詩『言葉の街から』 ①
(2018年4月21日~2019年7月6日)
目次
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ |
日付 |
1-3 気配もないシリーズ |
2018年04月21日 |
4-6 きゅうくつシリーズ |
2018年04月22日 |
7-10 きゅうくつシリーズ |
2018年04月23日 |
11-13 揺ら揺ら小舟シリーズ |
2018年04月24日 |
14-16 揺ら揺ら小舟シリーズ |
2018年04月25日 |
17-19 気づきシリーズ |
2018年04月26日 |
20-22 気づきシリーズ |
2018年04月27日 |
23-25 匂うシリーズ |
2018年04月28日 |
26-28 匂うシリーズ |
2018年04月29日 |
29-31 はじまりはシリーズ |
2018年04月30日 |
32-34 はじまりはシリーズ |
2018年05月01日 |
35-37 はじまりはシリーズ |
2018年05月02日 |
38-40 はじまりはシリーズ |
2018年05月03日 |
41-43 水の駅シリーズ |
2018年05月08日 |
44-46 水の駅シリーズ |
2018年05月09日 |
47-50 水の駅シリーズ |
2018年05月10日 |
51-55 水の駅シリーズ・市の駅 |
2018年05月11日 |
56-58 水の駅シリーズ・市の駅 |
2018年05月12日 |
59-61 水の駅シリーズ・市の駅 |
2018年05月13日 |
62-64 水の駅シリーズ・市の駅 |
2018年05月14日 |
65-67 水の駅シリーズ・丹の駅 |
2018年05月15日 |
68-70 水の駅シリーズ・丹の駅 |
2018年05月16日 |
71-73 水の駅シリーズ・丹の駅 |
2018年05月17日 |
74-76 水の駅シリーズ・讃の駅 |
2018年05月18日 |
77-79 水の駅シリーズ・讃の駅 |
2018年05月19日 |
80-82 水の駅シリーズ・讃の駅 |
2018年05月20日 |
83-85 水の駅シリーズ・讃の駅 |
2018年05月21日 |
86-89 水の駅シリーズ・死の駅 |
2018年06月02日 |
90-93 水の駅シリーズ・死の駅 |
2018年06月03日 |
94-97 水の駅シリーズ・死の駅 |
2018年06月04日 |
98-100 水の駅シリーズ・死の駅 |
2018年06月05日 |
101-103 水の駅シリーズ・娯の駅 |
2018年06月06日 |
104-106 水の駅シリーズ・娯の駅 |
2018年06月07日 |
107-109 水の駅シリーズ・娯の駅 |
2018年06月08日 |
110-111 水の駅シリーズ・娯の駅 |
2018年06月09日 |
112-114 水の駅シリーズ・録の駅 |
2018年06月10日 |
115-117 水の駅シリーズ・録の駅 |
2018年06月11日 |
118-120 水の駅シリーズ・録の駅 |
2018年06月12日 |
121-123 水の駅シリーズ・失(しち)の駅 |
2018年06月13日 |
124-126 水の駅シリーズ・失(しち)の駅 |
2018年06月14日 |
127-129 水の駅シリーズ・失(しち)の駅 |
2018年06月15日 |
130-132 水の駅シリーズ・失(しち)の駅 |
2018年06月16日 |
133-136 水の駅シリーズ・蜂の駅 |
2018年06月17日 |
137-139 水の駅シリーズ・蜂の駅 |
2018年06月18日 |
140-142 水の駅シリーズ・蜂の駅 |
2018年06月19日 |
143-145 水の駅シリーズ・苦の駅 |
2018年06月20日 |
番外 水の駅シリーズ・苦の駅 |
2018年06月20日 |
146-148 水の駅シリーズ・苦の駅 |
2018年06月21日 |
149-151 水の駅シリーズ・苦の駅 |
2018年06月22日 |
※ 詩『言葉の街から』の「水の駅シリーズ」は、これでおしまいです。
|
|
詩『言葉の街から』 大空シリーズ |
日付 |
1-3 大空シリーズ |
2018年07月12日 |
4-6 大空シリーズ |
2018年07月13日 |
7-10 大空シリーズ |
2018年07月14日 |
11-14 大空シリーズ |
2018年07月15日 |
15-18 大空シリーズ |
2018年07月16日 |
19-21 大空シリーズ |
2018年07月17日 |
22-24 大空シリーズ |
2018年07月18日 |
25-27 大空シリーズ |
2018年07月19日 |
28-31 大空シリーズ |
2018年07月20日 |
32-34 大空シリーズ |
2018年07月21日 |
※ 詩『言葉の街から』の「大空シリーズ」は、これでおしまいです。
|
|
詩『言葉の街から』 道シリーズ |
日付 |
1-3 道シリーズ |
2018年10月05日 |
4-7 道シリーズ |
2018年10月06日 |
8-11 道シリーズ |
2018年10月07日 |
12-15 道シリーズ |
2018年10月08日 |
16-18 道シリーズ |
2018年10月09日 |
19-21 道シリーズ |
