⅲ] くり返す秋シリーズ・続


2723
雲をつかむ〈秋〉の未来形
確かに
どこかで進行しているはずだけど


2724
〈秋〉ではなく〈秋〉を超えた
発音の
定まらない〈秋〉と記すほかない秋


2725
名づけようのないものは
未来形
にも乗れず人知れずに眠る




  [短歌味体Ⅲ] くり返す秋シリーズ・続


2726
もうおしまいと幕が下りる
静かな と
秋が終わるわけではない


2727
急に失踪する秋
見回してると
背後から(またね)と秋の手が触れる


2728
今年の秋が死んだ
ひんやりと
夜こころのドアを叩(たた)く




  [短歌味体Ⅲ] 主流論シリーズ


2729
そんなに愛嬌を
振りまいて
目立たなくっても時のドアは開くさ


2730
流れの深みのふるまい
に関わりなく
振る舞えば 惨(ザン) 泡と消えてゆく


2731
寝転んで何にもしなくても
深みでは
時の主流は不変不眠




  [短歌味体Ⅲ] 主流論シリーズ・続


2732
主流にも異なる
ベクトルの
魚が泳いでる分布してる


2733
みんなが何にもしなければ
流れは
枯れて水無川かもしれない


2734
けれど論理を超えて 人は
もくもくと
歩いてる手が動いてる


2735
人々の 日々の無意識
その歩み
深い主流を成している




  [短歌味体Ⅲ] 主流論シリーズ・続


2736
にぎやかに歌い踊る
ダンスダンスダンス
モチーフは深く主流に眠る


2737
うるさい子おとなしい子も
同一の
深みのモチーフ、花開くか閉ざすか


2738
こころの奥底を微かな
川が流れる
水のひんやり感だれもが感じる




  [短歌味体Ⅲ] 主流論シリーズ・続


2739
はなやかな舞台にも立たず
スポットライト
も当たらない、でもきみもぼくも主役だ


2740
きみはもう背伸びしなくても
いいんだよ
とある朝きみはふだん着の心で立つ


2741
「とりかえばや」は要らない
物語の通路を
王でも乞食でもなくただ人がゆく


2742
そんなにも着飾らないで
ふだん着の
あなたでいいよそこでもね




  [短歌味体Ⅲ] 主流論シリーズ・続


2743
「張り詰めて日々を必死に」
のスローガン
すれ違いゆくうつむく主流


2744
ひとり必死に抜きん出て
保保保(ホホホ)と
頂に立つも破破破(ハハハ)と雪崩れることもあるさ


2745
そんなことじゃないんだなあ
誰もが
日々勝負してるって言ってもいいんだぜ


2746
けど勝負なんて言わないさ
大きな山の
稜線を日々黙々と歩むばかり


2747
若い頃はわからなかったなあ
やわらかな
このみどりの一歩が日に映える




  [短歌味体Ⅲ] 主流論シリーズ・続


2748
子どもでも大人でも
変わりはしない
言い訳に見える言葉の海深く


2749
ほんとうのことはいつも
足もつれて
説明の言葉は〈あ〉や〈う〉に揺れる


2750
ほんとうを乗せる言葉は
みだれ髪
ただ熱ある方位を指し示す


2751
主流の言葉は 深く
底流し
ここからはただ青の言葉 流れる


2752
したがって整理整頓
論理明晰の
言葉の部屋はウーさん臭い




  [短歌味体Ⅲ] 変身シリーズ・続


2753
今日はみどりの布の舟
でかけようか
新しい服、こころの袖通す


2754
鏡に映ったイメージ
目の奥に
流流ルルルー水の街へ滑り出す


2755
水から突き出た木々は
なぎ倒し
進浸進(シンシンシン)水の街を独り舟ゆく




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ


2756
洗濯に変わりないけど
昔は
川で洗濯おしゃべりしてた


2757
好きなんだに変わりないけど
大昔
その女(こ)の家の前に木札を立てた

註.木札だったか、柳田国男がどこかに書き留めていた。


2758
病は気からに変わりないけど
呪(まじな)いから
薬や手術や機械になってしまった




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ・続


2759
遠い過去のこと持ち出され
途惑うなあ
相も変わらぬぼくの現在は


2760
わけもわからず付いた古傷は
わけもなく
現在をよろめかせる

註.『小岩へ―父敏雄と母ミホを探して』(島尾伸三 2018年8月)を読みながら


2761
無頓着な顔していても
渦巻く
逆巻く微微微と頬ピクリする




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ・続


2762
隣人が今何をしているか
関係ない
でも ふと 思うことはある


2763
行政が何をやってるかに
無縁に生きる
でも 時に 蹴りを入れたくなる


2764
遙か宇宙、でもこの人間界
の中の
わたしにも宇宙の香りがする




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ・続


2765
オリンピックの選手でも
ボールへの
触れ初め触れなじみがあった


2766
あったことは波立たない
平静の
波間に今も参列している


2767
行動の内面は 抽出された
一般性をよそに
生命の老若の肌を併せ持つ


2768
老いの中にも幼年があり
ジャックは
夢に豆の木を下ってゆく




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ・続


2769
(容疑者Aが殺害し・・・)
とたどる君
関係なさそうで(ない!)と振り切れぬ


2770
(A君はイジメに遭って・・・)
(かわいそうに)
と流れる小川はイジメ川に注ぐ


2771
高台に住んでいるから
大丈夫
とは言えないな いつ何がかわからない




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ・続


2772
見知らぬ国の見知らぬ人々
この地でも
見知らぬ人も薄ーく無縁ではない


2773
ほんとうは生きもの全てに
アンパンを
ちぎって分けたいけどそこまではねえ


2774
関係ないし余裕ないしとか
背(そむ)けるも
それでも微量の揺らぎがある




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ・続


2775
テレビがCMやっている
買う気は皆無
でも耳目を引かれている


2776
嫌いな人の触れたもの
イメージの
手垢が付いて正視できない

註.ネトウヨがアニメのキャラやスタートレックの画像などをSNSのプロフィール画像に用いているのを目にして。


2777
イメージは触(さわ)れなくても
結び解(ほど)き
撥(は)ねつけるエネルギー場を起動する




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ・続


2781
ええ、ええ、まちがうことは
ありませんよ
カップでしょう、ドーナツでしょう


2782
カップとドーナツが
同一地平に
親しげに落ち合うトポロジー


2783
ちがうおなじちがうおなじ
言い争いの
峠の向こうに立つ老若男女




  [短歌味体Ⅲ] 関係なさそうでシリーズ・続


2784
一人ぐらい二人ぐらいと
減らしていくと
合唱のふんい気変色する


2785
さじ加減よろめいて
加えすぎ
と とっとっと側溝の苦さ


2786
色浸かり巨大画布を
ころげ回る
思い思いの無数の色跡の




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2787
ああ いえか うおすむかうお
うおるすとりーと
おうおうきたか はえはえか南風(はえ)


2788
いやだ嫌田よ 蛭がいる
イルカいないか
バシャと水跳ねもない嫌田


2789
はえーなあ ほんとにはえー
似たものが
探せないくらいはえーぞおまえは




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2790
らあら りるれ りるる
いいなあ
この曲がり方 何度でも りるれ りるる


2791
エリンという名の滑り台
すべるすべる
その感触が遙かな肌触りを呼ぶ


2792
ぐっぱんぐっぱん これなら
遙かな
〈大洋〉まで歩いて行けるぞ




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2793
ざりずりざら ざざざざる
ざりざり
ざりざりざりざざざ 砂の山