2018年10月10日 |
22-25 道シリーズ |
2018年10月11日 |
26-29 道シリーズ |
2018年10月12日 |
30-33 道シリーズ |
2018年10月13日 |
34-37 道シリーズ |
2018年10月14日 |
38-40 道シリーズ |
2018年10月15日 |
41-44 道シリーズ |
2018年10月16日 |
45-48 道シリーズ |
2018年10月17日 |
49-52 道シリーズ |
2018年10月18日 |
53-57 道シリーズ |
2018年10月19日 |
58-61 道シリーズ |
2018年10月20日 |
62-65 道シリーズ |
2018年10月21日 |
66-69 道シリーズ |
2018年10月22日 |
70-73 道シリーズ |
2018年10月23日 |
74-78 道シリーズ |
2018年10月24日 |
79-81 道シリーズ |
2018年10月25日 |
82-85 道シリーズ |
2018年10月26日 |
86-89 道シリーズ |
2018年10月27日 |
90-93 道シリーズ |
2018年10月28日 |
94-96 道シリーズ |
2018年10月29日 |
97-98 道シリーズ |
2018年10月30日 |
99-101 道シリーズ |
2018年10月31日 |
102-103 道シリーズ |
2018年11月01日 |
104-107 道シリーズ |
2018年11月02日 |
108 道シリーズ |
2018年11月03日 |
※ 詩『言葉の街から』の「道シリーズ」は、これでおしまいです。
|
|
詩『言葉の街から』 世界はふるえるかシリーズ |
日付 |
1-3 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月23日 |
4-6 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月24日 |
7-10 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月25日 |
11-13 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月26日 |
14-16 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月27日 |
17-20 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月28日 |
21-23 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月29日 |
24-26 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月30日 |
27-29 世界はふるえるかシリーズ |
2019年01月31日 |
30-32 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月01日 |
33-35 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月02日 |
36-38 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月03日 |
39-41 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月04日 |
42-44 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月05日 |
45-47 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月06日 |
48-50 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月07日 |
51-53 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月08日 |
54-56 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月09日 |
57-59 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月10日 |
60-62 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月11日 |
63-65 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月12日 |
66-68 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月13日 |
69-71 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月14日 |
72-74 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月15日 |
75-77 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月16日 |
78-80 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月17日 |
81-83 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月18日 |
84-87 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月19日 |
88-90 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月20日 |
91-93 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月21日 |
94-96 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月22日 |
97-100 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月23日 |
101-103 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月24日 |
104-106 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月25日 |
107-109 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月26日 |
110-112 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月27日 |
113-115 世界はふるえるかシリーズ |
2019年02月28日 |
116-118 世界はふるえるかシリーズ |
2019年03月01日 |
※ 詩『言葉の街から』の「世界はふるえるかシリーズ」は、これでおしまいです。
|
|
詩『言葉の街から』 重力シリーズ |
日付 |
1-4 重力シリーズ |
2019年06月22日 |
5-7 重力シリーズ |
2019年06月23日 |
8-10 重力シリーズ |
2019年06月24日 |
11-14 重力シリーズ |
2019年06月25日 |
15-17 重力シリーズ |
2019年06月26日 |
18-20 重力シリーズ |
2019年06月27日 |
21-23 重力シリーズ |
2019年06月28日 |
24-27 重力シリーズ |
2019年06月29日 |
28-31 重力シリーズ |
2019年06月30日 |
32-34 重力シリーズ |
2019年07月01日 |
35-37 重力シリーズ |
2019年07月02日 |
38-40 重力シリーズ |
2019年07月03日 |
41-44 重力シリーズ |
2019年07月04日 |
45-47 重力シリーズ |
2019年07月05日 |
48-50 重力シリーズ |
2019年07月06日 |
※ 詩『言葉の街から』の「重力シリーズ」は、これでおしまいです。 |
|
※ このファイルがなぜか重たくなって、文字入力がものすごく時間かかるようになってしまったので、
次のシリーズから、「言葉の街から・続」の別ファイルに移行します。
詩『言葉の街から』 気配もないシリーズ
1
言葉の気配に気づく
こともない われら
しいのみ、やまもも、ぶっくに出歩く
註.「ぶっく」(イチジク属のイヌビワか)と呼び合う、その実を食べていた。
2
季節の(という感覚もなく)風に押されるままに
やまかわ
庭先と遊びほうける日々の
3
世界の 難しいことは知らない
見よう見まねの
気分は風のながれに乗り
詩『言葉の街から』 きゅうくつシリーズ
4
ある日ガッコウというもの
降りてきて
こちらの都合をプチプチプチ消していく
5
きゅうくつなのは服ばかりでなく
流れる時間
カクカクシャキンと迫って来る
6
時間の水路にはまってしまって
思いのままの
昨日の丘陵には戻れなくなった
詩『言葉の街から』 きゅうくつシリーズ
7
昨日と今日の境界が
しだいに
閉じていく閉じていくよお
8
戻れない時間はただ
奥深い どこかに
ひっそりしまい込まれている
9
きゅうくつに慣れていくのが
成長か
ときどき異和は夢に流れる
10
流れていく時間の飛沫
浴びながら
(なんだこのやろう)内向する小舟がある
詩『言葉の街から』 揺ら揺ら小舟シリーズ
11
自分の成長よりも
すばやく
言葉の村は街へと移りゆく
12
選択の自由以前の
急(せ)かされる
時の流れに揺ら揺ら小舟
13
嫌がった大人たちの
習わしに
少しずつ慣れつながりゆく
詩『言葉の街から』 揺ら揺ら小舟シリーズ
14
確かにそちら向きに
進んでいるが
波に逆らい揺ら揺ら小舟
15
基本形は未だなく なく
たましいは
揺ら揺らの内に刻まれてある
16
揺ら揺らの内に発掘される
言葉なく
ただ揺れに音色(おんしょく)流るる
詩『言葉の街から』 気づきシリーズ
17
遊びの中中(チュウチュウ)夢中
木の葉の
ささやきにも気づくことはなく
18
世界と交わるではなく
溶け合って
気づきの森は眠り続ける
19
〈木の葉が 落ちた〉
木の葉は
絶え間なく落ちているし落ちてきた