2794
わかるわからない 花びらの
谷間をゆく
ただコスモスの花びらが舞っている


2795
今日も言葉通りをゆく
見えない
石につまづきゆったり歩けないな




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2796
ぼくの内だけは 音流れ
泡立ち
波打ちうねる 踊り出す気分さ


2797
ヘッドホンしてるわけじゃない
大気の 今
流れぶつかり響くに歩調が合う


2798
大風に〈あ〉が風に乗り〈れ〉が後追う
引きちぎられる
〈え〉が遠く転がっていく




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2799
石段を ふと ぴょん、ぴょん
ぴょぴょん
と下ってゆく 水色の無考(ミズイロノムコウ)


2800
明日いいことあるかどうか
わからないさ
ふと下駄(げた)を思う 夜が深まりゆく


2801
人という時間の重力下(ミエナイミエナイ)
ぼくはまるで
主人公みたいに手を振る



  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2802
今ここにあるふしぎは
別にして
小石ほどの人の意志よ


2803
高慢も卑下も突き飛ばし
主流は
ただ深く人の道を流れる


2804
石と意志遙かな始まりの
近しさから
はるばる別れ来た人の意志




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2805
生きものは一重(ひとえ)の自然
身にまとい
恐れおののきじっとくつろぐ


2806
人は自然を眺め触れ
粘土細工して
走り出す自然に伴走する


2807
人は皆二重(ふたえ)の自然
に挟(はさ)まれて
時にはネコみたいに日差しに溶ける


2808
じっとしてまるまってる
ネコを見て
寝たきりの人の内を思う




  [短歌味体Ⅲ] 接続法シリーズ・続


2809
あんなにも遠く駆けてゆく
(おおーい、おおーい)
と心の内にぼくはつぶやく


2810
距離ではなくこの世界との
接続法
が違うんだよなあ きみ


2811
どんな接続法でも
「まちがいだ」
ということはないだろう たぶん




  [短歌味体Ⅲ] 接続法シリーズ・続


2812
ただ接続に、どうしようもない
個と人間の
促す必然の色が見える


2813
誰もどこかで主流には
出るだろう
ぱぁっと雪国と気づかなくても


2814
接続に見えない接続
もあるから
生きてるかぎり接続するさ




  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ


2815
偶然に触れてしまった
手の 手に 手から
匂い立ち舞い降りていく感触の


2816
白黒と言いようもない
言葉の道
ひとりほてったイメージ秘かに走る


2817
空の青と大地の橙
触れ合っても
色の混合にはならないなあ




  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ・続


2818
ふっとふれる直前に
針ふれる
検流計の内を流れ出す


2819
ふ・れ・る、指はイメージの川
のほとりで
温もりの霧に包まれる


2820
指触れることなく触れる
言葉は
イメージの森を迷走する



  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ・続


2821
そのことは一言も触れない
ナノに
ナノから染み出すナノ色の顔


2822
寄せて来るイメージの舟
乗り込んで
触れるふれるオレは新しいぞ


2823
水草をかき分けてゆく
舳先(へさき)に
ぽっと点(とも)る幻の火




  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ・続


2824
絵の具、触れ、走る
止まり走る跳ぶ
みどりにふるえる心道(こころみち)伸びる


2825
背後には心の舟を
操る手
揺ら揺らし、(微小の間)、すうっと走る


2826
手が触れているいくつもの
軌道の
物語を閉じ手の旅終わる




  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ・続


2827
圏外は触れることはない
無数の
雨粒のイメージが流れ見える


2828
過ぎ去る風景と
なぎ倒しても
圏内は雨に濡れ握手会に熱い


2829
圏内は膨らむ宇宙
美少女キャラ
のはじらいに胸キュンするか




  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ・続


2830
じっとしていようと思っても
ますます
ふれるふれる思いふれる


2831
そのことはふれまいと
口閉ざし 心は
タブー坂を転げていく


2832
少年の頬(ほお)点るとき
ふれる
ふれるどこかがふれているぞ




  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ・続


2833
「ふれようと思いもしない」
とっとっと
つまづきころびゆくキリシタン坂


2834
責め立てられて転んでも
このふれる
重い思いは堰き止められぬぞ


2835
思いはふれ続いても
分裂の
転んでしまった苦い坂の下




  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ・続


2836
気ままにふれようとする
と どこからか
現れてくる受付管理人


2837
気がふれたと言われようとも
ふれる
ふれる、振り子はふれる内在律


2838
ふれるとは外界の
外皮から
内皮に渡り滲透し合う




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2839
はっきりと声が帰ってくる
ことはない
けれど今日も世界に(おはよう)とつぶやく


2840
たくさんの言葉が通る
大道(おおみち)を
ぼくもまた言葉に乗って通る


2841
今ここに生きてあるから
落ちている
木の葉のみどり目に入る


2842
たましいの死に近く
どんより
鈍の枯れ葉でも今そこに生きてある




  [短歌味体Ⅲ] ふれるシリーズ・続


2843
内心の(あの子いいな)が
言葉の舟に乗り
「あなたステキですね」と触れるわけではない


2844
言葉がふれる峠道
フレフレー
の励ましもなく引き返すこともある




  [短歌味体Ⅲ] 例えばミロの絵「ピクニック」シリーズ


2845
さあやっと着いたぞ着いた
足伸ばし
黄色い日差し肌に浴びる


2846
ピクニックにも時と場と
人々が
出会い出会えと浮かれ出す


2847
大木も小道もあり
広場には
人引き寄せられぽっと灯りが点る


2848
みどりの風に吹かれて
肌に
染み入り緑の流れる


2849
巨きな魚に乗って
ここから
今泳ぎ出す、日和も良いな


2850
ピクニック火照り仕舞って
荷を提げて
三三五五と丘を下ってゆく



「ピクニックⅠ」 1967年 ミロ(74歳)





  [短歌味体Ⅲ] わけもわからずシリーズ


2851
〈あ〉の文字が逆立ちして
行進する
ぼくの〈あ〉が揺さぶり風を受ける


2852
〈あ〉の大軍吾亜亜亜亜亜と
行軍し
襲撃制圧しようとする


2853
そうかそうかそうなんだ
でも渦中では
しつこい蚊たちがぽくを襲撃




  [短歌味体Ⅲ] わけもわからずシリーズ・続


2854
旅は どこか 浮かれている
微妙に
違う時空を滑っていく


2855
見知らぬ駅を出ると
近づいてくる
ふいと流れ出す「Ora Orade Shitori egumo」


2856
言葉の流れる風を
舞い上げる
服の着心地に異和感籠もる


2857
旅先の耳を借りれば
わがつぶやく
声は「あーみしょらで」と聞こえるか




  [短歌味体Ⅲ] わけもわからずシリーズ・続


2858
軽い気持ちで出かけたら
ずんずん足が重くなる
生野のみちは遠いなあ


2859
それでもいくの?いくのかい?
生野は
もう冬かもしれないのに


2860
辞書で確認する
〈いくの〉から
〈生野の変〉が浮上する


2861
ほらほら何か変だよ
生野道
みちみちてるいくののみちは


2862
何か変とたじろぎつつも
踏み越えて
いくぞいくぞ生野のみちを




  [短歌味体Ⅲ] わけもわからずシリーズ・続


2863
「もうねもうねしらないから!」
もうねの葉
たくさん拾い集めても不可知


2864
不可知の縁を巡り
巡ると
ふかちの淵に引き込まれそう


2865
そうねそうだねと相づち
打ち居る BAN!
なぜか衝撃波がやって来る




  [短歌味体Ⅲ] わけもわからずシリーズ・続


2866
じっとして小石にふれる
子どもらを
眺めているなわたしは今


2867
小石が動き出し
飛び交う
小石世界が確かに存在しているか


2868
小石教以前の川原に
小石と
歌い踊る沈黙の舟たち


2869
おそらくは知らぬ間に
子どもは触れている
宇宙のへりや宇宙の芯に




  [短歌味体Ⅲ] ほんとにほんとのほんとはねシリーズ


2870
(あのねあのねあのね)
子どもは
ちいさな世界を駆け巡り


2871
(ほんとにほんとのほんとはね)
なんだか
うまく言えないなあ、そこ


2872
(ほんとにほんとの・・・)
クモの糸張り
世界のエレベーターを降下している




  [短歌味体Ⅲ] ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続


2873
クモの糸糸からまって
ベタベタの
内に宙吊りのことばたち


2874
言葉たちお菓子みたいに
くずれ溶けて
ゆくゆくは現れ出るもの


2875
喧噪(けんそう)の制圧する
街中を
潜り泳法でゆくことばたち


2876
あれいいねこれいいなと
流れ触れる
視線たち、耳バリアーが効いている




  [短歌味体Ⅲ] ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続


2877
(ほんとにほんとのほんとはね)
と 箱を開けていくとき
手は人間界の掟に馴染んでいる


2878
哀しい嘘八百も
ウソホントの
貼り合わせもありほんとはむずかしい


2879
それでも人の大道に沿って
ほんとに
ほんとのほんとはねを歩いて行く




  [短歌味体Ⅲ] ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続


2880
かすれた言葉の森の
向こう
人形(ひとがた)のエナジー漂う


2881
ほんとは走法ではなく
視線の
深度と構成とが背押されているが


2882
経験値積み上げることなく
〈ワープ〉
してくるほんとにほんとのほんとは




  [短歌味体Ⅲ] ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続


2883
この世界への古い通路
たどっていく
と この世界の肌色が見えてくる


2884
ぼくはほんとにただの人
信長も
家康も晋三も完全スルーさ


2885
拓(ひら)かれた道を過ぎて
道以前の
風景と人が暮らしてる




  [短歌味体Ⅲ] ほんとにほんとのほんとはねシリーズ・続


2886
古びた水道管の
現在に
ふいと水流ばしゃっと散る


2887
ほんとにほんとは見えやしない
現在から
あふれ出す水流の


2888
外からはわかりにくい
この水の
微かな苦みの歴史広がる



  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2889
赤ちゃんの言葉以前の
喃語(なんご)みたい
秋を思い〈ああ あーあ あ〉


2890
秋の去り際に落ちてくる
秋以前の
〈あき〉というほかない秋模様


2891
秋山君みたいに去って行く
今年の秋
糸くずをさっと払う




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2892
仕事なら、空いた席には
誰でも
座れるられるらるられれれん


2893
例えば 藤田まこと
が去ってしまい
隣席にまた別人が座る


2894
それでもでもでもね
時には
時を超えて藤田まことが駆けてくる




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2895
秋過ぎて冬に向かう
昨年と
同じ木の葉の降り積もる


2896
さりながら落としていく
木の葉たちの
色合いは今年ばかりと映える


2897
踏みしめる木の葉の小道
古びた靴
でも少しは華やぎを歩む




  [短歌味体Ⅲ] 即興詩シリーズ・続


2898
この世界樹では誰もが
一枚の葉
一枚として生まれ散りゆく


2899
大丈夫暗い顔した
きみにも
みどりの葉席が必ずあるさ


2900
葉もね、端、刃、破、覇、把と
七変化
波立ち泡立ち風に投身もする


2901
にぎやかに集会する
葉葉葉葉葉
風のなか大樹静かに立つ




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ


2902
例えばきみは白川の
黒い鯉
夜船をよそにゆらゆら下る

親切な註.
白川に夜船はいないだろうけど、「白河夜船」という言葉はある。


2903
京都の白川ではなく
熊本の
白川の水に肌触れている


2904
それがどうしたと言われても
このビミョウ 
な水感覚はこの白川だからこそ


2905
けれどぼくは眺めたばかり
白川に
降りて水触れたことはないなあ




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2906
物語の葉から滴落ち
まぼろしの
行路を言葉の舟は突き進む


2907
未だに晴れ上がらない
初期宇宙
みたいにあちこち火の手が上がる


2908
それでも言葉の舟は
主流沿いに
軌跡は物語を縫い合わせゆく




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2909
物語の水源が
よくわからない
としても言葉の舟は流れ出す


2910
水源は霧消した
幼年期
遙か彼方に感じるばかり


2911
一滴の言葉にも
水源の
原液が溶け込んでいるような




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2912
例えば●●●とするでしょう
そうしたら
×××となり将来バッチリです


2913
例えばの側に付き合わされ
ぐいぐいと
魚のように釣り上げられていく


2914
例えばねと言葉が発射
される時
ぶわんぶおん時空がゆがむ




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2915
〈例えば〉がゆっくり巡り
知り合いの
玄関口に戻ってくる


2916
〈例えば〉の言葉尻ムチ打ち
無気味な
物語の森をギャロップで駆けていく


2917
〈例えば〉にもいろんな入口
出口があり
奇想天外、「オレオレ詐欺」ともなる




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2918
〈例えば〉と言葉ゆらゆら
落ちていく
見えない土ぼこり舞い上がる


2919
本音建前溶け合って
〈例えば〉の
馴染みのベクトル突き進む会議


2920
〈例えば〉が虚(うつ)ろでも
芯に響き
流れている色合い伝わる



  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2921
たとえばねと語りかける
ぼわわっと咲く
ねむねむねねむの道中さ


2922
おんなじ言葉なのに
〈例えば〉が
色色に紅葉して散る


2923
たとえばたとえば
たとぅえば
のりのりでくっつくたとぅば




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2924
よちよちの耳に吹き込む
声声に
前へ前へと足は喜ぶ


2925
例えば、疾走する
耳には
声ということしかわからない


2926
(が   れ    えー)
聞き取れ
なくっても肌に伝わってくるさ




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2927
例えばの細道から
抜け出てくる
彼の表情が見える


2928
同行する例えばの道
他人(ひと)の家
に上がった時の匂い漂う


2929
狭い道例えばの季節
例えばの
木があり風も吹いている




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2930
(もうなあんにもないよ)と悲観
はいらない
実感直感いろいろあるさ


2931
例えばの泉枯れ果て
雨乞い
しなくても枯れた世界がはじまる


2932
枯れた風に枯れた歌
乾ききった
言葉の大地でダンスダンスダンス!




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2933
「今は山中 今は浜・・・」
太宰治の
作中にあったような・・・

註.「  」は、検索したら、童謡「汽車」、太宰治の短編「?」(昭和15年)の中にあった。作中、童女が歌う。


2934
時代傾きレール軋(きし)ませ
走行する
童女が無心に歌う


2935
時代の列車の
轟音と
聞こえる歌を〈辻音楽師〉は洞(うつろ)に見ている




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2936
例えばえばえばともしもしもしも
競い合い
少し色合い違う言葉散らしゆく


2937
〈例えば〉も〈もし〉も
映像の
補助要員として控えてる


2938
〈例えば〉が発生した時
不自由から
よい見晴らしとなっただけかい?