詩『言葉の街から』 気づきシリーズ
20
気づくということなければ
風は風のまま
ただ流れ続けている
21
〈木の葉が 落ちた〉の波紋
ひろがり
気づきの丘を下ってゆく
22
ふと気づく からだの芯が
ズキズキ痛む
今までの景色が塗り替えられてしまっている
詩『言葉の街から』 匂うシリーズ
23
においする (何の匂いかなあ)
手探りに
しっくりくる言葉の服がない
24
誰もが我知らずの
匂い持つ
異質さに出会い匂い場が立つ
25
この匂い どこかの路地裏で
風が
イメージの木の葉吹き寄せ始める
詩『言葉の街から』 匂うシリーズ
26
匂うのにはっきりと
言葉が立たない
素材そのまま漂っている
27
わかっているのに言えない
黙読の
路地裏にひとり静かに佇む
28
(何時かな) 待ち合わせには
場と時刻が
ぴったり合わなくっちゃ
詩『言葉の街から』 はじまりはシリーズ
29
確かに街の形成
以前と以後が
あるはずなのにもはや春霞の
30
不明を背に気づいた時は
鳴り響く
祭りの輪に入り込んでいる
31
遠い記憶はシームレス
に見えても
今ここと同じく継ぎ目はあるさ
詩『言葉の街から』 はじまりはシリーズ
32
今はただ流れ続ける
流れている
その深みにそっと触れる
33
ここでは言葉がからだ
言葉の街の
にぎわいも静けさも寄せてくる
34
ふ れ る 言葉の風や
日差し
言葉の大気に触れる
詩『言葉の街から』 はじまりはシリーズ
35
はじまりは たとえば毎年花咲く
草花の
花盛りの夜に訪れる
36
特別のこともない一日の
何にもない
足裏にもひとつの物語はあるさ
37
ありありと感じる読者が
いるならば
言葉の街に流れ星落ちる
詩『言葉の街から』 はじまりはシリーズ
38
はじまりは (きんちょうするなあ)
静まる部屋
けれど内ではもう始まってる
39
内と外、こんなにも違う
峠道
ひとり身を固くして下ってゆく
40
何が起こるかわからない
不安の風
内に対流し滞留し続ける
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ
41
今朝ぼくは言葉の舟に
すべり込み
すうっとしずかに岸を離れた
42
なぜか言葉の手にひかれ
水の道
心地よくすべり出したつもりが
43
水を差すように雨粒が
ぽつぽつぽ
つつうと頬を伝いゆく
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ
44
ふと浮かぶ〈駅〉というもの
バタバタバタン
かたち成しゆくのを感じている
45
水の駅はぼくの気づきに
ぽつぽつぽ
つぽつ自在に湧いては消える
46
子どもがはじめて口にする
言葉のよう
水の駅(みじゅき)がゆっくり始発する
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ
47
なぜかはわからない
ないかも
しれないしあるのかもしれない
48
わからないけど駅が立っている
なぜ と問う
前にすべては存在している
49
答えは流れてくる
問いの形に
沿うように切り整えられる?
50
少なくとも〈わたし〉を起点として
あらゆる断片は
集合し離散してゆく
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・市の駅
51
呼びとめる市の駅に
舟寄せ降りる
無数の言葉朝市に立つ
52
客引きの匂いに魅かれ
客たちは
市のブースに消えていく
53
スイーツや朝露付いた
言葉の野菜たち
とってもおいしそうに立ち並ぶ
54
くたびれた魂たずさえ
客たちは
あちこちうろうろ迷いゆく
55
「癒やされるう」客たちの声
風に乗り
ノリノリでぼくの背を叩く
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・市の駅
56
いつからか贈り贈られ
か細くなり
お金ばかりが大通り大声で行く
57
お金の光り輝き
たましいの
行路に深く差しているよ
58
交換はお金ばかりでなく
こっそりと
つながりつなげられるれろ
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・市の駅
59
どこからかかすかに匂う
水の感触
この市の土台から来るような
60
ワンピース、ツーピース・・・
はまり込む
宝の地図もただ夢まぼろしよ
61
次々に並べられゆく
色鮮やかの
品々ももういいよと押し返される
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・市の駅
62
店裏で「これどうぞ」と
差し出され
「ああどおーも」と木の葉差し出す
63
えええい、おまけだよと
外伝の
物語まで聞かせてもらった
64
マニュアル言葉を他所に
方言の
未だ生身を風にさらしてる
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・丹の駅
65
水は流れ、流れている
静かに
舟は進む、小さな波紋立つ
66
どこからか赤い土の
匂い来る
まぼろしではなく確かな
67
ばああっと赤土の層なす
丹の駅
忘れられゆく静かな廃駅
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・丹の駅
68
赤土もその言葉も
生き生きと
行き来していた丹の駅の記憶
69
働く手肌赤く
染まりゆく
日々の呼吸は今や記憶の倉に
70
人もまた忘れられゆく
丹の駅の
記憶は誰の内にも朧(おぼろ)の
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・丹の駅
71
どんな世でも例えば丹の匂いにまみれ
悲喜こもごもの
歌い踊り泣き笑い合う
72
丹の色や匂い形は
人の暮らし
のかたち整え細道を歩ませる
73
人の感じ考える
自由度は
丹の時代の色かたち匂いに染まり
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・讃の駅
74
水はとどまることなく
ながれる
静かに深く流れ続ける
75
讃の駅頭に降り立つ
場違いの
讃辞ばかりが生い茂りなびく
76
大文字と大声流れる
讃讃讃
小文字小声は裏通りにすばやくすべり込む
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・讃の駅
77
結ばない非讃の草は
沈黙の
風にただラアラアとなびく
78
右も左も讃讃讃
サンサンサン
さんさんさん同じ根から匂い立つ
79
讃讃のがんじがらめに
臨死体験のよう
ドローン映像を見ている
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・讃の駅
80
この地では太陽までも
サンサンサン
切り整えられ頭上に浮かぶ
81
身に付いた癖のように
サンと聞くと
讃という文字が先ず浮かぶ
82
讃というイメージの垣根に
囲われ
飛び跳ね踊るはサン・スター49
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・讃の駅
83
作者たちがどんな作為の
罠仕掛けても
わなわなしない気にもしないさ
84
盆踊りみたいに讃讃
サザンサンサン
こちらが楽しけりやあいいさいいよね
85
宇佐の木に一緒に結ぶ
お札買い
うさうさうさうさ憂さ晴らしい
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・死の駅
86
水が重たく澱(よど)み出す
夕暮れに
流れは寝やどを目ざすよう
87
ああこれほどの死屍累々(ししるいるい)
飢餓戦乱の
ヒガンバナ狂い咲き居る
88
押し黙りぞろぞろ行く
言葉の内
神も仏も病んでおるぞ
89
無言のなじみの通路
死の匂い
深く染み入る列島の秋
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・死の駅
90
大声の制圧する
会議の席
無言は死のかたちに伏す
91
いってもいっても
しょうがない
と手混ぜし異空に飛ぶ
92
くり返し慣れ親しんだ
死の匂う
我知らずの言葉の姿勢とる
93
一二三と踏み抜けば
不吉な死
の匂い立ち迎えに来るよ
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・死の駅
94
心臓が拍動しても
言の葉は
葉脈弱く流れ澱(よど)む
95
厳密な時刻表に
沿って来る
見えない速度に過呼吸する
96
緑の中に黄み広がり
心の葉は
不安と死が分布しはじめる
97
折り畳み折り畳み
果てしない
細分化の荒野を突っ走っている 今は
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・死の駅
98
〈し〉はいろんなものが混じり合い
分離できず
しはしわしははと泡立っている
99
ひんやりした水の匂い触れ
はっとする
〈し〉が死の傾斜に踏み止まる
100
しいっしし、静かに深く
空気震わせる
ものたちが通り過ぎていくよ
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・娯の駅
101
水はただ連綿と続く
無名灘(むめいなだ)
ただただ流れゆくばかり
102
舞え舞えガールズ、ボーイズ
舞わぬなら
我が目も耳もお金も使わないぞ
103
不安不吉は振り払い
ヤンヤヤンヤ
スポットライトの輪の中ダンス・ダンス・ダンス
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・娯の駅
104
舞台にてお金ねじ込まれ
歌う歌
黄金色(こがねいろ)づきこぶしが入る
105
気にはしないわお金のことは
思い決めても
どこまでも付きまとうストーカー
106
お金持ちになってもいいよいいわよ
さりげない
楽しい響きを枯らさないならね
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・娯の駅
107
お客さんのこと気にかけ
過ぎずに
天空の橋張り詰め渡る
108
楽しい、わけでもなく
楽しくない
わけでもない、微妙の歌原を過ぐ
109
娯の駅頭に歌姫ひとり
ぼんやりと
人の行き来を眺めている
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・娯の駅
110
気難しい顔はこの門
入れない
enter enter entertain
111
まぼろしの時空に出会う
者たちの
からだ流れるentertainment流
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・録の駅