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2939
(いつまで続くのかな?)
を尻目に
走り続ける 〈例えば〉の君


2940
もやもややすっきりさわやか
色々あるさ
今日も始まる〈例えば〉の朝


2941
例えばね言葉宇宙では
無料の
月旅行ができるんだぜ




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2942
〈例えば〉の終わりの日にも
例えばは
いつものように飛び立ってゆく


2943
ゆっくりと〈例えば〉の君を
折りたたむ
言葉の指先のふと物思い


2944
ほっとするおしまいの日も
通り過ぎたら
またいつもの一日がはじまるさ




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2945
ああ終わった終わった
と後片付け
していると背に呼びかける声がする


2946
発車間際の別れの
あいさつ
手持ち無沙汰に手擦り合わせる


2947
じゃあまたねー、さよーならーー
電車は
ゆっくりと言葉駅を出てゆく




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2948
彼(か)の地のバテレンが去る
そんな時
大勢が数キロも見送りしたという

註.フロイス『日本史』にはそんな場面が何度か描写されている。


2949
そうすればよかったね、あれは
まずかったなあ
道々言葉打ち上げ弾(はず)む


2950
〈例えば〉も火消えてしまい
帰る道々
心の虚空を反芻する



  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2951
もうこれでほんとにほんとの
おしまい
と思ったらなんと夢に出会う


2952
〈例えば〉は縦横無尽
時空を
ぴょんぴょん飛び交い接続・交差する


2953
(ああそういうこともありなんだ)
夢の中
未知の〈例えば〉の道に立っている




  [短歌味体Ⅲ] 例えばシリーズ・続


2954
読み取れない文字ではあるが
もじもじと
気配はぼくへのストーカー


2955
しつこい人は嫌われるよ
と思っても
思いのすき間から侵入する


2956
〈例えば〉はもう終わったんだ
と心の内
宣言するも追いすがる人のよう




  [短歌味体Ⅲ]例えばシリーズ・続 


2957
いやいややいやいややいと
居直り強盗
〈例えば〉の刃物をちらつかせる


2958
そんなこと言われても
もうもうもう
ぼくの内にはすっからかんさ


2959
いえいえ許しませんよと
手を替え品を替え
ぼくの言葉は審問される


2960
振り切ってぼくの言葉は
生の風に
あたりああいい気分とくつろぐ



  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ


2961
沈黙の内でつぶやく
裸の(ああ)
服を着た言葉では言い尽くせないな


2962
言葉の始まり近く
(ああ)
というほかない時があったろう


2963
赤ちゃんは何語でもない
喃語(なんご)を
自然につぶやいているよ




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2964
「ああ」と口出た言葉は
中空の
バリアーに触れつつ(ああ、あ)と収束する


2965
(うっ)と無音の言葉は
飛び立てず
黙黙黙と棚引いている


2966
赤い(ああ)が大気に触れて
次第に
薄赤く変色していく




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2967
差し出す手に我が家のネコは
ある時は
なめある時はかすりかみつく


2968
血のにじむ指を見ては
つぶやくよ
ぱられるぱられるぱられるよ


2969
もうひとつ舞台を上がって
おだやかな
距離の内にネコと居る




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2970
「タンカミタイって、きさんなめとっとや?!」
(ああ ナメテハイナイケド
少しはなめてるのかもしれない)


2971
言葉軍ぐいぐいぐぐい
と刺さってくる
〈うっ〉とか〈ああ〉とか耐えるほかないことがある


2972
効果的に布陣して攻め来る
言葉軍
でも〈うっ〉とか〈ああ〉は本心のちからさ




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2973
「ああ」というつもりが
つまづいて
「あ ああ ああああ」と決壊する


2974
だいたいは「ああ」と言うつもりは
バリアーに
押し返されて黙っているなあ


2975
〈ああ〉の木の実を食べたから
〈ああ〉の森
じぐざぐ ざぐじぐ踏み進む


2976
〈ああ〉と〈おお〉顔は似てても
ビミョウに
性格ちがう双子のように分かれる




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2977
「ああ」という言葉の手前の
水路に
風が立ち水面が揺れている


2978
水面から飛び立つ鳥は
言葉の
形を成して飛んでくる


2979
水面には名残惜しげの
無言の
あいさつが漂っている




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2980
沈黙の内につぶやく
〈ああ〉ならば
外からの反作用はない


2981
無いと言うブラックホールでも
何かあるんだろう?
さあ、さあ、ざあざあざあああ


2982
沈黙の空洞に
ぶつかり
〈ああ〉が変色して決まった棚に落ちていく


2983
誰にもあるさあるある
沈黙の
内なる対話ちゅうもんだよね




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2984
無数の微小の〈あ〉が
飛び立って
ぶんぶんぶん〈ああ〉をかたち成す


2985
微小の〈あ〉には なぜか
ほのかに
遙かななつかしい匂いする


2986
極微小時間の洞(ほら)
を抜け出ると
〈ああ〉が呼吸し始める





  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2987
〈あ〉は瞬時に起動するが
その間に
山越え川越え丘を越えて来る


2988
どこから来るかって?
もちろん
人の時間の海の深みからさ


2989
〈あ〉には樹木の響きや
川のせせらぎや
人声も溶け込んでいる




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2990
遠目には「つまらないものですが」
「おお」「ああ」と
身を屈め身を起こしの奇妙な礼儀に見える

註.『ゴンチャローフ日本渡航記』P296「日本人の奇妙な挨拶」を読んで。


2991
時には騒々しいぞ
圏外の
方にも目や耳を向けている


2992
自然と重力に
付き従い
ああ今日はと自分に目や耳は下りていく




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2993
ああ、ここに、あったのか
何年も
ほこりかぶって心の日差しに会う


2994
何気ない人の振る舞いの
小さな
ひかりの滴に〈ああ〉とつぶやく


2995
心荒れた事件を観て
一時(いっとき)は
心重たく〈ああ〉に揺れる




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2996
(ああ、ああ あ)と沈みゆく時
ぼくらは
この世のさびしい原理に立ち会っている