112
音色(おんしょく)のほてりを芯に
滲(にじ)ませて
小さな舟が流れを下る
113
文字も録するものもない
夕べには
耳目(じもく)波打ち海原にこだまする
114
小さな波の民衆は
耳目ふるわせ
まぼろしの海原を渡りゆく
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・録の駅
115
録されたリズムの流れに
乗りながら
波打ち付け小舟は進む
116
からだの芯に浮かぶ
まぼろしの
小舟うち揺れ歌流れ出す
117
経験は雪降り積む
気配の中
小舟にそっと録されてゆく
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・録の駅
118
0と1のビットの谷間に
横たわる
無限の情報が手招いている
119
降り積もり雪片曲線
伸びてゆく
ただ冷たさが録されてゆく
120
細分化緻密細密
どんな蜜
起動するも疲労ばかりが録されてゆく
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・失(しち)の駅
121
気配して流れ振り返る
小舟の
背の不安夢うつつに鳴り響く
122
失うは不在に向かう
まぼろしの
空虚の流れ湧き出しはじめる
123
誰もいないはずなのに ふと
振り返る
失の駅頭に今ひとり立つ
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・失(しち)の駅
124
苦しみの一番線には
愛の不在
遙か母胎の物語を無意識にくり返す
125
知らぬ間に屈折してゆく
何度も
何度も不在からの道中
126
(あなたは誰?)と問いかけても
返事なく
見知った匂い立ち込めるだけ
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・失(しち)の駅
127
時間の波立つ失の駅
二番線
世界の風に失の不安揺れる
128
二番線霧立つ迷路
知らぬ間に
一番線につながりゆく
129
失に失をたび重ね
灰に埋もれ
弱い熾火(おきび)失の駅に眠る
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・失(しち)の駅
130
振り返る心の影が
つぶやいてる
(痛ましいことばかりだったよ)
131
ほんとうは喜怒哀楽
溶け合った
微妙の日々が心にこだまする
132
失の沼地の引く手あまた
振り払い
また今日も立ち上がる朝
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・蜂の駅
133
どこからか窺(うかが)っている
気配の
水の匂いに溶け漂い来る
134
見られてる 見・ら・れ・て・る
鋭い
痛みの中悔やみに悔やんでも
135
もうここは蜂の圏内
ゆったりの
心引き締め感覚を放ち放つ
136
凌駕(りょうが)する蜂の視線を
超えてゆく
飛行シミュレーターの内で思う
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・蜂の駅
137
仕事終え私服私心に
歩みゆく
ストーカー蜂がつけねらい寄る
138
ゆるゆるの心の分布
見渡して
ブンブブンブ蜂の視線は
139
なんら優位でない
蜂の視線
を夢想する蜂はいないか
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・蜂の駅
140
失(しち)ならば成り成りて足らない
ものがある
蜂に刺されて人思い知る
141
きみは蜂の夢みることは
ないだろうか
蜂気分であちこち自由に飛ぶ
142
蜂ならばただ飛んでゆく
人ゆえに
飛鉢譚を得々と載せる説話たちよ
註.飛鉢譚(ひはつたん)、「修行者が鉢(はち)を飛ばして布施を得る説話をいう」。例えば、『宇治拾遺物語』の巻十三(172)「寂昭上人、鉢を飛す事
」や巻八(101)「信濃国の聖の事」などがある。 |
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・苦の駅
143
あやしい雲行き流れ
水面にも
溶け込んでいく重たい小舟
144
誰もが立ち寄りたくない
苦の駅に
ぐいぐいぐぐい引き寄せられる
145
縁起も何もありゃしない
99999
苦口苦口口苦来苦ばかり降る駅
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・苦の駅・番外
(サッカーなんて、)(音楽なんて、)
(詩なんて、)
(消えて亡くなれ!)今は荒野行。
(サッカーでない「サッカー」、)(音楽でない「音楽」、)
(詩でない「詩」、)
(そんなみちはないか?)今は荒野行。
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・苦の駅
146
初夏の青葉若葉も
苦の駅の
旅客たちには時空変容す
147
心たちただうつむいて
駅前に
目的地もなく旅支度で集う
148
心模様は墨文字の
黒々と
故知らぬ〈苦〉ばかりを背負い来る
詩『言葉の街から』 水の駅シリーズ・苦の駅
149
(何があったの)と言われても
よくわからない
ただここにこう苦の葉ばかり降る
150
(なぜこのように)たどり返す
足取り
当てもなく苦の丘陵を下る
151
この痛み伝えようもなく
黒々の
夜に急に稲光のする
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
1
雲浮かぶ青海原を
なめらかに
若鳥のよう飛行してゆく
2
(大空に飛ぶ鳥を見よ)
言葉は
響き夢に鳥の羽ばたく
3
たくさんのライト兄弟
入れ替わり
立ち替わり手にするバーズアイ
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
4
遙かな鳥の時代は
忘れられ
今自然に鳥の目を巡らす
5
大きな翼身にまとい
人鳥人
のモビルスーツに潜り込む
6
おお見える見える
遙か眼下
箱庭の家並みみたい
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
7
草原に日の差して
晴青静(セイセイセイ)
今ゆったりと飛び越えてゆく
8
天候が傾いてくると
翼揺れ
雨宿りなく心揺れる
9
空からと地上からとの
二つの視線
時には交わりずしりと落ちる
10
大空以前がアリさん時代
に見えるなら
アリさんも思いのほか豊かなんだな
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
11
空にも階段があり
土の匂いは
しないけどジャックは上る
12
空のみちぐんぐんぐぐん
上ってゆく
宇宙イメージの湧いてくる
13
見たことのない光景の
サンサン
サザンとからだ揺さぶる
14
ジャックは光の船に
乗り込んで
宇宙空間にきらり瞬(またた)く
註.「ジャック」は、「ジャックと豆の木」のジャックをイメージしている。
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
15
大空は見上げるばかりの
時代から
遠くまで来た、でも見上げ続ける
16
もう月にはウサギさんはいない
ただ無機質の
イメージのみが引力する
17
気づかない見上げる言葉
の内をはらはらはらりと
剥げ落ちていったものたちがいる
18
それでもなお太古から
生きものたちの芯を引き、降り注ぐ
放射線みたいな深層の月
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
19
どうしてまた大空に
上ってゆく
ことになってしまったのか・・・
20
大空への道に踏み出した
(さあさあさあ
もう振り返ってもダメだぜ)
21
胃カメラを初めて飲む
この気分
今はもう大空に上りきるほか道はない
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
22
暗く狭い空洞を
いつ果てる
ことも知らずに上ってゆくよ
23
ZunZunZun、ZUZZZZZZ
ずっとずっと
聞き続けるほかない上昇気分
24
何事も終わりがあるさ
さあ生きて
新しい風肌に受けるぞ
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
25
ちょっとした一言の
歩み出る
澱(よど)んだ空気が消えてゆく
26
どんよりの曇り空が
ぱあっと
晴れ上がってゆく、ああこの気分は
27
大空は慣れれば何も
苦しくはない
地上気分に接地してしてゆく
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
28
ためらいをくり返し
行きつ戻りつ
海から陸にはい上がった朝の
29
苦しさはまだ引いていかない
けれども
潮の香りが薄れてゆくよ
30
ほらほら今ここに
陸から大空へ
はい上がって来たぞわれらは
31
人間はいろんなみちに
入り込み
未知に道をつけてゆくさ
詩『言葉の街から』 大空シリーズ
32
簡単にグーグルアースに
乗り込んで
おお世界が見える見えるぞ
33
上からは人の生動する
表情は
見えない見えない見えないよ
34
なんだか死後の世界
みたいな
ユッタリンリン今、飛行中
※大空シリーズは、これでおしまい。
詩『言葉の街から』 道シリーズ
つまり、ある詩が書かれて眼の前におかれたとしたら、じぶんが書く書かないには関係なくたれがそれを書いたとしても、その詩は全面的にじぶんの持っている現在の生活感覚とか生活イメージとか、あるいは都市空間のなかに二十四時間のうち何時間かは必ずひたってゆくような生活の繰り返しみたいなところで出てくるじぶんの問題、もっと大袈裟なことをいえば、じぶんが持っている思想的な問題、日本の社会構成というのはどういうふうにこれから展開されてとか、どこが危機的なところかとか、どこが分析して報告しなければならない場所なんだという、つまりじぶんの中にあるそういうものも含めてじぶんが詩にたいして抱いているイメージが全部解放されてしまう、全部共鳴してしまう。そういう詩を想定しますと、どうしてもその中に重要な部分として都市がいまどういうふうな空間的な屈折とか折れ曲がりとか未知の部分を含んで変わりつつあるかということは含まれていきます。
(吉本隆明 「変容する都市と詩」P15『吉本隆明資料集176』) |
詩『言葉の街から』 道シリーズ1~3 はじまりはじまり
1
現在の子どもらは
〈道〉と聞けば
アスファルト道を自然に歩いて来る
2
その足で歩いた笑った
道々は
〈道〉イメージを不随意的に決定する
3
同様に太古の〈道〉
イメージは
ぼくからずんずん遠離ってゆく
詩『言葉の街から』 道シリーズ