2997
祭りの後、恋いの終わり
終わりある
ことに〈ああ〉とつぶやくことがある


2998
〈ああ〉の放出するエネルギー
カフカの城へ
果てもわからぬ旅に出る




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


2999
何気ない〈ああ〉もあれば
強力に
引き込まれゆくブラックホールの〈ああ〉もある


3000
だからね〈ああ〉の童話も
あれば〈ああ〉
の悲劇の物語もあるんだよ


3001
とある朝〈ああ〉はまぼろしの
水たまり
につまづいて泥水バシャーン




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


3002
ひとりでも世代でも
〈ああ〉には
分かち合えない年代記がある


3003
実感は発生しても
よく知らない
世の中に子どもの〈ああ〉がポチャンと落ちる


3004
知ったかぶりの青年は
鏡見て
〈ああ〉〈ああ あ〉とつぶやく


3005
同じ道をなんどもなんども
通ってきた
老いた〈ああ〉は沈黙へ滑り込む




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


3006
離陸前の〈ああ〉には相反する
ものも対流し
色色に微振動する


3007
不用なものを振り落とし
ぶるっと
見ぶるいして〈ああ〉は飛び立つ


3008
やっぱり〈ああ〉も整髪し
見映え良く
服を着て立ち現れる




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


3009
夕暮れに演歌のドア
開けてしまった
湿った空気を〈ああ〉は呼吸する


3010
エーケービーやケヤキザカも
アンチエイジングのエロスは
〈ああ〉と心地よい風受けているか


3011
同じ歌でも湿度や
気温や
流れる風や速度が〈ああ〉ちがうなあ




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


3012
〈ああ〉というたった一言
の振る舞いにも
根深い物語がある


3013
〈ああ〉にもありふれた
日々の
くり返す朝がありありとある


3014
たそかれどき〈ああ〉は自らの内へ
深く深く
沈み込んでゆくゆくは


3015
〈ああ〉の内踏み固まる
殺意が踏み
芽吹き踏み花開く踏む夜がある




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


3016
勢いよく落としてしまった
皿だから
〈ああ〉は激しく負に振れる


3017
ゆっくりと正に振れた
〈ああ〉だから
やわらかな日差しを浴びている


3018
転換する心模様に
〈ああ〉もまた
むくむくむっくと変身する




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


3019
小さな人間(じんかん)から
湧くつむじ風
いたたまれずに〈ああ〉が顔を出す


3020
〈ああ〉と言う所、とっとっと
言葉の岩に
しがみつき〈おお〉と叫ぶ


3021
リニアーには対応しない
言葉の影に
息潜めてこころ立っている




  [短歌味体Ⅲ] ああシリーズ・続


3022
〈ああ〉もう終わりなのか
とぼとぼと
家路をたどり夜のカーテンを引く


3023
(今日でお別れね
もう逢えない)
古い歌謡がふと口を衝(つ)いて出る
 
註.「今日でお別れ」歌:菅原洋一


3024
もう終わりの壁突き抜け
見知らぬ地
とりあえず歩き出す


3025
終わりの先にもまた始まりあり
死の淵までは
〈ああ〉は何度も立ち上がるさ




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ


3026
薄暗い乾いた井戸の
底に立ち
水はまだかまだかとザクザク掘る


3027
スコップの押し返す
力は肌に
痛みとともに刻み込まれる


3028
ここ掘れワンワンに遠く
物語の
底にひとり立っている




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3029
わからない水源への
つながりを
求めてつらい深堀の日々


3030
ほんとうに掘りに掘って
ようやく
他人(ひと)の言葉が光を帯びる

註.「他人の言葉」は、
詩は 書くことがいっぱいあるから
書くんじゃない。
書くこと 感じること
なんにもないからこそ書くんだ
 (「『さよなら』の椅子」 吉本隆明 より)




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3031
〈あ〉を掘り当てたと思いきや
〈お〉だった
理想の〈あ〉と〈い〉はどこに眠り居るか


3032
ゴロゴロと小石ばかりの
地層に入る
災厄の匂い踏みしめゆく


3033
演歌の〈あ〉も情報砂漠
の〈あ〉もともに
乾いた地層に傷つき倒れてる


3034
倒れてる〈あ〉を抱き起こす
ほこりや汚れ払い
修復して〈あ〉を据え直す




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3035
傷ついてるのに救急車は
〈ああ〉来ない
サイレン鳴らない silent night


3036
ひとりの内に湧き上がる
時の病は
ひとり静かに修復するしかないか


3037
誰かを当てにすることは
するまい
mine mine mine mining




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3038
小さい子砂場でmining
どんなイメージの
船を掘り出しているのか


3039
貨幣価値ゼロのmining
でも、ほら
天気も良いし、日差しもあったかい


3040
mine mine mine mine
mine ベッサッソン
小さい子の手が踊っているよ

註.フォークダンスの曲「マイム・マイム(水だ水だ)」」(Mayim Mayim)の歌詞は、
「マイム マイム マイム マイム マイム ベッサッソン」。




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3041
「なぜ掘るかって聞いてんの?」
それはね
えーと、それはね、ないないないしょ


3042
この砂の手触り感
うーん
(スナー)なんとも言えないなあ


3043
夏の風のいい感じの
総量を
掘り尽くし量り尽くすことはできないな




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3044
掘りに掘っていると
(ああ あなたも)
ぼくとおんなじシャツだと気づく


3045
水滲む細い道があり
掘り進むと
現れ出て来るよ来るよ


3046
ばったりと久しぶりの
出会いには
とってもふしぎな空気流れる




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3047
掘り出した〈あ〉〈い〉〈お〉の破片
キラキラと
光はじめて〈あおい〉水流る


3048
流れに手を差し入れて
掬(すく)ってみる
青やわらかに滴したたる


3049
青い実を踏んでピカソの
青い門
くぐる、見渡す限りの青い夜




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3050
なぜ生きるのかと同じく
わからない
ただいい感じイメージ線上を掘る


3051
深みから誘う手の感じ
イメージや
言葉以前のタスキを感じる


3052
きみも掘るぼくも掘る
時には
病に倒れてしみじみ食べる




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3053
深みの出会いだから
あいさつは
沈黙の内にキラリと光るだけ


3054
キラリ光を踏みゆけば
ああ あなたも
わたしも、生きてるね、この日差し


3055
下水(したみず)は言葉の代わり
音楽の
かけら るる るるる るる 流れる




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3056
ほんとにほんとにくるしい
と思って
一点に鋭く収束するは 死


3057
(岩盤でもう進めない)
と思っても
回りあちこちしてるとふしぎと光差す


3058
固く閉じた冬の心も
少しずつ
雪解けし芽吹いてゆくよ きっと




  [短歌味体Ⅲ] なぜ掘るかシリーズ・続


3059
どこでも人は掘ってしまう
どんどんどん
未生以前も死後も掘り進む


3060
掘っても仕方ないものも
ほらほら
ずんずん突き進んでいくよ


3061
こうかいのあとずっと遅れて
ハズレでしたよ
さびしい知らせが戸を叩く




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ


3062
顔出した〈あ〉が風に揺れ
芯の方に
エナジー充填しているよ


3063
風に ふと 物語の
予感よぎり
言葉の通路〈あ〉は歩き出す


3064
道々に寄せては返す
風の物語
中を突っ切ってゆく 〈あ〉は




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3065
〈あ〉の励起状態から
ひとり ズズズ
独擅場(どくせんじょう)に立つもある


3066
独り〈あ〉は、古井戸の
時間の
ノノノ層から突沸する


3067
〈あ〉は未開でも野蛮でも
ないナナイ
無限情報湛(たた)える海さ




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3068
差し出される手にためらいの〈あ〉は
かるーく触れ
あったかい流れに〈ああ〉と息づく


3069
どっくどくんふくらむ〈あ〉の
結合手
青白く光り放ち始める


3070
〈あ〉は今日も歩み出す
人っ子一人
いなくったって前へ前へ




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続



3071
流れ来る木の葉ひとつひとつ
集まると
澱む形が重心を生む


3072
緑や枯れ葉色の
いのちの色に
〈あ〉は染まりふるえ始める


3073
時には流木の
数々に
息を呑み身構える〈あ〉




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3074
例えば極微の時間
色んなもの
引き連れ突き抜け〈あ〉が浮上。


3075
一瞬の不確かな気配
残像に
〈あ〉の変色がしっとり残る


3076
流れる光ながれる
わずかな
温もりが〈あ〉にまとわりついている




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3077
ぼくは騎手〈あ〉にまたがって
ビルの谷間も
ビル群も突き抜けてゆく


3078
ぼくと〈あ〉は二つの鼓動
一つに
響き合い駈けてゆく


3079
温かな〈あ〉の背を降りる
たかぶりは
着着着と退いてゆく




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3080
たくさんの峡谷越え
〈あ〉は〈わ〉と
異郷に出会い〈あわ〉となったのだった


3081
ひかれるなぜか惹かれる
それでも
暗雲のかけらひとつふたつ


3082
ひとつの言葉ができる
瞬間までには
無数の泡あわわと消えた




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3083
何気ないくり返す日々の
突然に
〈わ〉の引力圏に引かれる〈あ〉は


3084
ふるふると〈あ〉が光り出し
E・Tの
指触れあう〈あ〉と〈わ〉は



3085
今までは知らない道が
〈あ〉の前に
さあどうぞと開かれてある




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3086
結ばれて〈わ〉の村へ
通ってゆく
夕暮れがあはあはと頼りない


3087
くり返し訪れる村の道
足跡は
〈わ〉の形に変わりゆく


3088
父の〈あ〉は母の形の
村通り
弓なりに夕べに折れてゆく




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3089
母の〈わ〉の子らにぎやかに
ここが本拠と
見慣れた広場を駆け回る


3090
わわわわわわぁわぁわぁわぁ
わわわわわ
わあわあわあわわわあわわわわ


3091
〈あ〉と〈わ〉の村の敷居を
行き来する
父の〈あ〉はさびしい小道を歩む




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3092
果てしなく時間降り積もり
〈あ〉と〈わ〉の物語
見分けのつかない砂粒となり


3093
雨に濡れた砂粒が
〈あわ〉吹いて
古いしこりを反芻している


3094
古びてつなぎ目も見えない
物語が
ふうっと息吹きかかるのを待っている




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3095
「泡立つ」という言葉に
触れるとき
自分のことかと〈あ〉と〈わ〉が波立つ


3096
人違いでもその名が
確かに呼ばれ
心ふるえて記憶の村へ


3097
もはや剣を断たれた
「真剣」のように
〈あ〉は言葉の森をさ迷うばかり




  [短歌味体Ⅲ] 〈あ〉の物語シリーズ・続


3098
よろこびもかなしみもみな
見分けつかない
生きた時間が古びていく


3099
古びても脱ぎ変わる
衣装
新しい春を着込んでいる


3100
あ、それはとはっとする
何か関わり
ありそうなものが過(よぎ)って行った


3101
衣装変わっても
くり返す
〈あ〉の物語 人の形にうねる




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ


3102
ツイッターの流れは速い
のんびりと
魚釣りする気分じゃない


3103
次々に泳いでくる
魚たち
バシャッとひれ打ち色鮮やかもある


3104
ぼくらはひとり舟乗りさ
目まぐるしい
光景も凪(なぎ)と操(あやつ)り進む




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3105
にぎやかなネットの海へ
(ちゃぽん)
今そこに ほら chapoon!


3106
言葉の瓶はぷかぷか
ぷかぷか
流れていく ああ 流れて行くよ


3107
言葉の舟の操法が
色んな
人の姿形 ぼわっと映し出す




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3108
言葉・映像・音楽の
次々に
繰り出される出し物に触れる


3109
鮮やかな花々の街角
戦争・経済・政治の街角
動物たちの街角、次々と


3110
あれいいなこれもいいよと
つぶやきながら
自分でもあれこれ繰り出す




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3111
ひっそりと言葉紡いで
そうっと
飾り付けもなく店先に置くもある


3112
奥まった所に人はいて
何を売ろう
としているのかわからない


3113
売るって、ここでは ほら
わかるでしょ
知らない内の心のこうかん




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3114
言葉が出ない出ないよう
と気張ってる
イメージばかりは彗星のよう


3115
それぞれの沈黙を担(にな)い
イメージが
通りを駆ける 馬も車もいらない


3116
おんなじ文字でも ここと
あちらちら
イメージの烽火(のろし)違うみたい




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3117
足早に時間を下って
ゆくゆくは
何かに出会うかと心泡立つ


3118
イメージの破片群を
かき分けゆく
一瞬、サーカスのふしぎな光景に会う


3119
脇道から色んな楽隊
現れては
消え イメージの破片踏みゆく




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3120
一昔めくってみると
一画像
開くのに一分以上もかかったよ


3121
いま考えられないことが
未来のみちは
深い眠りにいるんだろうね


3122
バーチャルのそれが何なのさ
本道は
依然雑草の難路行




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3123
押し上げられた 時代の水圧
振り返る
ぼくらの重いおもい他人事のよう


3124
すいすいと滑る滑る
幻の
色鮮やかな水面をすべる


3125
確かな触感の
バーチャルな
イメージ水面きらきらはねる




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3126
デラシネも死語となった
古書店
ばかりは名にし負いさらばえているか


3127
始まりは新しいぞ!
ばかりでない
デラシネの影終終(シュウシュウ)してる


3128
確かに父母(ちちはは)から
生まれたが
死語中空に終終終(シュウシュウシュウ)




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3129
新しい古いの向こう
地層の
全体が浮き上がっている


3130
対立は不毛の昨日から
怨怨怨
背後からふうっと怨嗟が来る


3131
文字となったバーチャルの
血は見えぬか
くるくるくると墜落するぞ




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3132
せんどうの顔は見えぬが
見知らぬ
古びた国に棹を差している


3133
端正な書体なのに
濁った
泥水ばかりが流れて来る


3134
同じ文字の形して
新旧の
異装にぎわうネット海はも




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3135
酔っ払った書体が
あちこちに
ぶつかっては身を立て直し


3136
流れ出す意味は無意味に
さ迷って
ちぎりちぎられ流れにのる


3137
どこかに流れ着くか
なんてこと
思い浮かべちゃいけない




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3138
走法がむずかしくても
ただただ
いい感じに流れに乗ることさ


3139
イメージがすずずんと肌を
流れる
もうそれだけで言葉は要らないのさ

3140
あれこれと操りながら
心内(こころうち)に
未来の種も小さくつぶやく




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3141
いつでも瞬時にネット
海に入り
淡い間のあわいを流れる


3142
色色のいろんなものが
小さな
泡吹きながら流れてゆくよ


3143
見知らぬ顔の言葉にも
時には
ああいいねと手を振る




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3144
菜の花の列を過ぎると
誰かな?
ふいと微かに匂い流れる


3145
春。色鮮やかなのに
しっとりと
生の香りがしない ネット海。


3146
イメージの水に浸かった
目を上げる
やっぱり春だねえ 新春(シンシュン)。




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3147
ひとつの動画を潜(くぐ)る
モチーフと
偶然とはらはら絡み落ちる


3148
モチーフの丘を越えて
ずっと向こう
あの青葉の下で出会うんだ


3149
名声もお金もうけも
別にいいけどさ
ほら この青葉が滲みるなあ




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3150
顔立ちも表情も
見えない
ブラインドのすき間から触れる


3151
顔がないせいだろうか
もじもじと
くり出す言葉は少ないなあ


3152
ヤナギタの「正視」かき分け
語り出す
青い種族の伏し目がちはも

註.柳田国男によると、この列島の民の精神の遺伝子では、正視するのではなく目を合わせないのが常態だったという。




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3153
どこへ流れて行くのか
わからない
流れの水を掬ってみる


3154
言葉となった自分の
顔の移ろい
水鏡に映っている


3155
流れは速い はやいなあ
〈あ〉の言葉
流れにとどまる間もなく去る




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3156
(何か言おう とすると)あ うえを
びゆくの
とっぴんしゃらら うえびゆくのよ



3157
(何んでもいい と言うから)
ダダーン!
踏み踏ま踏みょはれへるほはと


3158
(見晴らしは)悪くはない
でもでも
デモする方がいい日差し浴びるよ




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3159
ネット海に魚が跳ねる
花々の
あわいにネコが戯れる 春。


3160
流れる 舞台上に
イメージ群
ガンダムランダム 新しいぞ。


3161
生々しい匂いはしない
シナイ半島
煙が上がるよ 不穏。




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3162
宇宙船の中しかない
世界なら
イメージだけが生え繁茂する


3163
背負っている木々や山川
ある限り
二重の視線イメージの中を走る


3164
イメージの雨の中に
ぴっちぴっち
ちゃっぷちゃっぷ素肌を流れる




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3165
よいしょと上がって海へ
ダイブする
これって時間の TLL流れだな


3166
流れにどんな未来が
差してるか
何て知らないさ 過去現在のTLL

註.TLは、timeline(タイムライン)。


3167
振り返ると遠い過去が
化粧され
今日の顔で流れて行くよ




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3168
わたしは服を着る
変身!
〈私〉となってネット海を泳ぐ


3169
学校で男先生が
おとうさん
ではないように〈私〉は泳ぐ


3170
おんなじ部屋にいても
〈私〉は
わたしではない 分身の術さ。




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3171
さくらがネット海に
咲いている
「きれいね」「きれいだね」


3172
ふしぎでもなんでもなくなった
けどけどけ
(おかしいだろう)どこからか声のする



3173
下ろしたての服の物語
こなれて
流れてゆくよ どんぶらこ




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3174
ただの木切れじゃん、とはならないな
イメージの
宿りして人形が生き始める


3175
人形にもこころ揺れる
人だから
イメージの流れ泡立つにも


3176
なあんだこれ造花じゃん
から時を越え
見分けつかなくなってしまったよ




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3177
ネット海に浸かりながら
中継する
きみは新手(あらて)のアナウンサーか


3178
中継するすると
幕上がり
もの珍しい光景迫る


3179
みるみると目は楽しんで
イメージ面を
すいすいすすいスピード・スケート!




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3180
ほんとうの顔は見えない
ネット海
流れはあるよ、ほんとうのって何?


3181
息子とオレオレ詐欺は
どう違う?
同じ通路を言葉は駆ける


3182
流れる画像や言葉たち
ほんとうの
選択する手匂い立つ 微か




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3183
絶対にバレないとして
さてきみは
百鬼夜行をなすか ナスカ


3184
ナスカにはナスカの事情
があって
ナスカ原理にコンドルは飛ぶ


3185
ゆったりと飛んでいる
コンドルの
翼はアンデスの風に染まり




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3186
はっきりした言葉が通る
世界が
あるあるある世界があり


3187
はっきりと言葉で言えない
世界が
あるある通路を探している


3188
まなざしを少し傾ける
と とっとっと
世界の色が多重になる




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3189
大声の大泡立つ
流れに
小声や無心の泡小さく立つ


3190
どんな小声も堰き止めない
まぼろしの
流れの倫理 さくら花びら


3191
真になる条件の
平均台
小声で静かに渡ってゆく




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3192
もう花見はしないなあ
石ころを
蹴りながら桜道をゆくよ


3193
音楽過剰本過剰
ドラマ過剰
広告過剰過剰かよ


3194
過剰に肯定も否定も
なく、ただ
渦中を昨日と同じく歩む




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3195
ああこの小石感じいいな
出会いあり
持ち帰り机上に乗るもある


3196
ありふれた小石ゆえにか
時として
ひかり輝く時がある


3197
ネット海いずれにしても
腐海なら
誰も泳ぎに来ないよなあ




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3198
花冷えの春、人も世界も
しずかに
昏(く)れる世界の渦中歩いて行く


3199
(わからない)とつぶやく
隣を
ふうっと抜けていく風がある


3200
楽しい歌やダンス
いいけどさ
心の内に鳴り響く 異音異韻律


3201
(やけに楽しそうじゃないか)
閉ざされた
行き止まり ぶ厚い雲 ウ




  [短歌味体Ⅲ] ネット海シリーズ・続


3202
(もう 終わりだね)歌の聞こえる
道をまた
引き返し椅子に座ってしまった


3203
名残惜しいわけじゃないさ
思えば
ぼくらはどこにも逃げ出せない


3204
流れゆく水面きらきら
してるねえ
たぶんぼくも こうして生きる




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ


3205
、や。を打つ 風の流れも
気分も
少し変わる ああ天気いいな


3206
ぼくが呼吸する言葉
、や。には
微かにぼくの癖が出ている


3207
ああそこで一旦停止
していたら
流れがスムーズにいかないな




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3208
流れに打たれる「、」や「。」
心の
流れも制御されてゆく


3209
川をずっと上ってゆく
「、」や「。」の
始まりの竈(かまど)に湯気立ち上る


3210
「、」や「。」以前の岸辺の
呼吸法
今ここにほら 姿現す




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3211
飛ぶ、浸かる、流れる。
手を伸ばし、
伸ばし、手を、手を、つかむ木の枝。


3212
花。火事。車が走る。
人、人、人。
雲が流れる。犬、見る。


3213
窓から、外を見る、見る、見る。
時間が、
遡行(そこう)する。湧き上がってくる




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3214
時間の波に乗り、乗り。
風景が、
ズームイン!舞台はじまる。


3215
出し物は、、、、ええっと、
見回す
前に、決まっている。


3216
朝、きみはがっこうへいく。
土道(つちみち)の、
端、高低(たかびく)避けて歩く




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3217
道々は、、。、、。、
、、、。
足踏みながら歩いてゆくよ


3218
「、、。。 、、、」に
ぶつかりそう
急ハンドルの、、 、、、。とよける


3219
見知ったスカートも揺れてゆく
、、、、。
ああ、いい天気、いい空だなあ。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3220
あめ、あめ。あめえものが
食いたいな。
あめもあまもあまもりもいるぞ。

註.『A081 古い日本語のむずかしさ』(吉本隆明)の「講演のテキスト」を読みながら。


3221
ひらがなばかりの文を
読みながら
助詞の手すりに一息つく


3222
漢字の飛び石の、、、
間には
名を知らぬ魚が泳いでいる




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3223
ありふれてもきみは、静かに
息を吸い
あたたたたたた、ケンシロウになる。


3224
どこにも触れていないが、
「お前はもう死んでいる」
静かな言葉の北斗の拳!




  [短歌味体Ⅲ] 戯れ詩・番外


「小さな声を、聴く力。」(うーん、
耳垢たまりたまって
小さな声、よく聞こえてないみたいだな。)


コピーライターと本体との
間に溝、
溝溝溝、溝に濁り水の流れ。


大きな声には頼らない
ぼくら
小さな声、そのものとして立つ。

全体の註・「小さな声を、聴く力。公明党」というスローガンを拾って。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3225
こんがらがった糸の中。
糸、いと、いと、
糸糸糸、いとおー。 切るか。


3226
おんなじ糸なのに、ここ糸、
そこ糸、
あそこ糸、じっとり絡み合い。 切るぞ!


3227
糸民の実感線を
歩く歩く。
まぼろしの電車はまだ来ないぞ。 まだ。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3228
土と隔たってはいる。
流しの
水は流れ、ネコも歩き回る。


3229
実感線の内には、
外言葉・・・
では量れない、内言葉がある。


3230
毎日巡っているが、
飽きる、
ことはない。実感線。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3231
郷ひろみの A CHI CHI A CHI、
歌を越え、
あっちち峠にさしかかっている。


3232
あっちいな、あっちいぜ。
たどり着く。
あっちち峠の小石を蹴ってみた。


3233
気分はまりあまらりか、
段ボール!
草スキーですずんと下る。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3234
Just an Artist 。JUST POET 。
いろいろある。
聞かれなくても、ぼくは、ただのひとさ。

註.前者は、Sputniko!さんの「Just an Artist ただのアーティスト」より。
   後者は、宮尾節子さんの「JUST POET」より。


3235
言葉は、近寄り誘う、
手、手、手、手、
振り切ってみよちゃんにダイブする時がある。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3236
善も悪も大文字だから
仕舞いには
小文字たち蹴散らし上っていく。


3237
善悪の麓では、ほら、
どれ着ていこうか、
行ったり来たりしてやっと決まる。


3238
着慣れてるカジュアルな
ふだん着も、
どれも違うなあ、迷う日がある。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3239
時代の継ぎ目の下で、
確かな、
流れ、固まり、変貌する、気配。


3240
過小な心に、過剰な言葉。
源流を
気にもせず過剰に流れる。


3241
流れる、ながれる過剰。
空白の
過小ばかりが不明に遠、白く、




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3242
誰もが気づいてはいる
ようで、、、
わからない、「、」「。」のひみつ。


3243
言葉のひみつの杭
を打つ
「、」「。」を打つ。流れが変わる。


3244
いったん打ってしまうと、
ぼくのからだ
めぐるめぐる。「、」「。」呼吸。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3245
ぼくならば、と言いかけて
・・・・・
沈黙の舟に乗り帰港した。


3246
てんまるがなかったならば
窮屈に
咳き込んだり迷い込んだり


3247
整序とリズムから、
立ち込めた
霧が上がる、木々のみどり。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3248
現在(いま)の普通の暮らし、ずれた
のんびり暮らし、
黙々とひとつこと掘り続ける人、人。


3249
現在(いま)のいろんな光景
だけでも、
じぃんと来るぜ。誰もが放つひかり。


3250
人、走る、走る、走る。
ぼくもまた、
問いを抱えて、はしる、はしる。




  [短歌味体Ⅲ] ブログ版・[短歌味体 Ⅲ] 特別編



固く研ぎ澄ませば、
心さえ
刃(やいば)の言葉となるさ。邪悪のフォース 。

註.「フォース 」は『スター・ウォーズ』より。



ひと言で言っちまいたい、
しかすがに
古びた流れの中うまく伝わらないな。



ストレートに病谷(やまいだに)に
突っ込む、
脇目に回り道まわりみち。



(くだらん)とつぶやきながら、
自分の
独りよがりの紐ほどいて来た。


 メモ
わたしの若い頃(高校生)つぶやく口癖は、(くだらん)とか(どうでもいいや)、であった。しかし内心の複雑な思いや留保は別にして、体育祭や文化祭など人並みに「普通」に引き受け、また、大人になり社会の人と人との関わりを「普通」に引き受けてきているが、今なお社会に下りてくる、社会から湧き上がるものに対して、内心同じようにつぶやいている。できれば、忌野清志郎のカッコいい音色とリズムでつぶやいてみたいもんだ。うまく言えないけど、つまらない歌も歌っていたかもしれないが、彼の独特の固有の声自体が表現として彼の位相(場所)を指示していたように思う。





  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3251
(・・・いのちのいずみわく)
ふうっと、
思いだした。なぜだかわからない。


3252
倉庫の片隅から、
発掘された。
流れ出す歌の切れ端。


3253
湧き上がる記憶の断片、
なつかしい。
上がり込む、不意の来客。

 全体の註.
「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く」の浪越徳治郎さん。
何十年も前にテレビで何度か観た。ただの観客にすぎなかったけど。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3254
胸高鳴る時には、真っ赤な
バラの花。
あかりひかりに目まいする。


3255
言葉の滴すべてが
光っていたら、
照れくさいから、少しフェードアウト。


3256
揺ら揺れるにんげんだから、
言葉には
容易に収束しない シナイ半島。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3257
はじまり、あるきだす、
無数の
、、、、、、、の後の現在。


3258
現在のひとかけらを
匂ってみる。
かすかに山椒の葉、匂う。


3259
遙か、とか、深い、とかでなく、
瞬時に
湧き出す 不随意の。



  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続 


3260
はじまりは、隠されている
わけでもなく、
ほら、いつもそこに座っているよ。



3261
きみが歌う、きみのはじまりは、
立ち上がり、
すうっと歌に駆け込んでくる。


3262
始まりの歌うたわなくても、
とっくに
はじまりは、ほら、はじまってる。



  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続 


3263
昨年見つけたびっくりの、
道端の
さくらんぼの木、今年もまた赤赤と。


3264
びっくりと言うほかない
あかあかあか。
狭い庭を独り占めしてる。


3265
今までずっと気づく
ことなく
さくらんぼは並行世界にあった。


3266
赤赤にあかあかあかと
照らされて、
昨年末にさくらんぼの木を植えた。



(2018年4月下旬)




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続 


3267
いつ実る、かわからない。
今はもう
若葉を付けている、初夏(はつなつ)。


3268
「桃栗三年柿八年」、あんまり
気にはしない。
ただ、いくつも今を潜り、いつか出会うさ。


3269
子どもが大きくなる、
振り返れば色色あった。
そんな風にさくらんぼに出会えればいいな。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3270
あくばかり、はくはくはく。
灰汁ばかり
吐く吐く吐く、気分良くはならないな。


3271
あくは否定の通路から、
灰汁厭悪と
モビルスーツで疾走していく。


3272
あくにも、もと、もと、もとは、
理想の
かすかな明かり点(とも)っていたか。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3273
歩みに、読点打って、、、
ゆっくりと、
息を吸う。景色が見えるね。


3274
景色の中へ入っていく。
ひんやりと
、、、じかんの空気が冷たい


3275
高速で自転する
地球、
人知れずの朝もはじまる。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3276
気がつくとじっと息止めて、
見ている。
それは気楽なまなざしに遠い。


3277
ふと自分の呼吸に気づく、
そこから
道は二手に分かれている。


3278
空想活劇の扉は
閉まっていて、
さて、きみの一歩はどうするか。


3279
狭く窮屈な通路を
通って、
行かねばならぬ、行かねばあならぬぞ。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3280
砂場には、、。、、、。
たくさんの
つぶやきたちの言葉が眠る。


3281
車のいない道路を
渡ったのに、
時間の揺らぐ風に打たれる。


3282
。、、。、、。繰り返して
遊んだ
広場には、や。の火照り匂う。




  [短歌味体Ⅲ] 「、」「。」シリーズ・続


3283
置く、置く、奥。積む積む積む、
置く、積む、奥。
置積奥、置積奥、置積奥、置積奥。


3284
積み上がったものは、もう、もう
元には
戻らない。ただ、重みに耐える。


3285
前に進む、ほかないんだよね。
現場の風。
吹いている、流れて、いるね。




  [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3286
(なんとなく、わかる、わかるなあ)
言葉が
語られない通路を流れて来る


3287
難しい言葉は知らない
少年の
肌感知する〈変な匂い〉〈いい匂い〉


3288
この人は信じられるか
どうかを
瞬時にスキャンする青いセンサー



  [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3289
大人は言葉を磨き
子どもらは
肌感覚を装備・発動する


3290
どっちもどっちの峠
を越えて
ただ手を合わせ居る野の仏


3291
意志はなくてもただ無窮の
青々した
言葉の世界に座し続ける




  [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3292
ゆっくりと言葉の足が
「それでも」と
言葉の通路を曲がって行く


3293
「それでも」を「そ」「れ」「で」「も」と切り
離してみても
それぞれに足跡がついている。


3294
縁日のにぎわいの裏道を
「それでも」が
ひっそりと抜けて行く 落日




  [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3295
もえている 燃えているか
もえている
萌えているのか いや言葉がもえている


3296
若い言葉は無茶をする
橋上の人
言葉のからだがダイブする


3297
水の固さが粉々に
言葉を砕き
後悔の一瞬に浸かる


3298
橋上の老いた言葉は
ぼんやりと
ただ見つめるばかり 圏外の言葉




  [短歌味体Ⅲ] なんとなくシリーズ・続


3299
続けて農に出て
気がつくと
同じ姿勢に腰の痛むよ


3300
腰痛め靴下うまく
は、け、な、い、ぞ
たったこれだけが貴重に見える日


3301
圏外に居るならば
圏内の
ささいなことは「にぎわう祭り」





inserted by FC2 system